
夏になると増えてくる蚊。あのイヤな羽音が聞こえると、すかさず蚊取り線香や電気蚊取り器をつける方も多いのではないでしょうか。
蚊取り線香を使い終わった後、使いかけや残った灰はどのように処分していますか?また、電気蚊取り器の薬剤が入ったボトルやマット、本体の捨て方に悩む方も多いかもしれません。「殺虫成分が入っているし…」と考えると、普通の可燃ごみや不燃ごみのように捨ててよいか迷いますよね。
この記事では、蚊取り線香や電気蚊取り器の捨て方を解説します。線香の灰や電気蚊取り器の液体・マットの処分方法も丁寧に解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
蚊取り線香の捨て方
蚊取り線香そのものは、基本的に可燃ごみとして処分できます。未使用でも、使用済みでも同じです。
使用済みの蚊取り線香を捨てる際は、完全に火が消えていることを確認してください。火がくすぶったままごみ袋に入れると、発火の恐れがあります。
蚊取り線香をはじめ、タバコや線香・お香の火は炎を出さずに燃える「無炎燃焼」です。炎が出ないため火種が消えたかどうか分かりづらく、長時間ひそかにくすぶり続けることもあります。
可燃ごみのごみ袋には、紙や古布、ほこりなどさまざまな可燃物が入っているはずです。燃えやすいごみの中に火がくすぶったままの蚊取り線香を捨てると、長い時間が経っていても発火する可能性があります。蚊取り線香を捨てる際は、ごみ袋に入れる前にしばらく冷やしたり、水に漬けたりしてしっかりと火種を消しておきましょう。
【参考資料】
ロウソクや線香の火災にご注意を!!(暮らしの情報)|名古屋市
無炎燃焼の再現|堺市
蚊取り線香の灰の捨て方
蚊取り線香の受け皿に溜まった灰も、可燃ごみとして捨てることができます。小さめのポリ袋に移して口を固く結んだうえで、可燃ごみのごみ袋に入れましょう。
受け皿に溜まった灰は、冷え切るまで待ってからポリ袋に移します。細かな灰は飛び散りやすいため、周囲に散らばらないように気をつけましょう。ポリ袋を固定して、受け皿をティッシュで拭うように移すと簡単です。
蚊取り線香の灰は、使用後にその都度捨てるようにしてください。受け皿に大量の灰を溜めていると、内部の温度がなかなか下がりません。逆に温度が上がって「異常燃焼」を起こす可能性もあります。
また、蚊取り線香そのものの燃焼時間も短くなりやすいです。蚊取り線香の灰は長期間放置せず、冷めたらすぐに処分しましょう。
灰をシンクに流すのはNG
蚊取り線香の灰を処分しようと、キッチンシンクや排水口に流すのはNGです。受け皿に残った細かな灰をすすぐ程度であれば問題ありませんが、直接投入するのは止めましょう。
灰には、水と混ざると固まる性質があります。特にキッチンシンクの排水口は、食べ物の油や食器用洗剤のかすなどが流れ込む場所です。水と混ざってドロドロの状態になった灰は、それらの油分と結合すると排水管にこびりついてしまいます。
さらに、灰はアルカリ性のため、長期間排水管に溜まっていると水道管を傷めます。内部が錆びたりもろくなったりすれば、大がかりな修理も必要です。灰は排水口に流すのではなく、先にご紹介した方法で処分するようにしましょう。
蚊取り線香の灰は肥料に使える?
