湿気取りのゼリー・液体の捨て方は?注意点と除湿剤交換の目安を解説

クローゼット・靴箱やシンク下の湿気対策として使う方も多い湿気取り(除湿剤)。手軽に設置できるため便利ですが、使用後の捨て方に迷ったことはありませんか?

特に、湿気を吸うとゼリーや液体に変わるタイプの湿気取りは、「このまま捨ててもいいのかな」「ゼリーも取り出さなければならないの?」と悩みますよね。

湿気取りのゼリーや液体は、ご家庭でも簡単に処分できます。しかし、誤った方法で捨ててしまうと思わぬトラブルにつながる可能性も。正しい方法を守って処分することが重要です。

この記事では、湿気取りのゼリー・液体の捨て方を解説します。処分時の注意点や交換の目安、シリカゲルタイプの処分方法なども詳しくご紹介しますので、ぜひご覧ください。

まずは湿気取りの種類・タイプを知ろう

湿気取りは、使われている物質によって大きく「塩化カルシウム系」「シリカゲル系」に分けられます。

「塩化カルシウム」とは、塩素とカルシウムの化合物のことです。水に溶けやすく、強い吸湿性と潮解性(固体が空気中の水分を吸って溶け、水溶液になる性質)があります。そのため、塩化カルシウム系の湿気取りは使用後にゼリー状の物質や液体が残ります。

一方、「シリカゲル」は二酸化ケイ素を原料とした物質です。シリカゲル系の除湿剤は、1粒1粒が空気中の水分を物理的に吸着してくれます。A型・B型の2種類があり、A型は食料品・医薬品などの乾燥剤として、B型は衣類や空間の除湿剤として使われることが多いです。

シリカゲル系の除湿剤はそのまま捨てられますが、塩化カルシウム系の湿気取りは使用後に残ったゼリー・液体と容器を正しい方法で分別・処分する必要があります。

【参考資料】
除湿剤でたまった液は水じゃない|一般社団法人 日本化学工業会

塩化カルシウム系湿気取りの捨て方

塩化カルシウム系の除湿剤のうち、使用後ゼリー状になる製品はシート型や小袋タイプが多いです。液体化するものは、タンクやスタンドパックで水を溜められるようになっています。

ここでは、まず吸湿後に残ったゼリー・液体の捨て方と処分時の注意点を解説します。除湿剤の容器の処分方法も後ほどご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

使用後ゼリー状になる除湿剤の捨て方

使用後ゼリー状になった湿気取りは、そのまま可燃ごみとしてごみ回収に出してください。除湿剤の形状に関わらず、中身を出す必要はありません

多くの自治体ではゼリー状になった除湿剤を可燃ごみとして扱っていますが、不燃ごみとして処分する場合もあります。楽器類の保管に使用する大型の除湿剤については不用品回収業者への引き取り依頼を推奨している自治体もありますが、そのような市区町村でも家庭用の一般的な湿気取りであれば可燃ごみとして処分できる場合が多いです。

湿気を吸収してゼリー状に変わる除湿剤は、湿度が高すぎる空間ではゲル化が追いつかず、一時的に液体化するケースがあります。その場合はゼリー状に変わるまで数日待ち、その後に処分しましょう。

【参考資料】
横浜市ごみ分別辞典「MIctionary(ミクショナリー)」
家庭ごみ分別50音事典_か行|広島市

使用後液体になる除湿剤の捨て方

吸湿して液体になった除湿剤は、洗面台やトイレから排水として流すことができます

液体のみをザーッと流すのではなく、水道から水を出して液体を薄めながら流すようにしましょう。液体に混ざっていた溶け残りも、水に溶かしながら一緒に流してください。

使用後の除湿剤に溜まった液体は、水ではなく塩化カルシウムの水溶液です。そのため、濃度が高いまま排水に流すと排水管を傷めてしまう恐れがあります。

築年数が経っていてご家庭の配管・排水設備に不安がある場合は、液体は流さずに新聞紙やキッチンペーパーなどで吸収し、ビニール袋にまとめて可燃ごみとして回収に出すとよいでしょう。作業をするときは必ずゴム手袋などを着け、液体が素肌に触れないように注意してください。

