電球の正しい捨て方は?種類別の分別方法や割れた場合の処分法を解説

「電球の処分方法が分からず、家にたまっていくばかり…」

このような方も多いのではないでしょうか。

電球は、捨て方や分別ルールに自治体ごとの細かな差が生まれやすいごみです。引越しが多い方や1人暮らしを始めたばかりの方が、これまで住んでいた地域との違いに戸惑ってしまうのも無理はありません。

この記事では、電球の捨て方を種類ごとにご紹介します。お住まいの自治体にぴったり当てはまるわけではないかもしれませんが、捨てる前の処理や守るべき注意点は同じです。ぜひ参考にしてみてください。

捨てる前にまずは「電球の種類」をチェック

電球は、種類によって捨て方が少々異なります。電球を処分したいときは、まず種類をチェックしてみましょう。

現在ご家庭で使われている電球は、白熱電球・LED電球・電球型蛍光灯の3種類です。それぞれの特徴と製品寿命の目安は、次の表をご覧ください。

電球の種類 特徴 製品寿命の目安
白熱電球 ・電流でフィラメントを高温に熱して発光
・暖かみのある光色
・エネルギー効率が低いため、LEDと比べると電気代が割高
1,000~2,000時間(80日程度)
LED電球 ・「LEDチップ」を光源として発光
・電球のなかでは最も長持ちする
・電気代は安くなるうえ、環境負荷も少ない
・電球そのものは白熱電球よりも高価
1日8時間の使用で10年もつとされている
電球型蛍光灯 ・白熱電球よりもエネルギー効率が高い
・内部に水銀を含んでいるため、廃棄には注意が必要
6,000〜12,000時間(約1年3ヶ月)

3種類のうち、現在は最も環境負荷の少ないLED電球への切り替えが進んでいます。消費電力の多い白熱電球は、日本国内では2012年からほとんど製造されていません。

電球型蛍光灯については、2023年11月の「水銀に関する水俣条約(水銀条約)」第5回締約国会議において「2027年までに製造・輸出入を段階的に廃止する」と決定しました。現在お使いの電球型蛍光灯や、廃止までに製造された製品の売買・使用が禁止されるわけではありませんが、今後少しずつ姿を消していくことになります。

【参考資料】
一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入は 2027年までに廃止されます|環境省

電球の種類を見分けるには?

国内製の電球の種類は「型番の最初のアルファベット2文字」で見分けられます。

  • 白熱電球:型番が「LD」「EF」以外で始まる
  • LED電球:型番が「LD」で始まる
  • 電球型蛍光灯:型番が「EF」で始まる

白熱電球の型番は、あまり統一されていないため「L」「LW」「G」「NL」などさまざまです。LED電球を表す「LD」、電球型蛍光灯を表す「EF」以外で始まる型番であれば白熱電球だと考えましょう。

この見分け方は、「日本照明工業会」の会員企業が製造した電球が対象です。会員ではない国内メーカーや、海外製の電球には当てはまらない可能性もあります。国内の大手メーカー製ではない電球をお使いの場合は、企業の公式ホームページを確認してみてください。

【参考資料】
家庭向け水銀使用ランプの分別・回収について|一般社団法人日本照明工業会

電球の種類別の捨て方

電球の捨て方には自治体ごとに差があるものの、白熱電球とLED電球を同じルールで分別する場合が多いです。

白熱電球とLED電球、電球型蛍光灯の捨て方をそれぞれ解説します。どの電球も割れたり壊れたりしやすいため、処分の際は気をつけてくださいね。

白熱電球・LED電球は「不燃ごみ」

白熱電球とLED電球は「不燃ごみ」として扱う自治体が多いです。

一般的な電球はガラス製のため、「割れ物」として紙や新聞紙で包んだうえで「ワレモノ」「キケン」と明記したビニール袋に入れ、不燃ごみの日に回収場所に出しましょう。新しい電球に取り替えた場合は、購入した電球の箱や紙パックを使うと便利です。

