乾燥剤の捨て方とは?種類や注意点、再利用方法について解説

産廃メディアでは、産業廃棄物やその処理方法についての情報を発信しています。今回は、どの家庭にとっても食卓でなじみの深い「乾燥剤」についての記事です。乾燥剤の処理方法について、詳しく解説できればと思います。

乾燥剤の捨て方は?

さて、お菓子や海苔など、様々な食品の袋に入っている乾燥剤、皆さんはどのように処分されていますでしょうか。特に何も考えず、食品の袋に入れっぱなしのまま捨ててしまう、という方も多いのではないでしょうか。実は、乾燥剤にも"適切な捨て方"が定義されています。

乾燥剤の捨て方は、地方自治体によっても異なりますが、最も一般的なのは、「燃えるゴミ」として処理することです。ただし、地方自治体によっては、「燃えないゴミ」として扱うところもあるようです。

これについては、基本的にどの自治体も、分別一覧表はホームページなどに、ごみの捨て方を明記しているので、ご自身で確認されるのが一番でしょう。

石灰乾燥剤の捨て方に注意

ここまで読んだだけだと、乾燥剤は、「燃えるゴミ」か「燃えないゴミ」かを気にするのみで、特段注意点がないように感じるかもしれません。

ただし、乾燥剤の中でも、「石灰乾燥剤」と呼ばれる種類のものについては、取り扱いに少々注意が必要です。というのも、この石灰乾燥剤は、扱い方を間違えると、発熱、ひどければ発火の可能性があるためです。

乾燥剤の種類

石灰乾燥剤について言及したので、ここで乾燥剤の種類についてご説明します。実は、一口に「乾燥剤」と言ってもいくつか種類があり、使われている素材などにより、取り扱いかたも決まってきます。

シリカゲル

まず初めにご紹介するのは、乾燥剤として最もなじみの深い「シリカゲル」です。シリカゲルは、「二酸化ケイ素」を原料として作られる、ビーズ状の乾燥剤です。海苔などの製品の容器の底で、誰もが一度は目にしたことがあると思われる、あの乾燥剤です。

毒性がなく、水分を吸収しても溶けたり膨らんだりすることがないため、最も広く使われています。

石灰乾燥剤

「酸化カルシウム」という物質を原料とする「生石灰」という物質の吸湿性を活かした乾燥剤です。シリカゲルよりも安価に作れるものの、水に触れると膨張したり、発熱したりする性質も持っているため、取り扱いには注意が必要です。

塩化カルシウム(シート乾燥剤)

続いてご紹介する「塩化カルシウム」は、シリカゲルや石灰乾燥剤と比べても、吸湿能力が強力です。その威力は、自分の重さの3~4倍程度の湿気を吸収できるほど、と言われています。

乾燥剤として使われ始めたのは比較的最近ですが、吸湿能力が高く、コスト的にもお得なため、注目を集めている乾燥剤です。ただし、物性的に単独で使用することが難しく、特定の物質の中に混ぜ合わせる形で使わなければなりません。

脱酸素剤

「脱酸素剤」は、その名の通り、密閉容器の中を脱酸素状態にする薬剤です。鉄が酸化する性質を利用して酸素を吸収するタイプが主流です。酸化を防ぐことで、カビ、害虫、油脂の変質などを防止できるため、食品包装で広く利用されています。

なお、包装用の脱酸素剤は、すべての製品の包装に 「食べられません(Do not eat)」と「電子レンジ不可(Do not MicroWave)」 との注意書きがしてあるので、これらの文字が書いてあるものを見かけたら、それが脱酸素剤だと思ってもらってよいでしょう。

乾燥剤はリサイクルできる?

さて、上記のように様々な種類があり、我々が日常的に目にする乾燥剤。処分の仕方はご紹介しましたが、リサイクルは可能なのでしょうか。

特に、乾燥剤が水分を吸収するメカニズムなどを説明する際、「化学反応」という言葉が出てくるので、「危険物質なのではないか?」というイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。そこでここでは、乾燥剤はリサイクルできるのかどうか、取り扱う上での注意点は何か、という点をご説明します。

シリカゲルは乾燥剤として再利用可能

まず初めは、シリカゲルの再利用についてです。乾燥剤には色々な種類がありますが、このシリカゲルは、その中で最も再利用が簡単だといえるでしょう。というのも、シリカゲルの再利用方法は、シリカゲルが吸収した水分を飛ばすだけで済むからです。

まずは袋からシリカゲルを出し、フライパンでゆっくり温めます。シリカゲルは、水分を吸った状態だとピンク色や白色ですが、水分が飛んだ状態だと青色なので、シリカゲルの粒の色が青色に変わるまで温めれば十分です。

シリカゲルを温める際は、電子レンジを使用してもOKですが、一気に過熱すると破裂する可能性があるので、十分な注意が必要です。(電子レンジで加熱する際の"一気に"の感覚が人によって違う可能性があるので、安全を考慮し、フライパンで温めるのがおススメです)

石灰乾燥剤は肥料に

続いては、石灰乾燥剤。石灰乾燥剤は、シリカゲルとは異なり、乾燥剤として再利用することは難しいです。しかし、石灰乾燥剤は、肥料として再利用することができます。

生石灰に使われている「酸化カルシウム」は、水分を吸収することで「消石灰」と呼ばれる物質に変化します。実はこの「消石灰」は、土壌改良材としての効果をもち、畑や庭の肥料として使うことが可能です。

石灰はアルカリ性のため、消石灰となった乾燥剤を畑や庭の土に入れることで、酸性になった土壌を中和することができるので、雨が多く土壌が酸性化してしまう場合などにはかなり有益でしょう。

よくある質問

最後に、産廃メディアによく寄せられるご質問にお答えします。

事業活動で発生する乾燥剤と家庭で発生する乾燥剤の処理方法は違いますか?

結論、根本的には変わりません。家庭ゴミと事業者が出すゴミで、処分方法が異なるのと同じで、若干の違いはありますが、本質的には変わりません。

まとめ

以上、乾燥剤の処分方法についてでした。身近なものだからこそ、適切な方法で処分し、可能な限り、リサイクルできるようにしていければ素敵だなと思います。

産廃メディアでは、少しでも安全で環境負荷の少ない産業廃棄物処理の実現を目指して、情報発信を継続して参ります。

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