ゴムくずとは?ゴムくずの種類や廃棄量統計の現状と課題

コラム

ゴムくずとは?

産業廃棄物のうちの1種類である「ゴムくず」とは、天然ゴムを主原料としたゴムくずのことです。
合成高分子化合物による合成ゴムくずは、廃プラスチック類に分類されます。
<参考>公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター) 産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類

天然ゴムくずとは?天然ゴムくずと合成ゴムの違い

天然ゴムと合成ゴムの違いは、基本的には原料や製造方法が違うことです。

天然ゴムくずとは?

天然ゴムはゴムノキの樹液であるラテックスを加工することで作られます。
天然ゴムの生産量はインドネシア、タイ、ベトナムなど東南アジアの熱帯地域が多く、日本はインドネシアやタイからの輸入に頼っています。
合成ゴムより強度や弾力性があるとされています。
<参考>帝国書院 統計地図 原材料 天然ゴムの生産トップ10と日本の輸入先

合成ゴムくずとは?

合成ゴムは石油を主原料とし、人工的に合成された合成高分子化合物を含むゴムのことです。産業廃棄物の分類としては合成高分子化合物による合成ゴムの廃棄物は、ゴムくずではなく廃プラスチック類になります。
天然ゴムより強度などは劣るものの、比較的安く製造することができます。

ゴムくずの廃棄量統計

平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、ゴムくずの排出量は36千トンになっており、前年度の平成27年度のゴムくずの排出量23千トンと比べると、排出量は増加傾向にあります。

産業廃棄物の種類別の処理状況(図:産業廃棄物の種類別再生利用率、中間処理による減量化率及び最終処分率)の統計によると、ゴムくずの処理の比率は再生利用量60%、減量化量20%、最終処分量19%という結果になっています。
最終処分率は、燃え殻(22%)に次いでゴムくず(19%)という順番になっており、産業廃棄物の中でも2番目に最終処分率が高いという結果になっています。

種類別でみる最終処分率

1. 燃え殻(22%)
2. ゴムくず(19%)
3. ガラスくず、コン クリートくず及び陶磁器くず(16%)
4. 廃プラスチック類(16%)
5.繊維くず(11%)
<参考>産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

ゴムくずのリサイクル方法

ゴムくずは再生ゴムなどとしてリサイクルされますが、品質や製造コストの課題があります。

廃棄だけではない天然ゴムの生産の課題

天然ゴムの原料であるゴムノキは東南アジアなどの熱帯地域で育ちます。このような場所は、ゾウやトラなど希少な野生生物が暮らすための貴重な森でもあります。実際にインドシナ半島など各地で、ゴム農園の開発などにより自然環境が失われる事態が生じています。この問題に対し、森林保全や動物たちの保護、地域住民や労働者の権利にも配慮した上で持続可能な天然ゴムの生産に取り組むため、2018年10月に企業やNGOが「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム:GPSNR(Global Platform for Sustainable Natural Rubber)」を設立しました。2019年3月にはシンガポールで第1回総会が開催され、天然ゴムの生産などに関わる企業や大手のタイヤメーカーや自動車メーカなど39の企業や団体が参加しました。

持続可能な天然ゴム生産のための今後の具体的な課題

・持続可能な天然ゴムの国際基準の策定
・天然ゴムのトレーサビリティの確立
・小規模農園の生産者との連携と協力

現状として天然ゴム生産の大部分は、企業による大規模な農園ではなく、小規模な農家が行っています。さらに、今後も天然ゴムの需要の増加が見込まれることでゴム農園を拡大しようとする新しい生産地で小規模農家の経済的貧困、ゴム生産の知識と経験の不足による生産の不効率や自然破壊といった多くの問題があります。
これらの問題に対して、どのように取り組んでいくかは天然ゴム生産の今後の重要な分岐点になるでしょう。

<参考>WWFジャパン 持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム

まとめ

ゴムくずの最終処分率は産業廃棄物の中でも燃え殻の次に高く、リサイクルする際にも再生ゴムの品質や製造コストの面から課題はいくつかあります。
そして、天然ゴムは廃棄処理するときだけでなく生産時にも課題があります。例えば、天然ゴム生産の大部分を担う小規模農園の貧困や知識不足による自然破壊問題など今度取り組まなくてはいけない課題は多数あります。2018年に設立された「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム:GPSNR」による課題解決に向けた活動はまだ始まったばかりです。
日本ではゴム製品はよく目にするものの、その生産農園を見ることはほとんどないことから、問題の大きさを実感しにくい現状にあります。産業廃棄物のゴムくずの廃棄方法を考えると同時に、無駄なゴムくずを出さないためにも貴重な天然資源ということを考えながら生活していきたいものです。

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