食品リサイクル法において、食品循環資源の再生利用(リサイクル)を円滑に実施するための「登録再生利用事業者制度」について解説します。
目次
登録再生利用事業者制度
登録再生利用事業者とは、再生飼料・再生肥料のような食品循環資源を製造している事業者のうち、基準を満たし、登録を受けた事業者のことを指します。
食品廃棄物等を適切に再生利用するリサイクル業者の育成を図るため、申請に基づき主務大臣がリサイクル業者を登録するための制度のことです。(食品リサイクル法第11条)
令和2年6月末時点で161社が登録されています。
登録再生利用事業者制度のメリット
登録再生利用事業者制度は任意の制度のため、登録を受けていない方も再生利用事業を行うことは可能です。
この制度を利用した場合の再生利用事業者側、食品関連事業者側のそれぞれのメリットをまとめました。
再生利用事業者のメリット
- 廃棄物処理法の特例が受けられる。
荷卸し地における一般廃棄物の運搬にかかる業許可が不要。
(荷積み地における市町村からの業許可は必要。) - 肥料取締法・肥料安全法の特例が受けられる。
都道府県知事または農林水産大臣へ製造、販売等の届け出を重ねて行うことが不要。 - 優良な事業者として登録されるので、受託先に選ばれる可能性が高い。
食品関連事業者のメリット
- 優良な再生利用事業者(リサイクル業者)を簡単に選べる。
登録再生利用事業者の登録
特定肥料等の製造を業として行うものは、その食品循環資源の再生利用を実施する事業場について、登録の申請を行うことができます。
参照環境省「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律に基づく再生利用事業を行う 者の登録事務等取扱要領」
登録の基準
生活環境の保全にかかる基準
- 受け入れる食品循環資源の大部分を特定肥飼料等製造施設に投入すること。
- 受け入れる食品循環資源が一般廃棄物に該当する場合には、廃棄物処理法第7条第6項の許可を受け、当該食品循環資源の処分を行うことができる者であること。
- 受け入れる食品循環資源が産業廃棄物に該当する場合には、廃棄物処理法第14条第6項の許可を受け、当該食品循環資源 の処分を行うことができる者であること。
- 当該特定肥飼料等が利用されずに廃棄されるおそれが少ないと認められること。
- 受け入れる食品循環資源及び再生利用事業により得られる特定肥飼料等の性状の 分析及び管理を適切に行うこと。
再生利用事業の効率的実施にかかる基準
- 特定肥飼料等製造施設の1日当たりの食品循環資源の処理能力が5トン以上であること。
経理的な基礎にかかる基準
- 再生利用事業を適確かつ円滑に実施するのに十分な経理的基礎を有するものであること。
申請方法
登録を受けようとする事業場ごとに、再生利用事業登録申請書を作成します。
- 肥料、飼料、油脂又は油脂製品を製造する場合は、当該事業場の所在地を管轄する地方農政局長及び地方環境事務所長宛て
- 炭化の過程を経て製造される燃料及び還元剤、油脂製品、エタノール又はメタンを製造する場合は、農林水産大臣、経済産業大臣及び環境大臣宛て
にそれぞれ1部ずつ提出します。
その他、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律に基づく再生利用事業を行う者の登録に関する省令」第1条に定める書類及び図面の添付も必要です。
再生利用事業登録申請書
再生利用事業登録申請書に記載する事項は以下の通り。
- 再生利用事業の内容
- 再生利用事業を行なう事業場(名称・所在地)
- 特定肥飼料等の製造の用に供する施設(種類・規模)
- 特定肥飼料等を保管する施設の所在地
- 特定肥飼料等を販売する事業場の所在地
- 再生利用事業により得られる特定肥飼料等(種類・名称・製造開始年月日・販売開始年月日)
- 特定肥飼料等の製造に使用される食品循環資源の種類
- 特定肥飼料等の製造に使用される食品循環資源以外の原材料の種類
まとめ
過去には廃棄食品が横流しされていた問題で再生利用事業者の登録が取り消しになった産業廃棄物処理業者もありました。
再生利用を推進するための措置として、廃棄物処理法や肥料取締法、飼料安全法の特例が受けられます。
登録事業者数は増加していますが、地域によって登録数に差があることが今後の課題です。
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