湿気取りのゼリー・液体を処分する際の注意点

塩化カルシウム系除湿剤のゼリーや液体の処分には、3つの注意点があります。

  • ゼリー・液体が皮膚に付かないように気を付ける
  • 周囲に成分が残らないようしっかり後処理
  • 液体を植物にかけない

注意が必要な理由と具体的な方法を詳しく解説します。いずれも必ず守ってほしいポイントなので、しっかり確認しておきましょう。

ゼリー・液体が皮膚に付かないように気を付ける

湿気取りを処理するときは、ゼリーや液体が素肌につかないように十分注意しましょう。ゴム手袋や保護メガネをつけて作業するのがおすすめです。

塩化カルシウムは、適切に使用すれば人体への影響が少ない物質です。しかし、皮膚に触れると肌が極度に乾燥したり、ただれたりする恐れがあります。

また、水分を吸収する際に熱を発するため、濡れた手で触れるとやけどを起こしかねません。処理の工程そのものは簡単な分、慎重に行うようにしてください。

万が一肌に付着した場合、または目に入ってしまった場合は、数分間しっかり水で洗いましょう。石鹸や洗顔料は使わずに水のみでしっかり洗い、患部に異変を感じたらすぐに病院を受診してください。

【参考資料】
塩化カルシウム|職場のあんぜんサイト

周囲に成分が残らないようしっかり後処理

湿気取りのゼリーや液体を処理した後は、周囲に塩化カルシウムが残らないようにきちんと拭きとっておきましょう

塩化カルシウムに含まれている塩分には、金属のサビつきを促進する作用があります。塩分と空気中の水分が化合することで、金属を酸化させてしまうためです。

特に使用後の除湿剤は、既にたっぷりと水分を吸収している状態。洗面所やキッチンだけでなく、水気が少ない場所でも金属の酸化を促進してしまいます。洗面台やシンクには改めて水を流して乾拭き、除湿シートを切ったはさみなどもきちんと後処理しましょう。

床や壁、家具などは必ずしも金属製ではないものの、塩化カルシウム水溶液がこぼれるとシミになってしまいます。また、何かの拍子にご自分やご家族が触れてしまいかねません。こぼれてしまった場合は、水拭きと乾拭きを何度か繰り返してしっかり取り除いてください。

衣類や布製品に湿気取りのゼリー・液体がかかった場合は、まず入念に水洗いしましょう。クリーニング店に依頼する場合は、受付時に除湿剤の液が付着したことを伝えておくと適切なケアをしてもらえます。

【参考資料】
除湿剤から液が漏れた!|一般社団法人 日本化学工業会
家庭用除湿剤の液漏れ|奈良県

液体を植物にかけない

先にも触れたように、タンク型・スタンドパック型の湿気取りに溜まった液体は水ではなく塩化カルシウム水溶液です。塩分が多量に含まれているため、水と同じように庭や植木にまくと植物が枯れてしまいます

除湿剤の液体について、植物を枯らしてしまう作用を活かし「除草剤として再利用」を勧めているケースもあります。しかし、無機物である塩化カルシウムは土壌で自然に分解されないため、除湿剤をまいた土に半永久的に残留してしまいます

今生えている雑草だけでなく、今後すべての植物が生えにくくなってしまうため、除湿剤を除草剤として使うのはおすすめできません

さらに、先にご紹介したように塩化カルシウムは金属の腐食を促進してしまうため、巡り巡ってご自宅周辺の建物・インフラにも影響を及ぼす可能性もあります。除雪剤・凍結防止剤を使用する豪雪地域では、実際に塩化カルシウムの道路環境への影響が懸念されています。周辺環境の為にも、使用後の湿気取りはご紹介した方法で正しく処分しましょう。

【参考資料】
凍結防止剤|みんなのひろば|日本植物生理学会
路面凍結防止剤が道路環境に及ぼす影響とその対策|国立大学56工学系学部長会議

湿気取り容器の分別方法は?

除湿剤の容器は、可燃ごみか「容器包装プラスチック」として扱う自治体が多いです。

特にタンク型の除湿剤には、塩化カルシウム水溶液がこぼれないように厚手のプラスチックが使われています。そのため、可燃ごみではなく資源ごみとして回収・リサイクルしている自治体も多いです。中身の液体はできる限り残さずに処理したうえで、お住まいの自治体が指定する分別方法で処分しましょう。

可燃ごみであっても液体が入ったまま捨てるのはNGです。収集車内で粉砕される際、あたりに散らばって回収員の方が怪我をする恐れがあります。中身が出せない形状の場合は不燃ごみとして扱う場合もあるため、処分の前に確認しておきましょう。

【参考資料】
除湿剤 プラスチックケース|柏市
除湿剤容器<プラスチック製>|静岡市
市区町村によるプラスチックの分別収集・リサイクル|環境省

シリカゲル系湿気取りの捨て方は?

