「建設現場でもSDGsに貢献できるのか知りたい」
「建設廃材をうまく再利用できないだろうか…」

こうした課題を感じている現場責任者の方は少なくありません。

実は建設業界こそ、リサイクルの取り組みで社会に貢献できる可能性を大きく秘めています。

 

本記事では、建設現場におけるリサイクルの必要性や法律の概要、実際の取り組み事例までをわかりやすく解説します。

建設廃材を無駄にせず再利用するためのヒントを得て、コスト削減と環境配慮の両立を目指しましょう。

建設現場におけるリサイクルの重要性

近年、SDGs(持続可能な開発目標)や環境意識の高まっています。

建設業界でも廃棄物をただ捨てるのではなく、再利用する姿勢が求められるようになってきました。

なぜなら建設廃材の廃棄コストの削減につながるだけでなく、「環境に配慮した企業」として取引先や地域社会から高く評価される要因になるからです。

たとえば、コンクリートやアスファルトを砕いて再利用する現場も増えており、資源の有効活用が進んでいます。

 

ここからは、建設現場におけるリサイクルの現状や抱える課題をわかりやすく解説していきます。

建設現場におけるリサイクルの現状と課題

建設現場でも「廃棄物=資源」という意識が大切です。

国土交通省では、建設工事の現場でどれくらいの廃材が出ているのかを把握するために、5年に1回「建設副産物実態調査」という調査を行っています。

(参考:国土交通省「建設副産物実態調査」)

これはどんな種類の廃材がどれだけ出ていて、どれくらいがリサイクルされているのかを調べる大切な調査です。

調査の結果、リサイクルが進んでいる建材は多くあります。

 

たとえば壊した建物から出るコンクリートやアスファルトは、なんと90%以上が再利用されているというデータもあります。

特に公共工事(道路や学校などの工事)では、「建設リサイクル法」によってリサイクルがしっかりと進められており、法律に沿って再利用する仕組みができています。

 

ただし、すべての建材がうまくリサイクルできているわけではありません。

たとえば木材や複数の素材が混ざった「混合廃棄物」は、分けるのが難しく、手間もコストもかかります。

そのため再利用が進みにくいのが現状です。

また規模の小さな現場では、分別に必要な設備や知識が不足していて、リサイクルがうまくできないという課題もあります。

 

今後の課題のポイントは「技術」と「意識」の向上です。

廃材の処理コストを抑える新しい技術を取り入れたり、現場ごとにきちんと分けて処理するルールを徹底することが求められます。

建設廃棄物のリサイクル率

建設廃棄物のリサイクル率は非常に高いです。

国土交通省の「建設副産物実態調査」によると、主要な建設廃棄物であるアスファルト・コンクリート塊とコンクリート塊の再資源化率は99%以上を維持しています。

平成30年度の確定値では、全体の再資源化・縮減率は約97.2%。

これは建設業界がリサイクルに積極的に取り組んできた成果と言えるでしょう。

 

以下、特に高いリサイクル率を示しています。

・アスファルト・コンクリート塊:99.5%

・コンクリート塊:99.3%

(参考:国土交通省「平成30年度建設副産物実態調査 結果(確定値)概要」)

 

そのため建設現場から出る廃棄物の多くが再利用されており、持続可能な建設業を支える大きな柱となっています。

建設リサイクル法の基本知識

建設廃棄物のリサイクル率が高い背景には、「建設リサイクル法」の存在が大きく関係しています。

この法律は一定基準の建設現場で発生する建設廃材を、分別・再資源化することを義務付けているものです。

つまり、「ただ壊して捨てる」のではなく、「資源として再利用する」ことがルールとして定められているのです。

こうした制度が整ったことで、業者ごとの対応にバラつきが出にくくなり、業界全体で高いリサイクル率を維持できる環境が整ってきたといえるでしょう。

 

また、法による義務化だけでなく、環境配慮やSDGsへの意識が高まるなかで、建設業界全体にリサイクル推進の動きが根付いてきたことも、リサイクル率の向上につながっています。

ここからは、建設リサイクル法についてや、対象となる建設工事・資材の種類などについて、さらに詳しく解説していきます。

建設リサイクル法とは?

建設リサイクル法の正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」といいます。

2000年に制定され、2002年に全面施行された法律で、建設現場から出るコンクリートや木材などの資材を適正に分別・再資源化することを義務付けた法律です。

(参考:国土交通省「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」)

 

建設リサイクル法が施行される前は、建設廃材はあまり分別されず、廃棄物が大量発生していました。

それに伴い、廃棄物の不法投棄も大きな問題となっていました。

そこで施行されたのが「建設リサイクル法」です。

「壊すなら分別して、使えるものはちゃんとリサイクルしよう」というのが建設リサイクル法の基本的な考え方です。

法律の施行により、廃棄物の削減と再資源化が進み、実際に環境への負担が減らされています。

 

建設リサイクル法の対象となっている主な廃材は以下のようなものがあります。

1. アスファルト・コンクリート類
• アスファルトやコンクリートはリサイクルが推奨され、再利用可能です。例えば、アスファルトは再生アスファルト合材として利用され、コンクリートは骨材として再利用されることが多いです。

