お酒はどう処分する?捨て方の注意点と回収・買取業者の利用方法

「買ってみたもののあまり口に合わなかった…」「親戚と飲んだお酒が残っている」

このように、開封後のお酒が余ると捨て方に悩んでしまう方も多いでしょう。また、貰いもののお酒が未開封のまま死蔵されているご家庭もあるかもしれません。スペースをとるため処分したくても、もったいなく感じますよね。

この記事では、飲みかけのお酒の捨て方と未開封のお酒を手放す方法を解説します。お酒の賞味期限についてもご紹介しますので、ご自宅に眠っているお酒がある方はぜひ参考にしてみてください。

開封したお酒は「排水口に流して捨てる」

ご家庭でお酒を処分する際は、キッチンシンクの排水口やトイレに流して捨てるのがおすすめです。

キッチンやトイレの排水設備は、液体を効率よく流せるよう丈夫に設計されています。アルコール濃度が3~20%程度のお酒であれば、設備への影響は小さいです。

ご自宅の排水設備や周辺環境に強い負担をかけないように、排水溝にお酒を少しずつ注ぎながら、水を流して薄めます。ビールや酎ハイなどの炭酸を含むお酒は、泡立ちを防ぐためにも水を多めに流すようにしましょう。

ただし、アルコール濃度が高いお酒や消毒用エタノールは排水として流せません。高濃度のアルコールは、下水管内で爆発を引き起こす恐れがあります。

度数が低いお酒を大量に捨てなければならない場合は数回に分け、下水管内のアルコール濃度が高くならないように配慮しましょう。

【参考資料】
飲み水はどこから?使った水はどこへ? 暮らしを支える「水の循環」 | 政府広報オンライン

浄化槽を使用しているご家庭の場合

排水処理に浄化槽を使っている場合、お酒を排水口に流すのはNGです。アルコールによって浄化槽内の微生物が死滅してしまうため、排水を浄化できなくなります。

浄化槽を使っているご家庭の場合、少量のお酒は次の手順で処分するとよいでしょう。

  1. 牛乳パックにキッチンペーパーや古紙・古布を詰め込む
  2. お酒を注ぎ、火気のない場所で乾燥させる
  3. 完全に乾いたらそのままビニール袋に入れ、口を縛って可燃ごみに出す

排水口が下水管につながっているお家でも、高濃度のアルコールは上記の手順で処分してください。

【参考資料】
家庭でできる生活排水対策|静岡市
浄化槽の正しい使い方|駒ヶ根市

お酒の捨て方の注意点

お酒をシンクの排水口やトイレに流す際は、次の3点に気をつけてください。

  • 夏場や雨の日の処分は避ける
  • 果実や果肉はそのまま流さない
  • 十分に水を流して換気する

それぞれを解説します。

① 夏場や雨の日の処分は避ける

処分したいお酒があっても、真夏の暑い日や雨の日に排水口に流すのはなるべく避けましょう。排水口から下水の臭いが上がってきやすいため、アルコールと混ざるとさらに悪臭が発生する可能性があります。

建物の排水設備は、「トラップ」という部位に水を溜めておくことで下水の臭いや害虫が屋内に入り込むのを防いでいます。この「封水」と呼ばれる水は、気温が高いと蒸発しやすいです。また、大雨が降ると封水の水位が変わることもあります。

封水が減るとトラップ内に隙間ができるため、下水の臭いが室内に侵入しやすくなります。夏場や雨の日にお酒を処分しなければならない場合は、より多く水を流して封水を確保してください。

【参考資料】
5排水の管理|東京都保健医療局

② 果実や果肉はそのまま流さない

果実酒や果肉入り酎ハイなど、お酒に固形物が含まれている場合は丸ごと流さないように気を付けましょう。

梅やレモンの実のように大きなものはもちろん、小さな果肉でも排水口が詰まる原因になります。水切りネットや茶こし・ざるなどを使って、固形物をこしながら流しましょう。取り除いた果実は、生ごみとして可燃ごみに出してください。

