今回は「専ら(もっぱら)物」について解説します。
「専ら物」とは
「再生利用を目的として回収される一般廃棄物や産業廃棄物」のことを「専ら物」といいます。
具体的には
- 古紙
- 金属くず(古銅等を含む)
- 空きびん類
- 古繊維
の4品目を差します。
産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち、古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱っている既存の回収業者等は許可の対象とならないものであること。
参照環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について」
「専ら物」の実務
専ら物は廃棄物ではないと誤解されることも多いですが、法律上、廃棄物であることは変わりありません。
ただし、専ら物の運用にあたっては、許可やマニフェストの運用が不要といった特例があります。
廃棄物処理業の許可
廃棄物処理法において、専ら物の収集運搬・処分を業として行う場合の許可は不要です。
「免除」となるので、許可を取得しても問題ありません。
一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
参照廃棄物処理法第7条
一般廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
参照廃棄物処理法第7条6
産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
参照廃棄物処理法第14条
産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
参照廃棄物処理法第14条6
産業廃棄物処理委託契約書
専ら物に関する契約書の免除に関する規定はないため、通常の実務通り、産業廃棄物処理委託契約書は必要です。
マニフェスト運用
廃棄物処理法施行規則において、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付は不要とされています。
(産業廃棄物管理票の交付を要しない場合)
専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合
参照廃棄物処理法施行規則 第14条19の3
処理基準
廃棄物処理業の許可を有する廃棄物処理業者は収集運搬基準や処分基準に従わなければなりません。
しかし、先にある通り、専ら物の収集運搬・処分を業として行う場合の許可が不要なため、車両表示義務や書面の携帯などの義務はありません。
ただし、自社で排出した産業廃棄物を自ら処分会社まで運搬する場合(自社運搬)は、収集運搬基準の順守、車両の表示、書面の携帯が義務化されています。
まとめ
「専ら物」の4品目を取り扱っている業者は、処理業の許可やマニフェスト運用が不要といった特例措置の対象となります。
収集運搬基準の順守に関する義務はありませんが、廃棄物の飛散・流出や悪臭などへの対策は必須です。
ただし、管轄の行政によっては解釈が異なる場合もあるので、注意が必要です。
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