2. 木材類
• 木材はリサイクルされて、再利用されることがあります。たとえば、木材チップや木材パネルとして再利用されます。

3. 金属類
• 鉄鋼、アルミニウム、銅などの金属は、リサイクルが容易で、新たな建設資材として再使用されます。特に鉄筋などは、再生鉄筋として使用されることが多いです。

4. ガラス類
• ガラスは破砕され、再利用可能な建築資材として利用される場合があります。たとえば、ガラスブロックや内装材などです。

5. プラスチック類
• プラスチック類も建設現場でリサイクルされ、たとえば配管材や外装材などに再利用されます。

6. 石材・砂利類
• 石材や砂利は、路盤材や基盤材、コンクリートの骨材として再利用されます。

7. 瓦・タイル類
• 瓦やタイルは破砕して、再利用されたり、別の建設資材として再加工されます。

8. 混合廃棄物
• 混合廃棄物(複数の廃材が混じったもの)も分別・処理され、リサイクルが進められています。

 

建設リサイクル法の対象となる建設工事は?

建設リサイクル法では、すべての建設現場が対象になるわけではありません。

対象となるのは、以下の一定規模以上の工事です。

工事の種類 対象規模
解体工事 延べ床面積80㎡以上の建物の解体
新築工事 延べ床面積500㎡以上の新築工事
増改築工事 請負金額1億円以上の建築工事
土木工事 請負金額500万円以上の土木工事

これらの工事では、コンクリート塊・アスファルト・コンクリート塊・木材などの分別・再資源化が義務化されています。

また該当工事を行う前には、自治体へ「分別解体等の計画書」の届出を行う必要があります。

これを怠ると後述するように、罰則の対象になります。

建設リサイクル法を違反した際の罰則は?

建設リサイクル法は、法律であるため義務です。

そのため違反してしまった場合には、以下のような罰則が科される可能性があります。

違反内容 罰則
自治体への届出を怠った 20万円以下の過料
分別解体・再資源化を怠った 勧告・命令・罰則(6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金)
虚偽の届出をした 6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金

悪質な場合には、建設業法に基づく業務停止命令や建設業許可の取り消しといった行政処分につながる場合もあります。

建設リサイクル法についてしっかりと理解し、自分が対象かどうか調べる必要があります。

建設リサイクル法の具体的な事例

コンクリート

コンクリートは、主に再生砕石として再利用される場合が多いです。

【事例】ビルの解体工事で出た大量のコンクリートブロック

 

ビルを壊すと、壁や床、柱などから大量のコンクリートのガラ(がれき)が出てきます。
昔はそのまま埋め立て地に捨てていましたが、今ではクラッシャー(破砕機)で砕いて再利用されます。

【再利用の例】

・道路の下地材(砕石の代わり)として使う

・再生コンクリートとして新しい建物や構造物に利用

つまり、「壊したコンクリートが、次の建設で土台になる」という流れができているのです。

 

アスファルト

アスファルトは、主に再生アスファルト合材として再利用されることが多いです。

【事例】道路の補修・舗装工事で発生するアスファルト舗装材

道路工事で古いアスファルトを剥がすと、黒くて硬い塊が大量に出ます。これを「アスファルト・コンクリート塊」といいます。
これも建設リサイクル法の対象で、専用の施設で加熱・再加工して、再び道路の舗装材として使われます。

【再利用の例】

・再生アスファルト合材として再び道路へ

・一部は駐車場や歩道の舗装にも利用

再利用率は非常に高く、ほぼ100%に近い水準を維持しています。

 

木材

木材は、チップ化して再利用されることが多いです。

【事例】一戸建て住宅の解体で出た柱や梁、フローリングの木材

木造住宅を解体すると、大量の木材が発生します。
これらは現場で分別され、使えるものと腐食や塗装が進んでいるものに分けられます。

【再利用の例】

・木くずチップ化し、ボード材(合板など)や紙の原料に

・バイオマス燃料(チップ燃料)として発電所で利用

木材は可燃性が高いため、再生資源として使えない場合でも燃料として有効活用されるケースが多いです。

廃材を再利用して環境配慮とコスト削減の両立へ

建設現場で発生する廃材は、工夫次第で“ただのゴミ”から“再利用できる資源”へと生まれ変わります。
これはコスト削減はもちろん、企業としての環境意識を示すうえでも非常に効果的な取り組みです。

「この廃材、再利用できないだろうか?」
そんな視点を持って現場を見直すことが、これからの建設現場には求められています。

新西工業株式会社では、現場でそのまま使える『自走式スクリーン』のレンタルサービスを提供しています。

この機械を使えば、コンクリートや土砂などの建設廃材を効率よく自動で分別できるため、分別作業の手間が大きく削減します。


分けた資材は再利用や再資源化がしやすくなり、結果として処理コストの削減にもつながります。

是非一度、公式サイトで詳細をご覧ください。

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