
夏になると毎日大活躍する制汗剤。使い終わった制汗剤の容器を見て、「これってそのまま捨てていいのかな?」と悩んだことはありませんか?
また、肌に合わなかったり効果を実感できなかったりして「中身が残っている制汗剤を処分したい」方も少なくないはずです。
この記事では、次の5種類の制汗剤の捨て方を解説します。
- スプレータイプ
- ロールオンタイプ
- スティックタイプ
- クリームタイプ・パウダータイプ
- デオドラントウォーター
汗のニオイ対策に使う方も多いデオドラントウォーターの処分方法も紹介しています。また、制汗剤の使用期限についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
スプレータイプの制汗剤の捨て方
スプレータイプの制汗剤を処分する際は、中身を空にしてごみ回収に出しましょう。分別方法は自治体によって異なるものの、資源ごみか不燃ごみ、または危険ごみとして扱うケースが多いです。
不燃ごみや危険ごみとして出す場合は、フライパンや陶器・ガラスのようなほかのごみと同じ袋には入れないようにしましょう。ごみ袋の中にほかの不燃ごみ・危険ごみが混ざっていると、回収スタッフの方がスプレー缶に気づかずに収集車に投入してしまう可能性があります。スプレー缶の中身がもし残っていたら、収集車内でガス漏れ・爆発を起こすリスクもあり非常に危険です。ほかの不燃ごみ・危険ごみと同じ日に出すときも、スプレー缶は別の袋にまとめるようにしましょう。
また、中身が残っている制汗スプレーをそのまま捨てるのはNGです。スプレー缶の中には制汗剤そのもののほか、可燃性の高圧ガスも封入されています。内容液やガスが缶の中に残っているとごみとして分別しにくいだけでなく、ほかのごみに引火して爆発・火災の原因になりかねません。
実際に、中身が残ったスプレー缶が原因となったごみ収集車・処理施設での事故も多いです。後ほどスプレー缶を空にする方法も解説しますので、ぜひ試してみてください。
【参考資料】
スプレー缶の事故に注意しましょう!|東京くらしWEB
『エアゾールスプレー』の使用にご注意ください!<その1>|経済産業省
スプレー缶には穴を開ける?開けない?
以前は、スプレー缶を処分する際は「缶に穴を開けてガス抜き」が当たり前とされていました。
しかし近年、「スプレー缶に穴を開ける必要はない」もしくは「開けるのはNG」とする自治体が増えています。これは、中身が残っているスプレー缶に穴を開けたために爆発・発火が起こったり、穴を開けた際にガスが噴き出して周囲の火気に触れ、火災に発展したりという事故が全国で多発したためです。
スプレー缶に穴を開けるには、中身やガスを出し切って空にする必要があります。自治体の分別ルールで「穴開けが必要」とされる場合は、必ず空の状態で穴を開けましょう。
ややこしいことに、スプレー缶の処分に穴開けが必要かどうかは、自治体ごとに差があるのが現状です。例えば、神奈川県横浜市や福岡県福岡市では「穴開け不要」、栃木県宇都宮市や広島県福山市では「穴開けが必要」とされています。制汗スプレーを処分するときは、捨てる前に1度お住まいの市区町村のホームページなどでルールを確認しましょう。
【参考資料】
スプレー缶|横浜市
スプレー缶やカセットボンベの処理のしかた|福岡市
スプレー缶の穴開け事故にご注意ください|宇都宮市
【注意喚起】スプレー缶・ライター類・電池等をごみで出すときのお願い|福山市
