
産業廃棄物は、個人で処理することは一般的にできません。
産業廃棄物の処理には法律や規制が厳しく定められており、適切な処理を行うためには専門の業者や施設を利用する必要があります。
この記事では、産業廃棄物の持ち込みが可能な人や処理方法について解説します。
目次
産業廃棄物とは
産業廃棄物は、企業や工場などの事業活動に伴って発生する廃棄物のことで、一般家庭から出る家庭ごみとは区別されています。
産業廃棄物には、有害なものも含まれることがあるため、適切な処理が求められます。
具体的な産業廃棄物の種類は以下の通り。
全ての業種に共通しているもの(12種類) | 燃えがら/汚泥/廃油/廃アルカリ/廃プラスチック類/ゴムくず/ガラス・コンクリート・陶磁器くず/絋さい/瓦礫類/ばいじん |
特定の事業活動に伴う廃棄物(7種類) | 紙くず/木くず/繊維くず/動物系固形不用物/動植物性残渣/動物のふん尿/動物の死体 |
その他 | 上記に該当しないもの(コンクリート固型化物など) |
参考 環境都環境局 「産業廃棄物の種類」
特定の事業に伴う廃棄物は、排出する業種によって扱いが変わるものもあり注意が必要です。
持ち込みが可能な人
産業廃棄物は基本的に「事業で排出される廃棄物」のことを言います。
そのため、「個人」として排出してしまうと法律違反となり罰則が科せられる可能性があります。
しかし、ある条件を満たすことで、個人として排出が可能な場合もあります。それは一体どのような場合なのでしょうか?
この項目で詳しく見ていきます。
個人事業主として届出があれば個人で持ち込み可能
産業廃棄物の持ち込みは、個人であっても個人事業主として開業届が出されていれば、個人名で処理場へ直接持ち込むことは可能です。
個人事業主として届出のない一般の人は、産業廃棄物を処理場へ持ち込むことはできません。生活中に何らかの理由で産業廃棄物が発生した場合は、専門業者への委託が必要です。
産業廃棄物の持ち込みをする届出を出す際は、法人の場合は会社名が必要ですが、個人事業の場合のみ個人名で許可がおります。屋号のみでは許可がおりませんのでご注意ください。
産業廃棄物を一般廃棄物として持ち込むのは違法になるので注意
個人事業主として事業を経営していると、産業廃棄物とはいっても非常に少量になることも多くなります。
そのため、一般廃棄物として持ち込んで処分したいと考えてしまう方もいらっしゃいますが、これは廃棄物の「不法投棄」となり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科されます(廃棄物処理法第25条)。
事業で排出されたものは基本的に「産業廃棄物」と見なされますので、マニフェストを交付して保管・管理し、排出事業者としての責任を最後まで全うする義務があります。
また、産業廃棄物の処理は事業の信頼性に関わるものでもあり、違反すると周囲を巻き込んで罰則を受ける可能性があります。
しっかりと法に則った処分を行う必要があります。
産業廃棄物の処理方法
産業廃棄物の処分方法は大きく分けて2通りあります。
- 産業廃棄物収集運搬業者に処理を委託する
- 産業廃棄物を自身で処分場に持ち込む
産業廃棄物の取り扱い(保管・収集運搬・処分)には許可や資格、適切な施設や車両が必要となります。
産業廃棄物処理を委託するときのルール
産業廃棄物を排出する排出事業者として、まず注意すべきポイントが処分を委託する際の「委託基準」です。
不適切な事業所へ委託してしまうと、処理が適切に行なわれず、排出事業者の責任が問われます。産業廃棄物の収集・運搬および処理を委託する際は、委託基準に則って委託先を選択しましょう。
産業廃棄物の処理を委託する際の基本的な手順は以下の通り。
参照:東京都環境局「処理を委託する場合」、 ECO情報ポータル「産業廃棄物の適正処理について」
産業廃棄物を自身で処分場に持ち込むときのルール
排出事業者が自分で産業廃棄物を処理場に運搬する場合には、定められた事項を車両の両側面に明確に表示することが必要です。
排出事業者が自分で運搬する場合に必要な表示は以下2点。
- 産業廃棄物を収集運搬している旨の表示
- 排出事業者名
また、産業廃棄物を持ち込む際はマニフェストの記載・提出が必要です。
参考:環境省 産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務・「表示義務について」「書類の携帯義務について」
まとめ
この記事では、産業廃棄物を廃棄場に個人で持ち込み可能な人や産業廃棄物の処理方法について解説しました。
産業廃棄物の運搬や処分は、申請も含めて面倒に感じる方も多いかもしれませんが、一般の廃棄物とは異なり取り扱いに注意しなければならない点が数多くあります。
産業廃棄物に関する取り決めは厳しいので、しっかりと手順を踏んで適切に処理を行いましょう。