また、自治体によっては電球を不燃ごみの回収ボックスに入れて処分することもできます。

特に、希少な物質が含まれているLED電球は、専用のリサイクルボックスを設置する自治体もあります。市区町村の公共施設やスーパーマーケット、家電量販店などに設置されているため、お住まいの自治体のホームページやごみ分別ルールブックなどをチェックしてみてください。

ちなみに、LED電球の中でもプラスチック製のものは自治体によっては可燃ごみに分別できる場合もあります。しかし、ソケット部分以外にも金属製のパーツが多いため、基本的には「プラスチック製LED電球でも不燃ごみ」とする自治体が多いようです。

電球型蛍光灯は「有害ごみ」「危険物」など

電球型蛍光灯には、水銀が含まれているため「有害ごみ」「危険物」として処分する必要があります

「有害ごみ」とは、いわゆる有害物質を含む製品や、発火・爆発する危険があるごみのことです。蛍光灯のほか、スプレー缶やカセットボンベ、ライターや水銀体温計などが該当します。自治体によっては「危険物」「危険ごみ」と呼ばれることもあります。

有害ごみの回収日に電球型蛍光灯を処分する場合も、基本的には白熱電球・LED電球と同じように処理をします。紙などで包んで、透明なビニール袋に「キケン」「蛍光灯」などと明記しておくと、回収する方に分かりやすいです。

しかし、有害ごみは可燃ごみや不燃ごみより収集頻度が少ないです。月に1~2回、もしくは年に数回程度しか処分の機会がない自治体もあります。

回収日まで電球型蛍光灯を保管しておかなければならない場合は、他のごみや火気・湿気から離れた場所に置くようにしましょう。

【参考資料】
教えて!水銀のこと|環境省

ホームセンターや家電量販店の「回収ボックス」も使える

先にも触れましたが、ホームセンターや大手家電量販店の中には、自治体と協力して電球や蛍光灯の回収ボックスを設置している店舗もあります。「電球型蛍光灯を処分したいのに、有害ごみの日までまだ日にちがある…」という場合は、お近くに設置している店舗がないかチェックしてみてください。

また、ストックの電球がない場合や違う種類の電球に変えたい場合にもおすすめです。

これまで使っていた電球を持っていけば、同じサイズのものを迷わず選べます。購入した後、古い電球を引き取ってほしいと店員さんに頼むとよいでしょう。

電球を捨てる際の注意点

電球を捨てる際の注意点は、次の3つです。

  • お住まいの自治体のルールに従う
  • 紙で包んで「ワレモノ」「キケン」と明記する
  • 他の種類のごみとは分けて出す

電球は割れたり壊れたりしやすいうえ、破片に触ると怪我をしてしまいます。特に、水銀が含まれている電球型蛍光灯は、人体にも環境にもダメージを与えやすいです。処分の際は、これらの3つのポイントに気をつけて処理しましょう。

お住まいの自治体のルールに従う

先にも触れましたが、電球の分別ルールは自治体によって異なります。これは、それぞれの市区町村のごみ処理施設の処理能力に差があるためです。

そのため、ほかの市区町村に住む家族や友人に電球の捨て方を尋ねても、ご自分が暮らしている自治体のルールとは異なる可能性もあります。

必ずご自分が現在住んでいる自治体の分別ルールにしたがって処分するようにしましょう。

自治体ごとの「電球の捨て方」を比較

電球の捨て方の例として、全国5つの都市の分別ルールをまとめると、次のようになります。

白熱電球・LED電球 電球型蛍光灯
横浜市 「電球」と明記して不燃ごみ 「蛍光灯」と明記して不燃ごみ
大阪市 普通ごみ 紙で包んで回収ボックスに入れるか訪問回収を依頼
名古屋市 不燃ごみ 市内の各環境事業所か、家電量販店など回収協力店舗に持ち込み
札幌市 指定のごみ袋に入れて不燃ごみ 回収協力店に持ち込み
福岡市 不燃ごみ 回収ボックスに入れる

上に挙げた5つの都市のうち、大阪市では「最大の辺または径が30cm以内のもの、あるいは棒状で1m以内のもの」に対して「普通ごみ」という区分を立てています。このように「捨てる際の処理に違いはないものの、区分の呼び名が異なる」というケースも多いです。

