
「冷蔵庫の奥から、賞味期限切れの調味料を見つけた…」
このような経験がある方も多いのではないでしょうか。また、引越しや遺品整理のように、大量の調味料を処分しなければならないタイミングもあるでしょう。皿に残った少量の醤油やドレッシングならまだしも、ボトルごとだと「どうやって捨てたらいいの?」と悩みますよね。
この記事では、調味料の捨て方を種類・形状別に解説します。調味料を排水に流すデメリットや傷み具合の目安もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
大量の調味料を捨てるには?【種類・形状別】
調味料類は、基本的に可燃ごみとして捨てることができます。
しかし、一口に「調味料」といっても、形状や味・素材はさまざまですよね。そこでこの記事では、調味料の種類・形状を捨て方ごとに以下のようにまとめました。
- 液体調味料:醤油や酢、みりん・料理酒など。または、ソースやケチャップ・マヨネーズなど、とろみがある調味料
- 油分が多い液体調味料:ドレッシングや食用油など
- 固体調味料:味噌やジャム・はちみつ、バターなど
- 粉末調味料:砂糖・塩、こしょう、顆粒コンソメ・だしなど
種類・形状ごとにまとめた調味料の捨て方を詳しく解説します。
① 醤油・酢など「液体調味料」の捨て方
醤油・酢など液体の調味料は、吸収させると可燃ごみとして処分できます。まず、次の道具を用意しましょう。
- キッチンペーパー、新聞紙などの吸収材
- 牛乳パック、またはビニール袋
- 粘着テープ
最初に、牛乳パックにくしゃくしゃにしたキッチンペーパーや新聞紙を入れます。そこに調味料を注ぎ入れ、しっかり吸収させてください。少し時間が経って吸収できたら、牛乳パックの口を粘着テープでぐるぐる巻きにしてしっかり閉じ、可燃ごみに出しましょう。
液体調味料の処分には液漏れ・臭い漏れをしにくい牛乳パックを使うのが便利ですが、ご家庭になければビニール袋でも代用可能です。ビニール袋を使う場合は二重にして、調味料が漏れ出すのを防ぎましょう。
ケチャップやマヨネーズなど、とろみがある調味料も同じ方法で捨てられます。香りが強いものが多いため、臭い漏れ対策には特に気を配ってください。
② ドレッシングなど「油分が多い液体調味料」の捨て方
ドレッシングや食用油、焼き肉のたれなど油分が多い調味料は「廃油処理袋」を使うと簡単に捨てられます。
廃油処理袋とは、あらかじめ吸油剤が敷き詰められた袋やパックのことです。ホームセンターやドラッグストア、100円均一などで販売されています。数枚セットの製品が多いため、処分したいドレッシングや食用油が何本も大量にある場合にも便利です。
廃油処理袋を使うと、ドレッシングなどを注ぎ入れるだけで処理が完了します。注ぎ込んだ調味料が完全に吸収されたのを確かめたうえで、袋の口をきつく縛って可燃ごみに出しましょう。
また、食用油については自治体が回収している場合もあります。以下の記事もぜひご覧ください。
③ 味噌やジャムなど「固体調味料」の捨て方
味噌やジャム・はちみつ、バターなどは、冷蔵庫から取り出した直後は固体です。しかし、常温になるにしたがって液状に変わるため、液漏れ対策を施しておく必要があります。
例えば、古紙やキッチンペーパー、古布に調味料を包んだうえでビニール袋に入れると、液漏れを起こしにくいです。ビニール袋の口を固く縛っておくと、さらに安心して捨てられます。
④ 砂糖・塩など「粉末調味料」の捨て方
粉末状の調味料の多くは、水分を含まなければ液状になることはありません。そのため、小さめのポリ袋に入れて口を縛り、可燃ごみの袋に入れればOKです。
しかし、万が一袋が破けた場合、周囲に調味料の粉末が散らばってしまいます。特に、砂糖や塩は害虫発生の原因になりやすいため注意が必要です。心配な方は、例えば砂糖や塩が入っている袋ごとポリ袋に入れたり、ポリ袋を二重にしたりして対策しましょう。
大量の調味料をシンクに流すとどうなる?