③ お酒を捨てた後は換気する

お酒をシンクやトイレに流した後は、窓を開けたり換気扇を回したりして室内にニオイがこもるのを防ぎましょう

実は、コバエはアルコールの発酵臭を好みます。いつまでもニオイが残っているとコバエが寄ってきやすくなるため、衛生的によくありません。また、部屋にこもったお酒のニオイで気分が悪くなる方もいますよね。

アルコールのニオイ残りを防ぐためにも、処分の際は十分に水を流して換気してください。

NGなお酒の捨て方

絶対にやってはいけないお酒の捨て方は、次の2つです。

  • お酒が入った瓶・缶をそのままごみ回収に出す
  • 屋外の排水溝や河川・海にお酒を流す

それぞれを詳しく解説します。

① お酒が入った瓶・缶をそのままごみ回収に出す

お酒が入った瓶や缶をそのままごみ回収に出すことはできません。中身が入ったままごみ回収に出すと、収集車内で瓶や缶が割れてほかの廃棄物にお酒が飛び散ってしまいます。

廃棄物がお酒で汚れると、ごみ処理の手間が増えるうえ、引火・発火や故障のリスクも高まります。清掃スタッフの方に大きな迷惑がかかるため、お酒の中身と容器は必ず分けて処分してください。

② 屋外の排水溝や河川・海にお酒を流す

屋外の「排水溝」に直接お酒を流すのはNGです。アルコールは揮発性が高いため、下水道へ直接流すと管の中で膨張・爆発したり、設備を傷つけたりする恐れがあります。自治体の下水処理に深刻な影響を与えかねないため、絶対に流さないようにしましょう。

また、キャンプやBBQなどで余ったお酒を河川や海に流してはいけません。シンクやトイレから排水として流す場合と違い、直接環境汚染につながります。残っていた火種がお酒に引火する可能性もないとはいえません。

余ったお酒をはじめ、屋外で出たごみは必ず自宅に持ち帰って処分してください。

【参考資料】
下水道利用のマナー|茨城町
14.海の豊かさを守ろう|公益財団法人 日本ユニセフ協会

未開封のお酒の手放し方

未開封のお酒は「わざわざ開けて捨ててしまうのはもったいないな」と感じる方が多いのではないでしょうか。また、たくさんあると流して捨てるのも一苦労ですよね。

ここでは、不用品回収業者や買取業者を利用して処分する方法をご紹介します。

① 不用品回収業者に依頼

不用品回収業者は、開封済みかどうかに関わらず不要なお酒を回収してくれます。自宅まで取りに来てくれるため、ご自分で運び出す必要はありません。お酒以外の不用品もまとめて引き取ってくれるため、引越しや実家の整理など大量のごみが出る場合におすすめです。

また、不用品回収業者のなかには、中古品の買取サービスも行っている業者もあります。捨てようと思っていたお酒が、もしかしたら臨時収入に変わるかもしれません。回収を依頼したい業者が買取にも対応していないかどうか、1度チェックしてみてください。

ただし、無料や格安での回収を謳う業者には注意が必要です。このような業者は、自治体から「一般廃棄物処理業」の許可を受けていない可能性があります。

「無料回収を謳っていたのに高額な料金を請求された」「回収に出したごみが山中に不法投棄されていた」など、無許可の不用品回収業者とのトラブルは全国でも多発しています。料金が安すぎる業者はむやみに信用しないよう注意してください。回収業者を利用する場合は事前に見積もりをとってもらい、発生する費用を確認しておくと安心です。

【参考資料】
廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!|環境省
不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!|国民生活センター

② 買取業者・リサイクルショップへ売却

未開封のお酒は、買取業者やリサイクルショップに売却するのもおすすめです。

特に、お酒専門の買取業者はプロの目で正確に査定してくれます。お酒の銘柄や種類、製造年やボトル・ラベルの価値などをしっかり見てもらえるため、「お酒に詳しくないのに処分しなければならない…」とお困りの方にぴったりです。

特定の銘柄・製造年のお酒や、コレクターの需要が高い製品は高価買取も期待できます。年代物のワインや高級ウイスキーなどに限らず、限定品や珍しいラベル、外装の状態がよいお酒もマニアには喜ばれる品です。さらに、何本もまとめて査定に出すと、高値もつきやすくなります。

