「産業廃棄物マニフェストの管理を任されているが、保管期間などのルールがあやふやで不安。」
「ネットで調べても法律用語ばかりでよく分からない。」
そんなお悩みを抱えていませんか?
建設業の事務や総務を担当している方の中には、マニフェストの保管や管理を“なんとなく”で続けている方も少なくありません。
ですが、もし保管期間を間違えていたら…と考えると心配になりますよね。
本記事では、産業廃棄物マニフェストの保管期間や保管方法の基本を、初心者にもわかりやすく解説します。
実務で役立つポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
産業廃棄物マニフェストとは?
産業廃棄物マニフェストとは、廃棄物の処理状況を記録・管理するための重要な書類です。
正式には「産業廃棄物管理票」と呼ばれ、廃棄物が適切に処理されたことを確認するために使用されます。
なぜマニフェストが必要かというと、不法投棄や不適切な処理を防ぐためです。
廃棄物はただ出せば終わりではなく、「誰が出し」「誰が運び」「誰がどう処理したか」といった流れを明確にし、法律に基づいて記録を残す義務があります。
たとえば建設現場でコンクリートがらや木くずなどの廃棄物が出た場合、処理を委託するたびにマニフェストを発行します。
排出事業者、運搬業者、処分業者それぞれの情報や、処理方法・処分完了の報告などが記載され、処理の流れが「見える化」されます。
マニフェストは、単なる伝票ではなく、廃棄物処理法で作成・管理が義務付けられている法的に重要な書類です。
だからこそ、保管期間や保管方法についても正しく理解し、適切に管理することが求められます。
(参考:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」)
マニフェストの保管期間は?立場別に解説
産業廃棄物の紙マニフェストは7枚つづりの模写式の伝票になっています。
それぞれの伝票に決まった役割・提出・保存期間があります。
ここからは、立場別に管理する伝票について解説していきます。
排出事業者の場合
排出事業者が管理する伝票は以下の4種類です。
マニフェスト | 内容 | 保管期間 |
A票 | マニフェストの控え(写し)として保管。交付の証明。 | 交付した日から5年間 |
B2票 | 排出事業者が運搬完了を確認。 | 運搬業者から返送され、受け取った日から5年間 |
D表 | 排出事業者が処理完了を確認。 | 処理業者から返送され、受け取った日から5年間 |
E表 | 排出事業者が処理完了を確認。 | 最終処理業者から返送され、受け取った日から5年間 |
産業廃棄物マニフェストを管理するうえで、保管期間の基準は「E票の受け取った日」に合わせるのが最も確実です。
なぜなら、それぞれ保管の起算日(カウントの開始日)が異なるからです。
排出事業者が最初に作成するA票は交付日から5年間の保存義務があります。
一方で、B2票・D票・E票は“受け取った日”から5年間保管する必要があります。
ここで注意したいのが、A票の交付日をすべての基準としてしまうと、他の伝票がまだ保管義務中なのに処分してしまうリスクがあるという点です。
特にE票は、最終処分が終わったあとに返送されるため、受け取りが最も遅くなることが一般的です。
そのため、A票を基準にして早く書類を破棄してしまうと、法律違反になる可能性もあります。
実務上は、一番最後に返ってくるE票の「受取日」から5年間を基準にして、すべてのマニフェストをまとめて保管するようにすると、安全でスムーズです。
運搬業者の場合
運搬業者が管理する伝票は以下の2種類です。
マニフェスト | 内容 | 保管期間 |
B1票 | 収集運搬業者が運搬記録として保管。 | B2票を返送した日から5年間 |
C2票 | 運搬業者が処理完了を確認。 | 受けとった日から5年間 |
管理する伝票数は少ないですが、保管期間が少しずれています。
C2票の保管期間を基準に保管すると良いでしょう。
処分業者の場合
処理業者が管理する伝票は以下の1種類です。
マニフェスト | 内容 | 保管期間 |
C1票 | 処分完了後に記録として保管。 | C2票を返送した日から5年間 |
処理業者はC1票のみを管理すれば良いため、保管期間を忘れないようにしましょう。
マニフェストの正しい保管方法