普段の食器洗いでは、少量の調味料はそのままシンクに流れていくこともあるはずです。「それなら、たとえ調味料が大量であっても排水に流してよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、それはNG。家の設備や周辺の水環境に悪影響を及ぼしかねません。ここでは、大量の調味料をシンクに流すとどうなるのか、NGの理由とあわせて解説します。
排水管が詰まる原因になる
大量の調味料をシンクに流すと、排水管が詰まったり故障したりする恐れがあります。調味料と排水が混ざって、粘り気のある蓄積物が生成されるためです。
市販の調味料には、一般的に次のような物質が多く含まれています。
- 油分
- 糖分・塩分
- 増粘剤やゲル化剤
ドレッシングや合わせ調味料であれば、香味野菜のペーストやみじん切りなどが入っている製品も多いでしょう。このように、さまざまな物質を含んだ調味料をシンクに流すと、排水管の中で水と混ざって粘度の高い蓄積物が生成されます。
「何かベタベタしていると思ったら、知らぬ間にこぼれた醤油やドレッシングだった」ということはありませんか?あのべたついた汚れと同じ物質が、排水管の中に滞留するイメージです。ベタベタした蓄積物はその後に流れてきた食物かすや油分・塩分も吸着するため、どんどん大きくなります。
排水を阻害するまで大きくなると、修理やメンテナンスも大変です。調味料を捨てなければならないときは、先にご紹介した方法で正しく処分しましょう。
水質汚染の原因にも!
調味料を排水として流すと、水質汚染の原因にもなります。自治体の下水処理場の設備によっては、調味料に含まれる成分が完全に除去しきれないまま環境中に放出されてしまう可能性もあるためです。
調味料に含まれる油分や塩分・糖分、化学物質などが河川に流れ込むと、魚などの水棲生物が暮らせなくなってしまいます。次の表は、大さじ1杯分の調味料が河川に流れ込んだ場合、魚が棲める状態に戻すにはどれほどの水量が必要かをまとめたものです。
調味料(すべて大さじ1) | 必要な水量(バスタブ1杯=300Lで換算) |
---|---|
醤油 | 450L(バスタブ1.5杯分) |
マヨネーズ | 3900L(バスタブ13杯分) |
ドレッシング | 2100L(バスタブ7杯分) |
食用油 | 5100L(バスタブ17杯分) |
20gに満たない量の調味料が流れ込んだだけでも、河川に大きな影響を与えることがわかります。
また、排水に流した調味料が海まで辿り着いた場合「赤潮」の発生にもつながります。赤潮とは、栄養分が過剰な状態の海水に植物プランクトンが大量発生する現象のことです。プランクトンの色によって海水が赤く変わるため、赤潮と呼ばれています。
赤潮が発生すると、魚のえらにプランクトンが詰まったり、プランクトンがもつ毒を取り込んだりして、魚の大量死を引き起こすこともあります。河川や海の莫大な水量と比べると、家庭にある調味料はほんのちょっとの量に感じるかもしれません。しかし、環境には大きな影響を及ぼすのです。
【参考資料】
家計にもやさしい生活排水対策・10の工夫|環境省
1.水質汚濁の現状|全国浄化槽推進市町村協議会
なぜ赤潮(あかしお)は発生するのですか。|農林水産省
調味料の容器はどう捨てる?
