
自治体から届いた通知やクレジットカードの利用明細…個人情報の漏洩リスクが高い書類は何気なく捨てるのも怖いし、気を遣いますよね。
この記事では、個人情報書類の捨て方を解説します。
- 多少お金や時間をかけてでも、しっかり漏洩対策したい!
- 忙しいから、手軽にパパッと済ませたい
それぞれにおすすめの方法をご紹介するので、ご自分に合った方法を試してみてください。
個人情報保護に注意したい書類の種類は?
「個人情報」という言葉はよく耳にするものの、「結局どれが個人情報なんだろう?」と思ったことはありませんか?
ここでは、まず個人情報とは何なのかを解説します。個人情報が記載された書類の例もまとめているので、ご自分が処分したい書類がどれに該当するのかチェックしてみてください。
個人情報とは「特定の個人を識別できる情報」
「個人情報」とは、基本的に氏名・生年月日・住所・顔写真などによって生存する特定の個人を識別できる情報のことです。さらに、ほかの情報と照らし合わせれば簡単に個人を特定できる情報も含まれます。
例えば、生年月日は単体では特定の個人を識別できません。同じ日に生まれた方は世の中にたくさんいるためです。しかし、氏名や住所などほかの情報と組み合わせれば特定できるため、個人情報として扱われる場合があります。
このほか、マイナンバーやパスポート番号のように、番号や記号などで表された1つの情報から特定の個人を識別できる情報を「個人識別符号」といいます。データ化された顔写真や指紋なども符号に変換して電子処理を行うため、個人識別符号に該当します。
また、上記には当てはまらないものの、公開されると本人が差別・偏見などを被る恐れがある情報を「要配慮個人情報」といいます。例えば、人種や信条・宗教、病歴、犯罪に関する経歴・事実などは、知られることで不当な評価を受ける可能性がある情報です。
家庭で書類を処理する際は、この3種類の情報が漏洩しないようにしっかり対策する必要があります。
【参考資料】
「個人情報保護法」を分かりやすく解説。個人情報の取扱いルールとは?|政府広報オンライン
マンガで学ぶ個人情報保護法|個人情報保護委員会
ご家庭にある個人情報書類の例
下記の表は、お家に溜まりやすい個人情報書類を分類したものです。
書類カテゴリ | 書類の例 | 読み取れる個人情報 |
---|---|---|
契約・申し込み | 契約書、申込書、社会保険・税関連の書類など | 氏名、住所、署名、マイナンバー |
郵便・配送 | はがき・封筒、送り状、DM、自治体からの通知など | 氏名、住所、連絡先など |
購入・支払い | レシート、請求書・領収書、利用明細など | 口座番号、クレジットカード番号、家族構成など |
医療・健康 | 病院の診療明細・調剤明細、薬剤情報など | 病歴、服薬・保険情報など |
仕事 | 会社書類、給与明細など | 勤務先、収入、口座番号など |
記録媒体・データ | CD・DVD、USBメモリなど | 電子データ |
身分証のコピー・複製 | 免許証、保険証、マイナンバーカードなどのコピー | 氏名、顔写真、住所、マイナンバーなど |
上に挙げた書類のなかでも、身分証のコピーは本人に直結する情報です。紛失・漏洩のリスクが非常に高いため、取り扱いには注意しましょう。
また、お子さんが持ち帰る学校からのお知らせでも、お子さんの名前・年齢、学校名などが特定される恐れがあります。個人情報書類ではありませんが、処分時は注意が必要です。
【参考資料】
学ぼう個人情報|個人情報保護委員会
家庭ごみから個人情報が漏洩するリスク
家庭ごみから個人情報が漏洩して不正利用された場合、次のようなトラブル・犯罪に巻き込まれてしまう恐れがあります。
- 営業電話・DM、勧誘の電話などが増える
- 不正送金や架空請求、特殊詐欺などのターゲットにされる
- ストーカーや脅迫のターゲットにされる
- 「なりすまし犯罪」に巻き込まれる
