産業廃棄物収集運搬許可とは?産業廃棄物収集運搬業に必要な条件

産業廃棄物処理業とは?

産業廃棄物処理業の工程は大きくわけて、①収集運搬、②中間処理、③最終処分の3つの工程から成り立ちます。このうち②中間処理、③最終処分をまとめて処分業と呼ぶこともあります。

①収集運搬

産業廃棄物排出現場から処分場まで運ぶことや産業廃棄物処理業者が廃棄物を収集すること

②中間処理

リサイクルや最終処分にむけて、リサイクルできるものを選別したり、大きさを小さくする減容を行ったり、有害物質を無害化すること

③最終処分

最終処分場にて、安定化と言われる環境や人体に影響を及ぼす恐れのない状態になった産業廃棄物を埋め立てすること

<参考>JWセンター 産廃知識廃棄物処理の流れと行為

産業廃棄物収集運搬許可とは?

廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)によって、産業廃棄物の収集運搬業に従事する者は、収集や運搬を行う産業廃棄物の種類ごと都道府県の知事の許可が必要とされています。対象者は、申請書を含む必要書類を都道府県や同法施行令で定める市に提出します。許可は、収集や運搬を行う都道府県ごとに必要なため、廃棄物を積載する収集場所とそれらの運搬先の都道府県が異なる場合は、それぞれの都道府県での許可が必要となります。

47 都道府県、69 政令市を対象とした産業廃棄物処理業の許可件数の統計によると、平成29年4月1時点の産業廃棄物処理業の許可件数は204,132件になっています。その中で、処理業全体に対する収集運搬業の占める割合は9割で、残りが処分業となっているため、産業廃棄物処理業の許可を得る処理業者の多くは収集運搬業で占められていることがわかります。また、無許可の産業廃棄物収集運搬業を行った場合は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課せられることから、これらの業務に携わる場合必ず許可を得る必要があります。
<参考>環境省 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に関する手続
<参考>東京都環境局 産業廃棄物の不適正事例
<参考>環境省産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許認可に関する状況

講習会の受講

産業廃棄物収集運搬業を行うにあたり、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターによる処理業講習会を受講する必要があります。法人の代表者や役員、事業主が講習会を受講し、テストの合格することで終了証を取得できます。この終了証が、許可申請の際に必要となります。

<参考>公益財団法人JWセンター 2019年度講習会の申込受付開始のお知らせ

処理に必要な施設・設備

産業廃棄物収集運搬業を行うための施設や設備は必須となります。廃棄物は、固体や泥状など種類によって性質や形状が異なるため、それぞれの特徴に適した容器や車両での収集運搬が必要となります。

産業廃棄物収集運搬車両・容器に関するコラムはこちら
<参照>産業廃棄物収集運搬車両・運搬容器の種類と特徴

経理的基礎

産業廃棄物収集運搬業を行うにあたり、事業を的確に維持管理するための財政管理能力などの経理的基礎を有していることが必要とされます。具体的には、事業主が税金の滞納をせず、自己資本比率が10%を超えていること、10%を超えていない場合でも債務超過がないこと、将来的に見ても利益が見込まれることなどを決算書や納税証明書などの提出により証明する必要があります。

<参考>環境省産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)

欠格要件

法律に則った適正な業務を遂行することが期待できない人物を排除することを目的とし、申請者の適正を判断するために、以下の欠格要因に該当しないことが産業廃棄物収集運搬許可の条件となります。
1.成人被後見人または被保佐人
2.破産者
3.産業廃棄物処理法などの違反し、過去に刑罰を受けている者
4.申請者の資質や社会的信用の面からみて、将来的に不適正な業務をするおそれがある者
5.暴力団員
6.そのほか

<参考>環境省産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)

まとめ

産業廃棄物を収集・運搬するにために、産業廃棄物収集運搬許可が必要となります。許可取得には、事業に必要な施設や設備を保有しているかどうかだけでなく、事業主や法人の代表者などが講習を受けて産業廃棄物に関する知識を確かなものにし、将来的に事業としての利益が見込まれるか、申請者が適正な処理を行うことが可能な人物かどうかも判断されます。収集運搬業の場合、運搬する際の道順や搬入時間など、生活環境保全上で問題なく運営できかどうかなど細かな部分まで配慮する必要があり、許可申請に関して提出書類も多いことから、必要に応じて専門家に相談することも視野に入れておきましょう。

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