蚊取り線香の灰は、少量であれば植物の肥料にも使えます。特に、酸性に傾きすぎた土壌を改善したいときにアルカリ性の灰を加えると効果的です。
植物にはそれぞれの生育に適したpHがあります。例えば、次の植物は中性~弱アルカリ性の土を好みます。
- 花…チューリップ、スイートピー、グラジオラスなど
- 野菜…アスパラガス、ホウレンソウなど
- ハーブ…ラベンダー、ローズマリーなど
土壌のpHによって色を変えるアジサイは、アルカリ性の土壌ではピンク色になります。
しかし、土壌に灰を大量に加えるとアルカリ性に傾きすぎてしまいます。過度にアルカリ性が高い土では、植物に必要な栄養素が行き届きません。
また、蚊取り線香の殺虫成分であるピレスロイド系薬剤が灰に残っている可能性もあります。害虫予防になるケースもありますが、ミミズなどの益虫や微生物に影響する可能性も捨てきれません。肥料として使いたい場合は、少しずつ試すようにしましょう。
【参考資料】
野菜の好適土壌pHを把握しましょう|JAこうか
蚊取り線香の受け皿・缶などの捨て方
蚊取り線香の受け皿や缶は、素材ごとに分別します。特に受け皿には灰や煤がついているため、ティッシュや古布で軽く拭いてごみに出しましょう。
金属製なら不燃ごみや金属ごみとして扱う自治体が多いです。蚊取り線香が入って居た缶は、ほかのびん・缶とともに資源ごみとして回収するところもあります。
陶製の受け皿は、多くの場合不燃ごみです。陶器や植木鉢と同じように分別するとよいでしょう。
電気蚊取り器の捨て方
電気蚊取り器は、液剤やマットを熱して殺虫成分を揮散させることで蚊を落とす製品です。
ここでは、次の3つに分けて処分方法を解説します。
- 液体式蚊取り器のボトル
- 蚊取りマット
- 電気蚊取り器本体
蚊取り器のボトルやマットには、濃度の高い殺虫成分が含まれています。人間には害がないとされていますが、処分の際は注意しましょう。
液体式蚊取り器のボトルは「プラスチックごみ」
液剤タイプの電気蚊取り器のボトルは、プラスチックごみとして処分できます。できるだけ中身を使い切って捨てるようにしましょう。
中身が残っている場合は、次の手順でボトルを開けて液剤を取り出してください。
- ボトルが動かないように固定する
- マイナスドライバーをボトルと中栓の隙間に差し込み、少しずつ持ち上げる
- 中栓が外れたら、液剤を新聞紙や古布に吸収させる
液剤を吸収した新聞紙などは、乾燥させて可燃ごみとして処分しましょう。
自治体の分別ルールによっては、プラスチックについて「容器包装プラスチック」と「プラスチック製品」を区別している場合があります。電気蚊取り器の液剤のように、殺虫剤が入っているボトルは「プラスチック製品」です。お住まいの自治体の分別ルールを確認したうえで、プラスチック製品として処分してください。
【参考資料】
どう捨てる?プラスチックごみに関する法律と分別方法の関係|国立環境研究所
蚊取りマットは「可燃ごみ」
ほとんどの自治体では、蚊取りマットは可燃ごみとして扱われています。ほかの可燃ごみと同じごみ袋に入れて処分しましょう。
蚊取りマットには、ピレスロイド系の殺虫成分が染みこんでいます。加熱していない状態ではほとんど無臭ですが、ある程度の量を集めるとニオイをきつく感じるかもしれません。大量の蚊取りマットを捨てる場合は小さなポリ袋にまとめ、可燃ごみの袋に入れると安心です。
電気蚊取り器本体は「小型家電回収」へ
電気蚊取り器本体は、不燃ごみとして処分します。「小型家電リサイクル法」の対象製品になっているため、自治体が設置している「小型家電回収ボックス」に入れるのがおすすめです。
小型家電回収ボックスは、市区町村の施設や大型家電量販店に設置されています。自治体によって投入口の大きさに差があるものの、電気蚊取り器は多くの回収ボックスに入る大きさです。電池式の場合は、必ず電池を取り外して回収に出しましょう。
電気蚊取り器を小型家電リサイクルに出す方法には、自治体が指定する回収場所にもっていく「拠点回収」や認定事業者に送る「宅配回収」もあります。
「認定事業者」とは、正しい方法でリサイクルしていると国に認められたリサイクル業者です。使用済みの小型家電を宅配回収してもらう際には、きちんと認定を受けた業者に依頼する必要があります。認定を受けていない業者では、正しい方法による処理・リサイクルが行われていない可能性があるためです。
民間の小型家電回収サービスを利用したい場合は、業者のホームページやパンフレットに認定事業者を示す文言やマークがあるかどうか確認してみてください。
【参考資料】
回収方法|一般社団法人 小型家電リサイクル協会
使用済み小型家電のリサイクル|政府広報オンライン
蚊取り線香・電気式蚊取り器の効果的な使い方は?
