産業廃棄物の運搬、携帯義務がある許可証や書類について解説

今回は、産業廃棄物を運搬する際に必要な許可証や書類について解説します。

産業廃棄物運搬車が携帯すべき書類とは?

産業廃棄物を運ぶ運搬車両に、携帯する義務が発生する書類とは、誰がどのように運搬するかによって書類の内容が異なり、大きく分けて以下の3パターンがあります。

  1. 排出事業者が産業廃棄物を運搬
  2. 産業廃棄物委託処理業者が産業廃棄物を運搬
  3. 産業廃棄物委託処理業者が産業廃棄物を運搬(電子マニフェスト)

※3は電子マニフェストを利用している場合になります。

1 排出事業者が産業廃棄物を運搬

産業廃棄物を排出した排出事業者が自ら産業廃棄物を運搬する場合、以下の事項を記載した書類を常に携帯する義務があります。

  • 氏名または名称および住所
  • 廃棄物の種類・数量
  • 廃棄物を積載した日にち
  • 積載した事業所の名称、住所、電話番号
  • 運搬先の事業所の名称、住所、電話番号

2 産業廃棄物委託処理業者が産業廃棄物を運搬

産業廃棄物の排出事業者から、運搬の委託を受けた産業廃棄物委託処理業者が産業廃棄物を運搬する場合、以下の書類を常に携帯する義務があります。

  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)
  • 産業廃棄物収集運搬業許可証のコピー

3 産業廃棄物委託処理業者が産業廃棄物を運搬(電子マニフェスト)

電子マニフェストを利用し、産業廃棄物を排出した排出事業者から運搬の委託を受けた産業廃棄物委託処理業者が産業廃棄物を運搬する場合、以下の書類や電子情報を常に携帯する義務があります。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可証のコピー
  • 電子マニフェスト使用証
  • パソコン携帯電話などで下記の事項を常に確認できる「電子情報」、または下記の事項を記載した「書類」
    (廃棄物の種類・数量、廃棄物を積載した日にち、積載した事業所の名称と連絡先、運搬先事業所の名称と連絡先、運搬を委託した人の名前または名称、積載した事業所の名称と連絡先)

書類携帯をしない「例外」とは?

産業廃棄物を運搬する場合であっても、書類の携帯義務が発生しない以下のような例外があります。また、書類の携帯だけでなく、運搬車への表示も不要となります。

  • 家電リサイクル法に基づき、エアコン・テレビ・冷蔵庫や冷凍庫・洗濯機のみを運搬する場合
  • 自動車リサイクル法に基づき、廃自動車のみを運搬する場合
  • 会社の敷地内でのみ使用する運搬車の場合

書類携帯に関する注意点

  • 構内での運搬を除き、産業廃棄物が排出された現場から排出事業者が所有する事務所へ、産業廃棄物を持ち帰る場合も書類携帯は必要になります。
  • 環境大臣から再生利用認定制度または広域認定制度を受けている場合は、上記のような書類携帯の取り扱いが異なる場合があるため、「環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課指導係」に問い合わせが必要となります。

参照その他の留意事項

書類携帯をせず「法律違反」になった場合

例外を除き、必要とされる書類を携帯しなかった場合は「廃棄物処理法違反」となり、行政命令の対象※になります。さらに、行政命令に違反すると、刑事罰を受けることになるため注意しましょう。これらは、運搬車への表示を行わなかった場合も同様です。

※行政命令の対象とは?

  • 排出事業者が違反行為を行った場合は「改善命令」
  • 産業廃棄物処理業者が違反行為を行った場合は「営業停止処分」など

参照環境省 産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務

まとめ

産業廃棄物を運搬する際には、書類携帯の義務だけでなく、運搬車両の両側面に「表示義務」が発生します。

この運搬車両への表示義務とは、産業廃棄物を運搬している旨の表示に加え、排出事業者が自ら運搬する場合は排出事業者名、委託を受けた処理業者が運搬している場合は業者名と許可番号6桁の表示が必要となることを言います。表示義務を怠り、法律違反があった場合も行政命令の対象になるため、書類携帯の義務とあわせて確認しましょう。

産業廃棄物の運搬車両への表示義務についてはこちら

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