汚泥とは?汚泥の種類や廃棄量統計の現状とリサイクル方法

汚泥とは?

産業廃棄物のうちの一種である汚泥とは、工場からの廃水など処理後の汚泥、各種製造業の製造工程で排出された泥状物、活性汚泥法による余剰汚泥、カーバイトかす、ビルピット汚泥、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥などのことです。
PCBが染み込んだ汚泥は特別管理産業廃棄物となるので注意が必要です。

<参考>公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター) 産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類

汚泥の廃棄量統計

平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、汚泥は産業廃棄部の中で最も排出量が多く、排出量は167,316千トン(全体の43.2%)になっており、前年度の平成27年度の汚泥の排出量169,318千トン(43.3%)と比べると、排出量は減少しています。

種類別排出量

1 汚泥     約1億6,732万トン(43.2%)(前年度 約1億6,932万トン(43.3%))
2 動物のふん尿 約8,047万トン(20.8%)  (前年度 約8,051万トン(20.6%))
3 がれき類   約6,359万トン(16.4%)  (前年度 約6,421万トン(16.4%))

産業廃棄物の種類別の処理状況(図:産業廃棄物の種類別再生利用率、中間処理による減量化率及び最終処分率)の統計によると、汚泥の処理の比率は再生利用量1%、減量化量92%、最終処分量7%という結果になっています。産業廃棄物の中で再生利用の比率が低い順から見ていくと、汚泥(7%)、廃アルカリ(19%)、廃酸(27%)という結果になっており、再生利用の比率が最も低い産業廃棄物であることがわかります。
このように、減量化量が多く、再生利用量が低い理由の一つとして、汚泥が水分を多く含み、中間処理にて脱水を行うことが挙げられます。

<参考>環境省 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

汚泥の中間処理方法

汚泥は大量の水分を含んでいるため、ほとんどの場合は脱水などの中間処理を行ってから最終処分や再利用を行います。
一般的な処理の流れとしては汚泥の発生後に、重力、遠心、浮上、分離などによる濃縮を行い、脱水処理を行います。脱水処理後に焼却を行い、減量化する場合もあります。汚泥の脱水方法として、天日乾燥、遠心脱水や加圧脱水など脱水機を使った処理方法があります。

天日乾燥による脱水方法

天日乾燥は、太陽の熱や風など自然の力による乾燥方法のため、電力消費が抑えられるという利点はありますが、乾燥のための広いスペースが必要となります。

加圧脱水機や遠心脱水機を使用した脱水方法

加圧脱水機や遠心脱水機によって脱水する場合は、初期段階に脱水機の導入コストがかかるものの、天日乾燥より省スペースで短時間に脱水できることから、脱水機の使用が注目されています。

汚泥のリサイクル方法

汚泥は、主に有機汚泥と無機汚泥の2種類があります。

有機汚泥のリサイクル

【下水汚泥】
下水処理で生じる下水汚泥は水分の割合が高いものの、下水処理を行う過程で、有機物を分解や同化することで増殖した微生物菌体が存在するため、適切な水分除去を行うことでバイオマスとして利用できるとされています。
【紙やパルプ業からの汚泥】
脱水後に焼却処分されますが、焼却時に発電などエネルギー回収する場合もあります。焼却灰は、土壌改良材やセメント原料、路盤材に利用されます。
【食品工場で発生する汚泥】
消費期限切れの食品などの粗大有機物と一緒にコンポスト化されて肥料としてリサイクルされます。

無機汚泥のリサイクル

【建設汚泥】
建設工事の際に生じる建設汚泥は、溶融処理を行い砕石などの土木資材として再利用する方法や、脱水・乾燥処理やセメントなどの固化材を加えることで、埋め立てなどで土砂の代わりとして使用する埋戻し材として再利用する方法があります。
【浄水場汚泥】
濃縮・脱水・乾燥処理を行った上で今までは埋め立て処分されていましたが、近年はセメント原料などへのリサイクルが進められています。

<参考>国立研究開発法人国立環境研究所 汚泥処理・再資源

まとめ

汚泥は水分を多く含むことから、運搬する際には汚泥吸排車や汚泥吸引車、タンクローリーなど専門車両を使用するなどの他の産業廃棄物との違いがあります。
汚泥を処分やリサイクルをする際に、濃縮や脱水処理が必要となり、このような処理をより高い精度で行うことによって、その後のリサイクル製品もムラなく高品質なものを製造できるようになります。そのため、産業廃棄物を処理する際には、日々進化するリサイクル情報をいち早くキャッチし、それぞれの性質に合った処理を行うために新機材導入の有無などを見極める力が必要です。

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