産業廃棄物マニフェストを正しく保管するためには、「紙」と「電子」の形式によって管理の方法が異なります。
形式ごとに保管のルールや注意点があるため、内容を正しく理解しておくことが必要不可欠です。
ここからは、紙マニフェストと電子マニフェストの違いや、それぞれの具体的な保管方法について、を追って説明します。
紙マニフェストと電子マニフェストの違い
紙マニフェストと電子マニフェストでは、記録の形式や保管方法が大きく異なります。
紙マニフェストは手書きや複写式の7枚つづりで、物理的な伝票として保管します。
記録の視認性が高い反面、紛失や破損のリスクもあるため、注意が必要です。
一方電子マニフェストはJWNETなどの専用システムを利用し、データとして記録・管理されます。
ただし、導入にはシステムの契約が必要であり、操作にも一定のIT知識が求められます。
このように、それぞれに特徴があるため、自社の運用体制に合った方法を選ぶことが重要です。
紙マニフェストの保管方法
紙マニフェストを使用する場合、適切な分類と安全な保管が必要です。
まず、各伝票(A票〜E票)は排出事業者・運搬業者・処分業者ごとに保管の義務が異なり、それぞれの保管期間も決められています。
例えば、A票は交付日から5年間、B2票やE票は受領日から5年間が保管期間です。
これらの伝票は法定書類のため、劣化や紛失を防ぐために耐火性のある保管庫やファイリングシステムを利用することが推奨されます。
保管ミスによる法令違反を防ぐためにも、受取日を明記し、期限管理を徹底しましょう。
電子マニフェストの保管方法
電子マニフェストはシステム上で記録・保存されるため、紙よりも保管の手間が軽減されます。
電子マニフェストの保管期間も、紙と同様に原則5年間とされています。
ただし、システム上で自動的にデータが蓄積されるため、書類の整理やスペースの確保は不要です。
保管期間中は必要に応じていつでも検索・出力できるので、監査対応にも有効です。
システムの契約や操作方法を把握しておかないと、必要な情報にすぐアクセスできない場合があります。
運用ルールを明確にし、操作マニュアルを整備しておくことで、より安全・確実な管理が可能になるでしょう。
マニフェストを紛失した際の対処法と注意点
産業廃棄物マニフェストを紛失した場合は、早急に対処を行い、適切な対応記録を残すことが重要です。
マニフェストは廃棄物の処理状況を証明する法定書類であり、5年間の保管が義務付けられています。
そのため、紛失しても「仕方ない」では済まされません。
ここでは、紛失時に取るべき対応と、再発を防ぐための注意点を解説します。
マニフェストを紛失した際の対処法
まずニフェストを紛失した際には、紛失した日時や理由、発覚した経緯などを正確に記録しましょう。
そのうえで、伝票の控えを持っている可能性のある排出事業者・運搬業者・処分業者に連絡し、再発行や写しの提供を依頼します。
とくに紙マニフェストは複写式のため、他の関係者が同じ内容の票を保管している可能性が高く、早期に連絡すれば補完できる場合があります。
これにより、保管義務違反のリスクを最小限に抑えることが可能です。
再発防止策の検討
紛失した事実は帳簿などに明確に記録し、社内の管理体制を見直すきっかけにすることが大切です。
保管ミスや記録忘れによる紛失は、行政の監査時に指摘を受ける原因になります。
また繰り返し紛失が起こると、業務の信用問題にも発展します。
そのため、マニフェストの保管場所や責任者の明確化、定期点検の実施など、再発防止のための仕組みを整えることが必要です。
特に紙マニフェストでは、耐火キャビネットや専用ファイルでの管理を徹底し、出し入れの履歴を残す運用が有効です。
電子マニフェストで保管も簡単に
産業廃棄物マニフェストの保管は、電子マニフェストを活用することで効率的かつ確実に行えます。
紙マニフェストでは物理的な管理が必要ですが、電子マニフェストならデータで一括管理でき、検索や保管が格段にスムーズです。
当社では、自走式スクリーンのレンタルおよび販売を行っており、建設現場で発生する廃棄物の分別・処理を効率化することで、現場の作業負担軽減に貢献しています。
電子マニフェストの導入とあわせて、廃棄物管理を含めた現場全体のスマート化を進めることで、より安全かつ効率的な運営が実現できます。
公式サイトでは、製品の詳細や導入事例をご覧いただけますので、ぜひご確認ください。