産業廃棄物マニフェストの書き方とは?種類別の書き方を徹底解説

産業廃棄物マニフェストとは、産業廃棄物の処理を明確化するために使用する書類です。産業廃棄物のルールは、厚生省(現在の環境省)が廃棄物処理法として定めています。

自身で処理する場合にも、他の業者に委託する場合にも、産業廃棄物がどこから出てどのように処理されたかをわかるように記入する事が義務付けられています。

産業廃棄物マニフェストの種類と様式

産業廃棄物マニフェストにはいくつか種類があります。

まず、媒体として

の2つがあります。

紙媒体は数枚の色のついたマニフェストが複写式で1つになっており、1枚1枚切り取って使用します。電子マニフェストは名前の通り、パソコンを介し、WEB上でマニフェストのやり取りを行う事ができるので、紛失や、読み取れない、などの人的ミスが避けられます。

ですが、今までのルール通り進めたほうがわかりやすい、という業者も多いため、紙媒体のマニフェストも数多く残っているのが現状です。

※紙媒体のマニフェストの規格は統一されており、法で定められていないものを使用すると措置命令の対象となる恐れがあります

産業廃棄物マニフェストの種類

産業廃棄物マニフェストの種類は大きく分けて3種類あります。

事業系マニフェスト 産業廃棄物を運搬・処理する場合
建設系廃棄物マニフェスト 建設現場で出た産業廃棄物を運搬・処理する場合
積替保管用マニフェスト 産業廃棄物を運搬業者の倉庫などに保管、別の業者が積替え、運搬する場合

事業系マニフェスト、建設系廃棄物マニフェストどちらを使うかは、排出される産業廃棄物の種類や排出先の現場によって異なります。

契約書の時点から異なるため、契約書を確認しマニフェストを発行するようにしましょう。詳しくは廃棄物処理法、もしくは業者間のルールで定められていますので確認してください。

産業廃棄物マニフェストの種類別の書き方

産業廃棄物マニフェストの書き方をご紹介します。

産業廃棄物によっては最終処分が終了し、排出業者にE票を送るまでに数カ月から半年かかる事があります。排出業者にマニフェストを返送する期限は決められていますので、後回しにせず、処分が終わり次第すぐに送るようにしましょう。

また、それぞれの業者が手元にマニフェストを最低5年間保管する義務があります。

事業系マニフェストの書き方

事業系マニフェスト、別名"直行用マニフェスト"とも呼ばれます。

事業系マニフェストは全部で7枚、運搬、処理の度にそれぞれの業者に対し控えが発生します。作業完了後は排出事業者へ報告を兼ね、マニフェストを送付します。

1枚目 A票 排出事業者保管
2枚目 B1票 運搬業者控
3枚目 B2票 運搬後、運搬業者から排出事業者へ送付
4枚目 C1票 処分業者控
5枚目 C2票 処分業者から運搬業者へ送付
6枚目 D票 処分業者から運搬業者へ送付、確認後排出事業者へ送付
7枚目 E票 最終処分終了後、処分業者から排出事業者へ送付

 

事業系マニフェスト

各項目について記入する内容を説明します。

産業廃棄物が発生した日付
排出事業者の氏名または名称・住所・電話番号
排出場所の名称または現場名・住所・電話番号
排出した廃棄物の種類にチェック
排出する廃棄物の重量、荷姿、名称、処分方法など
該当項目がなければ斜線、委託契約を交わしていれば「委託契約書記載のとおり」にチェック
運搬業者、運搬先の事業所の名称・住所・電話番号
処分委託者の名称・住所・電話番号、積替え保管があれば右側に記入
運搬業者の会社名・作業者名・サインもしくは印鑑
B2票、D票、E票を送付、返送されてきた時の日付

マニフェストに事前に印字されている交付番号を使い管理を行います。

建設系廃棄物マニフェストの書き方

建設系廃棄物マニフェストの書き方をご紹介します。

事業系マニフェストと同じく、全部で7枚、運搬、処理の度にそれぞれの業者に対し控えが発生します。建設系廃棄物マニフェストは、建物を建築、解体する時に出るコンクリートがらやアスファルトがら、石膏ボードなどの廃棄物の項目が別にあり、運搬業者を複数記入する事ができます。

建設系廃棄物マニフェスト

産業廃棄物が発生した日付
排出事業者の住所・氏名または名称・電話番号
排出場所の住所・現場名・電話番号
排出する廃棄物の種類、単位を◯で囲み、数量を記入
該当項目がなければ斜線、委託契約を交わしていれば「委託契約書記載のとおり」にチェック
1つ目の収集運搬業者の住所・氏名または名称・電話番号、積替保管の有無、運搬車両の情報
2つ目の収集運搬業者の住所・氏名または名称・電話番号、積替保管の有無、運搬車両の情報
運搬先事業所の住所・名称・電話番号・処分方法
処分業者の住所・氏名または名称・電話番号
積替保管がある場合は記入
運搬業者の会社名・作業者名(サインもしくは印鑑)

マニフェストに事前に印字されている交付番号を使い管理を行います。

産業廃棄物マニフェストの書き方を間違えるとどうなる?

産業廃棄物業者は、年に1回行政のチェックを受ける事が必須となっています。そこで排出量や、排出先、処分先、廃棄物の内容に不正な点が見られた場合、行政処分をくだされる事があります。そのため、マニフェストの記載、保管は厳重に行う必要があるのです。

マニフェストの間違いに気づいた場合は斜線、訂正印で修正する事ができます。複写になっているので、何度も修正してしまうと汚れてしまい見にくくなってしまいますので気をつけましょう。

もし、他の業者の手に既に渡ってしまっていたマニフェストを修正するとなると大変です。関係各所に連絡、修正の通知、依頼を行い、A票からE票まで矛盾がないように修正する必要があります。不安であれば念のため、管轄の都道府県に確認をとりましょう。

マニフェストの書き方を間違えた時にやってはいけない事

それはマニフェストを「再発行」する事です。マニフェストの発行は産業廃棄物を排出するタイミングで行うものなので後から新しく発行する事は違反行為です。

その点、電子マニフェストはパソコン上で修正する事ができるため、修正が簡単です。WEB上で関係各社に変更の承認をもらい、修正を行います。承認を受け修正した事は記録され、証拠として残す事ができます。

産業廃棄物マニフェストを違反した場合の罰則とは

産業廃棄物のマニフェストのルールは廃棄物処理法という法律で定められています。このルールに反してしまった場合(ミスや漏れなども含む)は以下のような罰則を受けます。

  • 1年以下の懲役
  • もしくは100万円以下の罰金

また、違反した内容によっては、行政からの処分も課されます。

さらに、刑事告発をされた場合は裁判に発展し、刑事処分、取引先から訴えられた場合は民事訴訟など様々なペナルティがあります。

措置命令と罰則についてはこちらで詳しく紹介されています。
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/action/index.html

まとめ

産業廃棄物マニフェストは一見、何のルールも持たないように見えがちですが、正しく産業廃棄物が処理されているという事を証明する大事な書類です。

マニフェスト1枚には多くの企業や業者が関係しており、契約書と同様とても大切な書類ですので、慎重に扱い、保管する事をおすすめします。

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