ただし、お酒専門の買取業者では、銘柄がはっきりしないお酒やスーパーなどで手に入る市販品は買い取ってもらえないケースもあります。

また、一般の買取業者やリサイクルショップであっても、賞味期限が大幅に過ぎたお酒や開封済みのお酒は買取対象外となることが多いです。買取に出したい場合は、まずお手持ちのお酒の賞味期限と製造年をチェックしてみてください。

未開封のお酒は酒屋で買い取ってもらえる場合も

未開封のお酒は、お近くの酒屋で買い取ってもらえる場合もあります。すべての酒屋が対応しているわけではありませんが、お近くにあればぜひ相談してみてください。

しかし、酒屋までは自分で持っていかなければなりません。お酒が大量にある場合は、特に大変です。忙しい方、体力に自信がない方は別の方法をとるようにしましょう。

お酒はフリマアプリやネットオークションでも売れる?

未開封であれば、お酒はフリマアプリやネットオークションでの売却も可能です。

しかし、出品できるのは家庭で不要になったお酒を「単発的」に売りたい場合に限られています。本来、お酒の販売には免許が必要なため、個人的な利用であっても継続しての出品・販売は認められていません。無免許で継続販売すると、酒税法第9条に抵触する恐れがあります。

また、「特定の種類のお酒、アルコール度数の高いものは出品禁止」のように、サービスによって独自のルールを定めているケースも多いです。

売買が成立すれば、酒瓶や缶が傷つかないように梱包・発送しなければなりません。ほかの品物を売却するよりも手間がかかるため、お酒は別の方法で売却する方がおすすめです。

【参考資料】
その出品、法律違反ではありませんか?|国税庁

お酒の賞味期限

フルーツの長期保存に使われることもあるアルコール。熟成によって価値を増すお酒もあるため、「お酒には賞味期限がないのでは?」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、開封しているかどうかに関わらず、お酒を美味しく飲める期間は限られています。ここでは、大まかな種類ごとにお酒の賞味期限を解説します。

ビール・酎ハイ

ビールや酎ハイの賞味期限は、瓶や缶に表示されているとおりです。美味しく飲める目安は、ビールの場合は製造から約9カ月、酎ハイは製造から約1年とされています。

賞味期限後1~2カ月は問題なく飲めますが、風味は徐々に衰えていきます。また、炭酸が含まれているお酒は、開栓していなくても少しずつ気が抜けていきます。賞味期限から半年以上経っている場合は、処分するのが賢明です。

日本酒

日本酒には、賞味期限の表示義務がありません。アルコールの殺菌作用によって腐食が遅く、長期間保存できるためです。

しかし、賞味期限が表示されていなくても、製造年月(容器に詰められた日)から1年程度が美味しく飲める期間とされています。

また、製造から時間が経った日本酒が薄く黄色を帯びていたり、不快な酸っぱい香りがしたりする場合は、傷んでいる可能性が高いです。既に開けている日本酒であれば、1週間で明らかに劣化します。開封後は2〜3日で飲み切るようにしましょう。

ワイン、ウイスキー・ウォッカなど

ワインは瓶に詰めた後も熟成が進むため、賞味期限がありません。また、ウイスキーやウォッカなどのアルコール度数が高いお酒は雑菌が繁殖できないため、長期間保存していても品質が安定しています。

ただし、保管場所の温度・湿度や紫外線の強さによって劣化するケースもあります。また、開封後は香りが抜けてしまうため、早めに飲み切るようにしましょう。

まとめ

お酒はキッチンのシンクやトイレから排水として流すことができます。少しずつお酒を注ぎながら十分に水を流し、排水設備や環境への負担をなるべく軽減しましょう。

大量に処分しなければならない場合は、不用品回収業者に引き取ってもらうのもおすすめです。

また、未開封のお酒は買取業者やリサイクルショップ、お近くの酒屋に買い取ってもらえる可能性もあります。捨てるつもりだったお酒が臨時収入に変わる可能性もあるため、状態がよいお酒があればぜひチャレンジしてみてください。

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