先にもお伝えしたように、蚊取り線香や電気蚊取り器は加熱によって殺虫成分を揮散させて蚊を落とします。空間全体に殺虫効果を行き渡らせるため、蚊取り線香や蚊取り器は風上に設置しましょう。
室内で使用する際は、エアコンや扇風機、サーキュレーターを使用して空気の流れを作ると効果的です。屋外で使用する場合は、風の流れを考慮して設置場所を選びましょう。風向きが変わりやすい場所では、複数個用意しておくと安心です。
また、蚊取り線香を使いかけのまま翌年に持ち越すこともあるかもしれません。前年の残りでも効果は変わりませんが、保管している間に湿気が溜まると燃えにくくなります。蚊取り線香を保管する際はお家の中でも乾燥している場所を選び、可能であれば乾燥剤も活用してみてください。
蚊取り線香や電気式蚊取り器を使う際の注意点
せっかく蚊取り線香や電気蚊取り器で蚊を避けても、気分が悪くなったりケガをしたりしては本末転倒ですよね。蚊取り線香や蚊取り器の使用には、次の3つの注意点があります。
- 燃えやすいもののそばに置かない
- 蚊取り線香は風通しのよい部屋で使う
- 電気蚊取り器は本体の温度に注意
必ず守ってほしい3点をそれぞれ解説します。
燃えやすいもののそばに置かない
蚊取り線香は火をつけて使用するものです。タバコの火やストーブなどと同じように、燃えやすいもののそばには置かないようにしましょう。
特に気を付けてほしいのは、衣服などの布類や紙ものです。炎が大きくなる前、小さな火がつきやすいのは布や紙だといわれています。床や棚に置いてある衣類や書類だけでなく、ご自分が着用している衣服が火に触れないように注意してください。
蚊取り線香は風通しのよい部屋で使う
蚊取り線香は、屋外や風通しのよい室内で使うようにしましょう。部屋を閉め切ったまま使っていると、気分が悪くなったり鼻や口・のどの粘膜を痛めたりする可能性があるためです。
蚊取り線香の殺虫成分は、本来なら蚊のような小さくて軽い虫にのみ効果を発揮するものです。しかし、長時間換気をしない状態で使っていると、人間にも刺激を与えます。特に、小さな赤ちゃんや妊婦さんがいる空間では注意してください。
電気式蚊取り器であれば、基本的に閉め切った部屋でも使用可能です。また、プッシュ式の蚊取り器では、室内に効果をしっかり行き渡らせるため、プッシュ後にしばらくドアや窓を閉めておく必要があります。使いたい場所やシーンによって、蚊の対策グッズを使い分けるとよいでしょう。
電気蚊取り器は本体の温度に注意
電気蚊取り器の使用中は、本体も熱くなります。火傷には十分に注意してください。
多くの電気蚊取り器には、一定温度以上にはならないように自動温度調整機能がついています。しかし、例えばマット式の蚊取り器は、使用中の加熱部分が160℃前後になります。液体式でも本体上部や蒸散口は140℃前後になるため、不用意に触れるのは危険です。
小さいお子さんがいるご家庭では、手が届かない棚の上などに設置するとよいでしょう。
【参考資料】
電気蚊取り(マット・液体式)|日本家庭用殺虫剤工業会
まとめ
蚊取り線香や電気蚊取り器の捨て方を解説してきました。
蚊取り線香やその灰は、どちらも可燃ごみとして処分できます。線香の火は炎が出ない「無炎燃焼」であるため、水に浸けるなどして確実に消火しましょう。
電気蚊取り器の液剤は新聞紙などに吸収させて可燃ごみ、ボトルはプラスチックごみです。蚊取り器本体は不燃ごみとして「小型家電回収ボックス」に入れると簡単に処分できます。拠点回収・宅配回収という方法もあるため、利用しやすい方法で処分してみてください。