
産業廃棄物マニフェストの保管期間は法律で定められています。
では実際に産業廃棄物マニフェストを保管する期間はどのぐらいなのでしょうか?またA票からE票まで全て保存しなければいけないのでしょうか?
産業廃棄物マニフェストを保管するための方法、また電子マニフェストの保管はどうすればいいのかについても合わせてご説明します。
目次
産業廃棄物マニフェストの保管期間について
産業廃棄物マニフェストA票からE票の保管期間は大きくいうと「5年間」必要です。産業廃棄物マニフェストの種類ごとに見ていくと、
- A票は交付から5年
- B票からE票は返送され受け取った日からそれぞれ5年
といった決まりがあります。
すべてのマニフェストに保管義務があるため、排出事業者は保管期間が一番長いE票の受取日に合わせて一緒に保管しておくと良いでしょう。
※交付日だけを目安にしているとトラブルの元になりかねません。注意しましょう。
産業廃棄物マニフェストを紛失してしまった場合
産業廃棄物マニフェストは最終処理まで時間を要すため、最長で180日間戻ってこない事があります。
産業廃棄物マニフェストがその長い期間の間にどこに行ったかわからなくなってしまうという恐れもあります。もし紛失してしまった場合は、他の業者が保管しているマニフェストのコピーで補う事が可能です。
紛失したマニフェストをコピーで補う方法
紛失したマニフェスト | コピーする箇所 |
---|---|
A票 | B1票のコピー |
B2票 | B1票のコピー |
D票 | C1票をコピー |
E票 | C1票をコピー |
コピーで補う場合は、「A票紛失のためB1の写しを取り寄せ代用」とメモを書くなど、なぜA票がなく、コピーで代用するのかを説明できるようにしておきましょう。
中には、紛失もしくは郵送済みとなっているのにマニフェストが届いていない、という場合や(どこにあるか分からない状態)、コピーしたもので本当に大丈夫なのか?と疑うような場面もあります。
マニフェストには返送期日があるので、もし無くしてしまったとわかった場合は早めに連絡をする事をおすすめします。期日が切れてしまうと後々、問題にもなりかねません。
※過去に、A票は保管不要というルールでしたが、2011年の法改正でA票も5年間の保管が必要になりました。
マニフェストの再発行は原則認められない
紛失してしまったからといって、マニフェストを再発行してしまうと同じ廃棄物を取り扱うマニフェストが2つ存在してしまう事になります。紛失した残りのマニフェストを破棄することは、法律的に違反(虚偽申請)とみなされます。
状況によって再発行する事もありえますが、排出事業者、中間処理業者、最終処分業者、すべての関係者に確認、連絡の上、問題のないよう措置をとる事が絶対条件です。基本的には再発行はないと考え、運用しましょう。
産業廃棄物マニフェストを紛失しないようにするには
紙マニフェストの保管ルールは各企業に委ねられているため、それぞれの企業がファイリングや帳簿付けをするなどし、紛失を防ぐようにしています。
多くの取引先を抱えている場合、マニフェストの管理が非常に難しくなり、現場や、事務方の負担は増える一方です。
紙マニフェストを管理する方法としては
- ボール紙を表紙に綴り紐で月ごとにまとめる
- 表紙付きのバインダーにためていく
などがあります。裏面が複写式になっており汚れやすいので注意しましょう。期間を決めてファイリングし、1年ごとに大きい箱やファイルに移動するなど工夫すると、後々探した時に見つかりやすくなります。
5年分を保管するとなると場所もかなりとるので大きめの収納場所が必要です。オフィス用品の専門店ではマニフェストを保存するための専用ファイルなども売られています。
電子マニフェスト(JW-NET)とは?
もし、マニフェストの管理で悩んでいる場合は、管理の手間や紛失の心配のない電子マニフェストをおすすめします。電子マニフェストはインターネットを使用し、全国で1つの産業廃棄物専用情報処理センターにマニフェストの内容を登録するシステムです。
電子マニフェストを使うメリットは
- 業者間で迅速にやり取りする事ができる
- 紛失や人為的ミスを格段に防ぐ
- 字が読めないなどのトラブルがない
- 管理が簡単
- 役所に届出る書類を免除される事がある
などメリットはたくさんあります。
業者間のパソコンでやり取りができるため、E票が戻ってこない、マニフェストを送る郵送代が浮く、などの良い点もあります。もしまだ導入されていない場合は電子マニフェストの導入を考えてみてはいかがでしょうか。
参考URL
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/regist/index.html
電子マニフェストの利用を2020年4月1日より一部義務化
環境省は以前より電子マニフェストの利用を一部義務化すると伝えていました。すでに以前から通達はありましたので、対象の企業は準備をしてきていた事と思います。
前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く。)の発生量が50トン以上の事業場から特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く。)の処理を委託する場合のみ義務対象となります。 ※2020年4月1日施行
他にも、いくつかの質問への回答も記載されていましたので掲載しておきます。
質問 | 回答 |
---|---|
通常の普通産廃などは紙マニフェストをまだ使用してもいいか | 指定以外の産廃については紙マニフェストで問題ないが、電子マニフェストを導入するのであれば統一したほうが管理しやすいため積極的に利用を推奨する |
前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く。)の発生量が50トン以上、去年が50トン未満の場合、義務化の対象となるのか | 今年度は対象、来年度は免除となる |
どうしても電子マニフェストが使えない場合はどうすれば良いか | 電気回線の故障、天災、やむを得ない事情によって電子マニフェストが使用できない場合は、以前のように紙マニフェストでの処理を進める。 処理を滞らせない事が何よりも重要。 復旧した場合は通常の規則通り、土日祝日・年末年始を含めない3日以内に電子マニフェストの登録を行う。 |
詳しくは参考、引用元のURLを参照ください。
引用・参考URL
http://www.env.go.jp/recycle/waste/laws/kaisei2017/faq_mani.html
このようにマニフェストを電子化するための取り組みは進んでいます。
まとめ
紙マニフェストの保管期間は5年間です。紙マニフェストでの保管、作業、集計は非常に手間がかかり、保管場所も必要です。紛失や破損などの心配もあるので、丁寧に取り扱うようにしましょう。
2020年の4月から電子マニフェストの一部義務化が進むように、これからは電子マニフェストを使った保管が主になってくるでしょう。