「なりすまし犯罪」とは、他人のフリをして違法行為を行う犯罪です。近年はSNSやマッチングアプリなどでのなりすましが横行していますが、個人情報書類を悪用したなりすまし犯罪も少なくありません。
漏洩した個人情報が「ダークウェブ(闇サイト)」で売買されると、被害はさらに広がります。ダークウェブで扱われる個人情報はインターネット上のものというイメージがありますが、物理的に手に入れた個人情報を入力することもできますよね。個人情報書類を処分する際は、十分注意して捨てるようにしてください。
【参考資料】
漏えい等の対応とお役立ち資料|個人情報保護委員会
個人情報の捨て方【しっかり対策したい方向け】
自分や家族を危険にさらさないために、書類を捨てる際はしっかり個人情報を保護したいものですよね。
ここでは、多少時間やお金をかけてでもばっちり対策したい方に向けて、次の3つの方法を解説します。
- 個人情報書類を水に浸ける
- 家庭用のシュレッダーを使う
- 個人情報書類の処分サービスを利用する
どの方法でも手間やコストが発生するものの、そのぶん安全性が高いです。手軽にパパっと対策したい方におすすめの方法も後でご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 個人情報書類を水に浸ける
紙の書類は、ちぎって水に濡らしてしまえばまず読めなくなります。
バケツやたらい、洗面器などを用意して、次の手順で処理してみてください。
- 書類をちぎって入れていく
- 水を注いで、30分ほど放置
- 水の中でさらに細かくちぎる
- しっかり水切りして、可燃ごみとして処分
水を張った容器に乾いた書類を入れても、なかなか沈みません。先に書類をちぎって入れ、その上から水をそそぐと簡単です。また、ざるを用意しておくと水切りがラクになります。
紙をふやかして個人情報を読み取れなくするという点では、ちぎった書類を生ごみと一緒にビニール袋に入れて処分するのも効果的です。生ごみが付着した書類を抜き出そうとするのは至難の業ですよね。さらに、紙が生ごみの水分を吸収するため、悪臭対策にも役立ちます。
大量に書類がある場合は洗濯機で一気に!
家族が多いご家庭では、個人情報の書類も増えがち。上でご紹介した方法では「時間がいくらあっても足りない!」という方もいるかもしれません。
個人情報書類が大量にある場合は、洗濯機を活用すると作業時間や労力を減らせます。次の手順を試してみてください。
- 書類をちぎって、洗濯ネットに入れる
- 洗濯ネットごと水に濡らし、よく揉みこんで柔らかくする
- 洗濯機の「ドライモード」で脱水
- 洗濯ネットから取り出してビニール袋に移し、可燃ごみとして処分
洗濯機を使うと、水の中で細かくちぎる作業と水切りを短縮できます。洗濯槽にちぎれた紙が散らばると大惨事になるため、洗濯ネットの口はしっかり閉じておいてください。
書類を水に濡らして処分するデメリットは、紙が水分を含んで重たくなることです。そのため、一度に大量に処分しようとすると、回収場所までもっていくのが大変になる可能性もあります。ご自分の体力と相談しつつ処分するようにしましょう。
2. 家庭用のシュレッダーを使う
個人情報書類が家に増えやすい方は、家庭用シュレッダーを導入するのもおすすめです。ご家庭で使いやすいシュレッダーの種類とそれぞれの特徴・価格を下記の表にまとめました。
シュレッダーのタイプ | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
電動タイプ | ・裁断が早くてラク ・カードやCD・DVDを細断できる製品もある |
4,000円前後 |
手動タイプ | ・電気代がかからない ・軽くて持ち運びやすい |
1,000円前後 |
シュレッダーばさみ | ・置き場所に困らない ・切りたい部分をピンポイントで切れる |
500円前後 |
シュレッダーを選ぶ際は、投入した書類の細断方式も重視しましょう。縦横に細かく切れる「クロスカット」方式だとより安心です。
3. 個人利用可能な書類廃棄サービスを利用する