制汗スプレーを空にする方法
制汗スプレーは、次の2つの方法で空にできます。
- 火気のない屋外で、空中にスプレーを出し切る
- ビニール袋に古紙やトイレットペーパーを詰め、その中にスプレー
どちらの方法でも、シューッという音がしなくなるまで出し続けてください。その後振ってみて、シャカシャカと音がしなければ空になっているといえます。制汗剤を吸収させた紙類はそのまま乾燥させ、可燃ごみの日に出しましょう。
また、「制汗スプレーが中で詰まってしまって、空にできない」と困っている方もいるかもしれません。詰まってしまったスプレーは、次の手順で固まった部分を溶かすことができます。
- スプレー缶のボタン部分を取り外す
- ボタン部分を、40℃くらいのお湯に数分間濡らす
- ボタンの水気を拭き取って、スプレー缶に再び差し込む
- ボタンを押して中身を出し切る
噴出口を針でつついてみたり、穴を開けて無理やりガスを抜いたりするのはNGです。爆発・発火の恐れがあるため、上にご紹介した手順で塊を溶かすようにしましょう。
「ガス抜きキャップ」を活用しよう
現在、市販の制汗スプレーの多くには「ガス抜きキャップ」がついています。製品の特性によって使用方法が異なるものの、スプレー缶に残った少量のガスまできちんと処理できます。
ただし、ガス抜きキャップを使う前にまずは中身を出し切る必要があります。先にご紹介した方法でスプレー缶を空にしたうえで、ガス抜きキャップを使用しましょう。
下記の日本エアゾール協会のホームページには、形状ごとにガス抜きキャップの使用方法が掲載されています。使用方法に悩んだら、1度確認してみてください。
【参考資料】
ガス抜きキャップの使い方|一般社団法人日本エアゾール協会
制汗スプレーを捨てる際の注意点
制汗スプレーの処理の際、注意してほしいのは次の2点です。
- 屋外の火気がない場所で作業する
- 静電気を起こさない
どちらも身の安全のために大切なポイントなので、必ず守りましょう。
屋外の火気がない場所で作業する
スプレー缶の処理は、必ず火気のない屋外で作業してください。
例えば、「中身を水で洗い流せるから」とキッチンのシンクや浴室で作業するのは非常に危険です。スプレー缶に含まれているガスは可燃性で、かつ空気よりも重いため下方に溜まる性質があります。室内でスプレー缶を処理すると、換気扇を回していても床近くにガスが溜まりやすいです。
溜まったガスに気づかずにタバコを吸ったり、ガスコンロに火をつけたりすると発火・爆発も起こり得ます。さらに、ガスには有毒性もあるため、風通しの悪い室内で処理をすると体調不良になりかねません。屋外での作業時も、風下に誰もいないことを確認したうえでなるべく風上に立ち、ガスを吸い込まないように気を付けてください。
静電気を起こさない
スプレー缶に含まれる可燃性ガスは、静電気でも引火する可能性があります。なるべく静電気を起こさないように気を付けてください。
例えば、冬の乾燥した日は静電気が起こりやすいですよね、空気が乾燥していると、火も燃え広がりやすいです。雨が降った後など、湿度が高い日に処理するとよいでしょう。
また、静電気の起きやすさは服装でも変えられます。例えば、ポリエステルやナイロン、ウールは、組み合わせによって静電気が発生しやすくなる素材です。静電気が起きにくいコットンやリネンを着ると、より安心して作業できます。
スプレータイプ以外の制汗剤はどう捨てる?