東京23区内のうち、7つの区を比較してもその違いが見られます。

  • 江東区、足立区、世田谷区、練馬区、大田区→すべて「不燃ごみ」
  • 新宿区→すべて「金属・陶器・ガラスごみ」
  • 渋谷区→白熱電球とLED電球は「不燃ごみ」、電球型蛍光灯は「資源ごみ」

分別ルールや区分の名称は異なるものの、どの自治体でも「紙などで包んでワレモノ・キケンと明記」という点は変わりません。ご自宅で処理したうえで、自治体が指定する方法で処分しましょう。

【参考資料】
資源・ごみの分別|世田谷区
金属・陶器・ガラスごみの出し方|新宿区
蛍光管|リサイクル|渋谷区

ほかの種類のごみとは分けて出す

多くの自治体では、正しく分別して指定の回収日に出せば電球を処分できます。しかし、「ほかのごみと同じ袋に入れて出すのはNG」という自治体が多いです。

例えば、白熱電球やLED電球を不燃ごみとして捨てる場合、同じく不燃ごみの食器や傘などを同じ袋に入れて出すと、袋の中でぶつかり合って電球が割れるリスクが高まります。また、有害ごみである電球型蛍光灯をライターや水銀体温計と同じ袋で出すのは危険です。

電球が割れたり有害物質が混ざったりする危険を避けるため、ごみに出す際は電球のみを袋に入れて出すようにしましょう。自治体のホームページやごみ出しルールブックにはっきりと書かれていない場合も、別の袋に入れて出すのが無難です。

紙で包んで「ワレモノ」「キケン」と明記する

繰り返しになりますが、ガラス製の電球は、割れたり壊れたりしやすいです。割れてとがったガラスは、不用意に扱うと手指を怪我してしまう恐れもあります。

ごみ回収員の作業員の方が怪我をしないよう、電球を入れた袋には油性のマジックペンで大きく「ワレモノ」「キケン」と明記しておきましょう。

白熱電球やLED電球を不燃ごみとして捨てる際、もしお住まいの自治体に指定のごみ袋がない場合は、中身が見える透明のビニール袋を選んでおくと作業員の方にも分かりやすいです。

ちなみに、ガラス製・陶製の食器や花瓶、鏡なども電球と同じように「ワレモノ」と明記して処分する必要があります。また、以下の製品を捨てる場合は「キケン」と書いて回収に出しましょう。

  • スプレー缶・カセットボンベ
  • ライター
  • 乾電池・ボタン電池
  • 水銀体温計
  • 包丁やナイフなどの刃物

割れてしまった電球の捨て方は?

割れてしまった電球も、基本的にはほかのごみと混ざらないように注意して紙や新聞紙で包んで不燃ごみとして処分します。自治体によっては、割れた電球の分別ルールが別に定められているケースもあるため、注意が必要です。

特に、電球型蛍光灯が割れた場合は、水銀が肌に触れないように慎重に処理しましょう。ポイントは次の3つです。

  • 屋内で割れた場合、まずは数時間換気
  • 割れた破片は厚紙などですくいとるように集めて密閉
  • 細かなくずが残らないように、粘着テープなどをペタペタと当てて取り除く

割れてしまった電球型蛍光灯を不燃ごみとして処分できる自治体もありますが、専用の回収ボックスに入れる場合もあります。自治体のホームページなどを見ても心配な場合は問い合わせてみたり、専門技術をもつ不用品回収業者に相談したりしてみてください。

まとめ

電球の処分方法について、種類別の捨て方と注意点、割れてしまった場合の対処を解説しました。

電球を捨てる際は、白熱電球とLED電球は「不燃ごみ」、電球型蛍光灯は「有害ごみ・危険物」に分別する自治体が多いです。分別ルールに細かな差はあるものの、「紙に包んでワレモノ・キケンと書いたビニール袋に入れる」という処理はおおむね共通しています。

また、電球はちょっとした衝撃でも割れたり壊れたりしやすいです。なかでも、水銀を含んでいる電球型蛍光灯は慎重な処分が求められます。もし割れてしまった場合はまず換気をし、安全を確保したうえで処理しましょう。

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