個人情報の処理に時間をかけられない場合は、業者の書類廃棄サービスの利用も検討してみてください。
個人でも利用しやすいのは「シュレッダーサービス」と「書類溶解サービス」の2種類です。どちらも、専用キットやお手持ちの段ボール箱に書類を詰めて発送するだけで処分が完了します。
回収された書類は、シュレッダーで細断されたり溶解炉で溶かされたりした後にリサイクルされるため、環境にも優しいです。多少コストがかかるものの、引越しや実家の整理のように腰を据えて作業できないときに助かります。
個人情報の捨て方【手軽に対策したい方向け】
個人情報が記載された書類を無造作に捨てるのは危険です。けれども「お金や時間はかけたくない!」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、ご家庭にあるアイテムで簡単にできる次の3つの対策を解説します。
- 個人情報が記載された箇所のみ塗りつぶす
- 書類に粘着テープを巻く
- CD・DVDはカッターで傷をつけておく
先にご紹介した方法より安全性が多少劣るものの、いずれも個人情報を読み取りにくくできる方法です。ご自分の取り組みやすい方法を選んでみてください。
1. 個人情報が記載された箇所のみ塗りつぶす
書類に記載された個人情報が少なければ、黒の油性マジックで塗りつぶすのが手軽です。該当箇所にピンポイントで対策できます。
ただし、ボールペンやほかの色のマジックペンだと、たとえ油性でも下の文字が透けやすいです。また、ペンのインク量や紙の素材によってもうっすら透けてしまうこともあります。
なるべく透けないように、黒の油性マジックペンやネームペンを使ってしっかり塗りつぶしておきましょう。
書類の個人情報箇所に押す「保護スタンプ」も便利
個人情報を塗りつぶすには、該当箇所に押せる「保護スタンプ」も便利です。
個人情報保護スタンプは、不規則な文字列で該当箇所をカバーできるスタンプです。価格は高くても1,000円前後、100円ショップでも手に入ります。ハンコ式やローラー式などがあるため、使いやすいものを1つ持っておくと便利です。
ただし、保護スタンプを押すと確かに目視では読み取りにくくなるものの、スマホアプリで撮影・加工すれば元の情報を復元できてしまう可能性もあります。個人情報書類の中でも、漏洩リスクが低そうなものを手軽に片づけるために使うとよいでしょう。
2. 書類に粘着テープを巻く
個人情報書類を粘着テープでぐるぐる巻きにして処分するのもおすすめです。
書類を破くか丸めるかした後にテープで固めるように巻けば、簡単には剥がせません。細かい手作業もないため、お子さんと一緒にやってみるのもよいでしょう。
3. CD・DVDはカッターで傷をつけておく
個人情報が保存されたCDを処分する際は、光沢がある面にカッターで傷をつけましょう。力をこめて、数本しっかり傷をつけてください。
光沢がある面に傷をつけると、CDの「記録層」にダメージを与えることができます。傷が入ったCDは、読み込みできないですよね。さらに、傷の上に粘着テープを貼って剥がすと記録層も一緒に剥がせるため、より安全に処分できます。
DVDも同様の方法で対策できますが、こちらは2層構造になっているためまずは2枚に分ける必要があります。DVDの層の隙間にカッターの刃を差し込み、くるっと1周させると簡単に剥がれるため、ぜひ試してみてください。
CD・DVDは、自治体によって分別方法がわかれやすい品物です。可燃ごみとして扱うケースが多めではありますが、正しく処分するためにも事前に自治体のホームページをチェックしてみるとよいでしょう。
まとめ
個人情報書類は情報漏洩のリスクが高いため、他人に見られないようにきちんと対策したうえで処分する必要があります。
この記事では、「お金や時間はかかるものの安全性が高い捨て方」と「ご家庭にあるアイテムでできる手軽な捨て方」を分けて解説しました。ご自分のライフスタイルや状況に合った方法で対策し、トラブル・犯罪被害を防止しましょう。