ここからは、スプレータイプ以外の制汗剤の捨て方を解説します。ご紹介するのは、次の4種類です。
- ロールオンタイプ
- スティックタイプ
- クリーム・パウダータイプ
- デオドラントウォーター
いずれの場合も、容器と中身を分けて捨てる点は同じです。お使いの制汗剤の種類に合った方法で分別してください。
ロールオンタイプの捨て方
皮膚にコロコロと転がして塗るロールオンタイプの制汗剤には、ロール部分が取り外せるものと外せないものがあります。
ロール部分が取り外せる容器であれば、外して中身を古紙やティッシュペーパーに吸収させましょう。制汗スプレーと同じように、吸収させた紙類は乾かせばそのまま可燃ごみとして処分できます。
取り外せない場合は、不要な紙類に中身がすべて出てしまうまでコロコロと転がしてください。その後、容器を自治体の分別ルールに従って処分しましょう。
スティックタイプの捨て方
スティックタイプの制汗剤を処分するときも、まずは中身を取り除きます。ある程度残っている場合はスティックを最後まで繰り出し、根元から折ってください。
その後、容器に付着した制汗剤は綿棒や爪楊枝でかきだします。取り除いた中身は、古紙に包んで可燃ごみとして処分しましょう。使い終えている場合も、念のため綿棒で掃除しておくとよいですね。
クリーム・パウダータイプの捨て方
クリームやパウダータイプの制汗剤も、要らない紙類やティッシュに包んで可燃ごみとして処分できます。
容器に残っているクリームやパウダーは、できるだけ丁寧に拭き取りましょう。チューブタイプのクリームの場合は、チューブのお尻の方をはさみで切ると中身を拭き取りやすいです。
もし、容器のふたが二重構造だったり金属製の箇所があったりして分解が難しい場合は、無理にばらばらにせず不燃ごみとして処分してください。
デオドラントウォーターの捨て方
汗のニオイを抑えるデオドラントウォーターは、ビニール袋に詰めたキッチンペーパーや新聞紙に吸収させて処分しましょう。
残量が少ない場合は吸収材にそのまま吸収させて捨てることもできますが、香りが強いとごみ出しの際に近隣の方に迷惑をかける恐れもあります。ビニール袋を使ってしっかり口を縛り、ニオイ対策をしておくと安心です。
デオドラントウォーターはさらさらとした液体なので、「直接排水口に流してもよいのでは?」と思った方もいるかもしれません。デオドラントウォーターに含まれる成分は人体には無害ですが、排水管や処理施設、河川の水質に影響がないとは言い切れません。お家の排水設備や環境保護のためにも、紙類に吸収させて可燃ごみとして捨てるのがベストです。
制汗剤の使用期限の目安は?
「昨年の夏に使った制汗剤って、まだ使えるのかな?」と悩んだことがある方も多いのではないでしょうか?
制汗剤をはじめ、化粧品には明確な使用期限が記載されていない製品が多いです。そのため、使用期限は「製造日や開封日からどれくらい経ったか」が目安になります。
さらに、使いかけの制汗剤はタイプによって使用期限の目安が変わります。例えば、「次の夏も使えるかどうか」という点では次のように異なります。
- スプレー、またはパウダータイプ
→液剤や粉の香りや色に変化がなければ、次の年も使用可能 - ロールオンやスティック、またはクリームタイプ
→可能な限りシーズン内に使い切り、前年の使いかけはなるべく使わないようにする - デオドラントウォーター
→翌年も使えるが、なるべく半年以内に使い切るのが基本
ロールオンやスティックのように直接肌に塗るタイプは、雑菌が繁殖しやすいです。そのため、昨年のものを使うと肌トラブルを起こす可能性もあります。指にとって塗り込むクリームタイプも、他のタイプと比べると菌が付着しやすいです。
また、使用期限の目安に限らず、次のような異常がある制汗剤は使わないようにしましょう。
- 肌トラブルが起きた
- 色や香り、使用感が変わった
- 2層に分離している(クリームやデオドラントウォーターの場合)
未開封・未使用の制汗剤は、製造日から3年が経過しても使用可能です。室内に保管していれば、制汗・消臭の効果や使用感、安全性ともに問題ないといわれています。ただし、開封してみて色や香りがおかしかったり、肌につけてみて異常が現れたりした場合は使うのを止め、ご紹介した方法で処分してください。
【参考資料】
化粧品の品質・安全性|東京都健康安全研究センター
化粧品Q&A|日本化粧品工業会
まとめ
制汗剤の捨て方をタイプ別に詳しく解説しました。
現在はさまざまなタイプの制汗剤がありますが、処分に特に注意が必要なのはスプレータイプです。殺虫剤やスプレー塗料と同じように可燃性のガスが封入されているため、捨てる前の処理は必ず火気のない屋外で行ってください。
そのほか、ロールオンやスティック、クリーム、パウダータイプの制汗剤とデオドラントウォーターの捨て方をご紹介しました。どれも簡単な方法で処分できるため、ぜひチャレンジしてみてください。