シリカゲル系の除湿剤は、基本的に可燃ごみとして処分可能です。

シリカゲルは水濡れすると発熱するケースもあるため、ごみ袋の中に極力水分が含まれないように気をつけましょう。湿気取りのみ小さなポリ袋に入れたうえで指定のごみ袋に入れると簡単です。

ただし、自治体によっては不燃ごみ・プラスチック系ごみとして扱う場合もあります。心配な方はお住まいの市区町村のホームページを確認してみてください。

【参考資料】
「シリカゲル(乾燥剤)」は何ごみで捨てればいいですか?|神戸市
シリカゲルB型の溶媒の吸着による温度上昇|独立行政法人 環境再生保全機構

シリカゲル系湿気取りは再利用も可能

シリカゲル系湿気取りの中には、乾燥させれば複数回使用可能な製品もあります。このような除湿剤であれば1度使っただけですぐに捨てる必要もなく、エコですよね。製品パッケージや説明文に「再生可能」「繰り返し使える」と書かれていないかチェックしてみてください。

シリカゲルを乾燥させるには、次の3つの方法があります。

  • 電子レンジで加熱(500~600W程度で2~3分)
  • フライパンで炒る
  • 天日干し

電子レンジで加熱する際は、袋から出して電子レンジ対応の皿に入れます。一気に加熱すると熱が均等に入らないため、1分ごとに取り出して軽くゆすって混ぜるとよいでしょう。

フライパンで炒る場合も、弱火でゆっくりゆすりながら加熱するのがコツです。熱したシリカゲルは、粗熱が取れるまで放置してください。使用する際は、布製や紙製の小袋に入れると便利です。

天日干しで乾燥させると時間がかかるものの、焦がす心配がなく安心です。天気がよくて風がなく、湿度が低い日に干しましょう。

乾燥させて繰り返し使用できる期間は1年程度です。湿気取りの表面に汚れ・毛羽立ちが目立ち始めたり、中のシリカゲルが黄ばんできたら期限内でも取り替えてください。

湿気取りの交換時期の目安は?

湿気取りについて、「どのタイミングで交換すればよいのか、毎回迷う」という方も多いのではないでしょうか?一般的な湿気取りは、次のようなサインで交換時期を見極めることができます。

湿気取りのタイプ 交換時期のサイン
吸湿後液体化するタイプ
(タンク型・スタンドパック型)
・液体が容器の目盛りに達したら
・塩化カルシウムの粒がなくなったら
吸湿後ゼリー状になるタイプ
(除湿シートや小袋型)
・全体が柔らかく、ゼリー状になったら

タンク型・スタンドパック型の除湿剤は、目盛りを超えたまま使用し続けると液体が容器からあふれてしまう可能性もあります。液体が目盛りに達したら、すぐに交換するようにしてください。

また、除湿シートや小袋型の湿気取りは、ぱっと見ただけでは交換のサインがわかりにくいです。半月~1カ月に1度ほどチェックすると決めておくとよいでしょう。

塩化カルシウム系除湿剤は、効果が1~4か月程度持続する製品が多いです。もし1か月以内に除湿剤が液体またはゼリー状になる場合は、メーカーの想定よりも空間の湿度が高いと考えられます。こまめに空気を入れ替えたり、エアコンのドライモードや除湿器を併用したりして、湿度対策を工夫してみてください。

まとめ

湿気取りはご家庭でも簡単に処分できますが、正しい方法をしっかり守ることが大事です。

特に、使用後に残ったゼリーや液体が皮膚に付くと、やけどのような症状を起こす可能性もあります。ご自分の身体をはじめ、家の設備や家具を傷めないように十分に注意してください。

除湿剤の効果を十分に得るには、交換のタイミングも重要です。各製品パッケージには効果が持続する期間が明記されていますが、除湿剤の設置場所やお家・土地の特性、周辺環境によって左右されます。ご紹介した交換の目安も参考にしながら、定期的にきちんと取り替えましょう。

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