環境マネジメントシステム(EMS)に関する国際規格であるISO14001は、環境への影響を最小限に抑え、持続可能な事業運営を目指す組織にとって重要な規格です。
この規格を取得するためには審査を受ける必要がありますが、その審査を行うのがISO14001認証審査員です。
本記事では、初心者にも分かりやすく、ISO14001認証審査員の役割や資格、魅力について解説します。
目次
ISOとは?
ISOとは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」のことで、電気・通信、電子技術分野を除くさまざまな産業分野における国際規格を策定している民間の機関です。
ISOの後ろに付く数字は「規格番号」を指し、1番から90000番台まで存在します。しかし、全ての規格が採用されるわけではないため、番号は必ずしも連続しているわけではありません。
ISO14001認証審査員の主な役割とは?
ISO14001認証審査員は、組織が規格に基づいた環境マネジメントシステムを適切に構築し、運用しているかを確認する専門家です。
ISO14001の読み方は、「アイエスオー イチマンヨンセンイチ」で、その役割は以下の通りです。
環境マネジメントシステムの評価
組織の環境方針やリスク管理、法的要求事項の順守状況を確認します。
現場や文書を通じて評価し、改善点を明らかにします。
課題の指摘と改善提案
審査で発見した不適合箇所に対して、組織が改善できるよう具体的なアドバイスを行います。
ただ問題を指摘するだけでなく、解決への道筋を示すことが重要です。
公正な認証判断
審査結果をもとに、ISO14001認証を取得する基準を満たしているかを判断します。
第三者機関として、公平で透明性のある審査を行います。
ISO14001認証審査員になるための条件は?
ISO14001認証審査員になるためには、専門知識や経験が必要です。具体的なステップを以下にまとめました。
審査員資格の取得
ISO14001の審査員資格は、認証機関やトレーニング機関が提供する講座を受講して取得します。日本では次のような資格が一般的です。
- IRCA(国際審査員登録機関)認定資格
- JRCA(日本適合性認定協会)認定資格
講座では、ISO14001規格の理解や審査手法について学び、最終的に試験に合格すると「審査員補(Provisional Auditor)」として登録が可能です。
実務経験の積み重ね
審査員資格を取得するだけでは不十分で、環境管理や品質管理分野での実務経験も求められます。
例えば、企業の環境管理担当者として環境マネジメントシステムの運用を数年以上経験することが一般的です。
継続的な学習
ISO規格は定期的に改訂されるため、審査員は資格取得後もトレーニングを受けて知識をアップデートする必要があります。
また、ISO14001以外の規格(ISO9001やISO45001など)の理解も役立ちます。
ISO14001認証審査員として働く魅力
ISO14001認証審査員は、専門知識を活かしながら環境保全や持続可能性の向上に貢献できるやりがいのある仕事です。
その魅力をいくつかご紹介します。
グローバルに活躍できる仕事
ISO14001は世界中で導入されている規格のため、審査員は国際的なキャリアを築くことが可能です。
特に英語などの外国語スキルがあると、海外企業の審査に携わるチャンスが広がります。
環境問題への貢献
審査員として、企業が環境配慮を徹底する支援をすることは、地球規模の環境課題解決に繋がります。
社会的意義の高い職種と言えるでしょう。
専門職としての高い需要
SDGsやカーボンニュートラルが注目される中、ISO14001認証の重要性はますます高まっています。
そのため、審査員としてのスキルは市場価値が高く、安定したキャリアが期待できます。
独立・フリーランスの道も開ける
経験を積んだ審査員は、認証機関に所属するだけでなく、フリーランスとして活動することも可能です。
自分のペースで働きたい方にとって魅力的な選択肢です。
ISO14001認証審査員に向いている人は?
ISO14001認証審査員として活躍するには、以下のような資質が求められます。
- 分析力と観察力:規格への適合性を正確に判断するため。
- コミュニケーション能力:組織とのやり取りや改善提案をスムーズに進めるため。
- 環境問題への関心:規格の目的や背景を深く理解するための土台となります。
- 柔軟性と適応力:さまざまな業界や企業文化に対応できる力が必要です。
まとめ
ISO14001認証審査員は、環境保全や持続可能な社会の実現に貢献できる専門職です。
資格取得には専門知識や実務経験が求められますが、その分やりがいのある仕事であり、キャリアの幅も広がります。
特にSDGsやカーボンニュートラルが注目される昨今、ISO14001認証の需要はさらに高まっています。
環境分野でのキャリアを考えている方にとって、ISO14001認証審査員という選択肢は大きな可能性と魅力を秘めています。