調味料の容器の分別方法は自治体ごとに異なるものの、大きく「可燃ごみ」か「資源ごみ」に分けられます。
プラスチック製の容器であれば「容器包装プラスチック」や「プラスチック資源」で捨てられるケースもあります。分別の区分だけでなく「ごみ回収に出す前に洗うかどうか」も異なるため、事前にお住まいの市区町村の公式ホームページを確認してみてください。
容器を洗って回収に出す場合、通常の食器のように洗うと排水に流れる調味料が増えてしまいます。容器に付着した調味料は、キッチンペーパーなどで拭き取って洗いましょう。わさびやからしのようなチューブ状の容器を洗う場合は、チューブごと真ん中をはさみで切って中を拭うと簡単です。
調味料の容器を燃えるごみとして回収に出せる自治体では、洗わずに出してOKとしているところも多いです。洗うことで調味料が排水に流れてしまうので、このような自治体では洗わずにそのまま出してください。
【参考資料】
空きびん・ペットボトルの出し方|福岡市
イラストで見る「容器」「包装」|公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会
処分した方がよい調味料のサインは?
「長い間使っていない調味料を見つけたけれど、まだ使えるのか捨てるべきなのか分からない…」
「賞味期限が切れた調味料って、本当に使えないのかな?」
このような疑問を抱く方も多いでしょう。ここでは、調味料の賞味期限と処分すべきサイン・目安を解説します。
調味料の賞味期限
調味料は、賞味期限が切れていても使用できる場合が多いです。
「賞味期限」は「その食べ物を美味しく食べられる期間」を指しているため、「期限が過ぎると食べられない」わけではありません。保存状態がよく、見た目や味に問題がなければ、ある程度は使用できます。
市販の一般的な調味料は、賞味期限を次の基準で定めています。未開封の状態と使いかけでは賞味期限が大きく変わるため注意してください。
調味料 | 開封前の賞味期限 | 開封後の賞味期限 |
---|---|---|
醤油、酢、みりん | 製造から1〜2年 | 1カ月以内に使い切るのがベスト。最低でも1年以内に使い切る |
味噌 | 製造から6〜12ヵ月 | 3〜12ヵ月 |
ケチャップ、マヨネーズ | 製造から約1年 | 約1~3ヶ月以内に使い切るのがベスト |
上の表に載っていない料理酒や砂糖・塩は、年月の経過によって状態が変わりにくい製品です。そのため、賞味期限の表示義務がありません。保存状態さえよければ古いものも使用可能です。
ただし、砂糖の中でも黒糖は、時間が経つにつれて風味が変わる可能性もあります。ほかの製品も時間の経過によって香りが飛んだり味の濃さが変わったりすることがあるため、開封後はできるだけ早く使い切りましょう。
【参考資料】
消費期限と賞味期限|農林水産省
砂糖あれこれ|農林水産省
賞味期限が書かれていない食品があるのは、なぜですか?|東京都保健医療局
調味料の傷み具合の目安・サイン
「まだ食べられる調味料を見分けるには、どこを見ればいいの?」
このように迷う方に向けて、ご家庭に常備されていることが多い調味料の傷み具合のサインを表にまとめました。
調味料 | 傷み具合の目安・サイン |
---|---|
砂糖 | ・湿気や水分によって溶けてしまった部分がある ・部分的に変色している ・虫が混入している |
酢 | ・白い膜が張っている ・酸味がない |
みりん | ・酸っぱい臭いがする ・白く濁っている |
醤油 | ・色味が黒ずんできた ・表面にカビのようなものが浮いている ・味にえぐみがある |
味噌 | ・ツンとした酸っぱい臭いがする ・糸を引いている ・表面に黒や緑のカビが生えている |
表に記載されていない調味料のうち、塩は無機物なので腐ることがありません。金属に触れると変色する場合がありますが、色が変わった部分のみ取り除けば使用できます。周囲の臭いを吸着しやすいため、保存環境に注意しましょう。
まとめ
大量の調味料を捨てる方法を解説しました。
まとまった量の調味料を捨てる場合は、液漏れ・臭い漏れ対策が重要です。シンクに直接流すと、排水管の詰まりや環境汚染の原因にもなります。ご紹介した方法で、正しく処分するようにしましょう。
また、調味料は賞味期限がある程度過ぎていても、保存状態がよければ使えるケースも多いです。「本当に捨てなければならないのかな?」と感じたら、状態を見るために見た目や香りをチェックしてみてください。