これまでの記事より、特定の業種から発生する産業廃棄物の具体的な種類や処理方法についてまとめています。
産業廃棄物の種類
廃棄物処理法で定義されている産業廃棄物については、以下の通り。
中分類 | 種類 |
---|---|
業種によらず発生しうる産業廃棄物 | 1. 燃え殻 2. 汚泥 3. 廃油 4. 廃酸 5. 廃アルカリ 6. 廃プラスチック類 7. ゴムくず 8. 金属くず 9. ガラス・コンクリート・陶磁器くず 10. 鉱さい 11. がれき塁 12. ばいじん |
特定の業種から発生する産業廃棄物 | 13. 紙くず 14. 木くず 15. 繊維くず 16. 動物系固形不要物 17. 動植物系残渣 18. 動物の糞尿 19. 動物の死体 |
20. 上記産業廃棄物の処分のために処理したもので、1~19いずれにも該当しないもの |
1~12の業種によらず発生しうる産業廃棄物についてはこちら
13.紙くず
産業廃棄物として扱う紙くずの具体的な種類
産業廃棄物の一種である「紙くず」は大きく分けて以下の2つに分類できます。
- 業種問わずPCBが染み込んだ紙くず
- 以下の特定の業種および事業から生じた紙くず
- 建設業(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)
- パルプ製造業
- 製紙業
- 紙加工品製造業
- 新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)
- 出版業(印刷出版を行うもの)
- 製本業
- 印刷物加工業
オフィスの事務所などで出る古新聞や古雑誌、ダンボールや牛乳パックの紙ゴミは、基本的には一般廃棄物として処理したり、リサイクルに回すことが可能です。
しかし、PCBが塗布もしくは染み込んだ紙くずは、事業者の種類を問わず特定有害産業廃棄物のPCB汚染物に分類されますので注意が必要です。
産業廃棄物として扱う紙くずの処理方法
- 製紙原料としてリサイクル
- RPF(固形燃料)としてリサイクル
- 焼却処理
- 最終処分場での埋め立て
【紙くずの種類・処理方法の詳細はこちら】
14.木くず
産業廃棄物として扱う木くずの具体的な種類
- 建設現場にて発生した木くず
- パルプ製造業にて発生した木くず
- 木材や家具などの木製品を製造するときに発生した木くず
- 輸入した木材の卸売の際に発生した木くず
- 事業活動から生じたPCB※が染み込んでいる木くず
など。
一般廃棄物の扱いとなる木くずとの違いは、多量排出性や有害物質の含有の差異などでわけられます。
産業廃棄物として扱う木くずの処理方法
- チップ化
- 直接埋立・単純焼却
- 燃料化
- エネルギー回収も含む焼却
- 堆肥化
など。
【木くずの種類・処理方法の詳細はこちら】
15.繊維くず
産業廃棄物として扱う繊維くずの具体的な種類
- 洋服や織維製品の製造業を除く繊維工業、または建物の新築や改築、撤去などの建設工事から生じた畳、木綿くず、じゅうたんなどの天然繊維くずが含まれるもの
- PCBが染み込んだ繊維くず
産業廃棄物として扱う繊維くずの処理方法
【リサイクル方法】
- 衣類としての再利用
- 動物の敷きわらとしてリサイクル
- マテリアルリサイクル(ウエス・反毛としての再利用)
- サーマルリサイクル
- ケミカルリサイクル
など。
再生利用できなかったものは、破砕や焼却などをしてから埋め立てるなどの最終処分となります。
【繊維くずの種類・処理方法の詳細はこちら】
16.動物系固形不要物
産業廃棄物として扱う動物系固形不要物の具体的な種類
と畜業、食鳥処理業を発生源とした、と畜場で処分した獣畜、食鳥処理場で処理した食鳥など固形状の不要物のことを指します。
動物の解体によって発生した血液など液体の不要物は、産業廃棄物の廃酸または廃アルカリになります。
産業廃棄物として扱う動物系固形不要物の処分方法
動物系固形不要物の処分方法は、焼却処理を行い焼却灰となった状態で最終処分場へ埋め立てます。
リサイクル方法は、焼却灰をセメント原料や路盤材などへリサイクルする方法があります。
【動物系固形不要物の種類・処理方法の詳細はこちら】
17.動植物性残渣
産業廃棄物として扱う動植物性残渣の具体的な種類
産業廃棄物として扱う動植物性残渣とは、食品製造業・香料製造業・医薬品製造業などの特定業種の事業所から排出された廃棄物であり、元は原料として使用された動物性または植物性の固形状態の不要物を指します。
【動植物性残渣の具体例】
食品製造業・香料製造業・医薬品製造業のいずれかから排出された、
- 貝殻
- 獣または魚のアラ
- 大豆かす
- 醤油かす
- あめかす
- のりかす
- 醸造かす
- 発酵かす
- 薬草かす
など。
液状や泥状のものは廃酸、廃油、廃アルカリ、汚泥などに分類されます。
また、飲食店から排出された調理くずや料理の食べ残しは一般廃棄物の対象となります。
産業廃棄物として扱う動植物性残渣の処理方法
- 肥料化
- 動物の飼料化
- メタン発酵
【動植物性残渣の種類・処理方法の詳細はこちら】
18.動物の糞尿
産業廃棄物として扱う動物の糞尿の具体的な種類
産業廃棄物として扱う動物の糞尿は、畜産農業から排出された牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとりなどのふん尿のことを指します。
産業廃棄物として扱う動物の糞尿の処理方法
- 肥料化(コンポスト)
- メタン発酵や焼却・炭化によるバイオマスエネルギーの高度利用
【動物の糞尿の種類・処理方法の詳細はこちら】
19.動物の死体
産業廃棄物として扱う動物の死体の具体的な種類
産業廃棄物として扱う動物の死体は、畜産農業から発生する牛、馬、豚、めん羊、にわとりなどの死体のことをいいます。
そのため、畜産農業以外の業種で発生した動物の死体は、一般廃棄物の扱いになります。
産業廃棄物として扱う動物の死体の処理方法
- 焼却処理を行い焼却灰となった状態で最終処分場へ埋め立て
- 焼却灰をセメント原料や路盤材などへリサイクル
【動物の死体の種類・処理方法の詳細はこちら】