
産業廃棄物の不法投棄は、法改正や監視体制の強化が進む中でも、依然として後を絶たない問題です。
環境省が公表した令和6年度の調査結果によると、新たに判明した不法投棄は年間106件、量にして約1.4万トンにのぼりました。
件数自体は過去と比べて減少傾向にあるものの、がれき類や建設混合廃棄物など、建設現場に由来する廃棄物が多くを占めている点は見過ごせません。
不法投棄が発覚した場合、排出事業者である建設会社は厳しい責任を問われ、行政指導や罰則、さらには社会的信用の低下といった大きなリスクを抱えることになります。
その一方で、現場では分別作業の手間や処理コストの問題から、適正処理が負担になっているケースも少なくありません。
本記事では、令和6年度の最新データをもとに、不法投棄の現状と背景を整理したうえで、建設現場が取るべき現実的な対策について解説します。
さらに、分別効率を高め、適正処理を実務レベルで支える手段として、自走式スクリーンの活用についても紹介します。
不法投棄を起こさない現場をつくるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
(参考資料:環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和6年度)について」)
目次
不法投棄の最新動向(令和6年度調査結果の概要)
不法投棄の対策を考えるうえで、まず押さえておきたいのが最新の発生状況です。
環境省が公表した令和6年度の調査結果では、産業廃棄物の不法投棄や不適正処理が依然として発生している実態が明らかになりました。
件数は過去と比べて減少傾向にあるものの、年間100件以上の不法投棄が新たに判明しており、建設業を含む排出事業者にとって決して他人事ではありません。
ここでは、令和6年度のデータをもとに、不法投棄の全体像を整理します。
令和6年度に新たに判明した不法投棄の件数と量
まず結論として、令和6年度も産業廃棄物の不法投棄は一定数発生しています。
環境省の調査によると、新たに判明した不法投棄は106件、投棄量は約1.4万トンでした。
件数は前年度よりやや増加した一方、量は大きく減少しています。
このことから、大規模事案は減ったものの、小規模な不法投棄が各地で続いている状況がうかがえます。
特に建設現場から排出される廃棄物は種類が多く、管理が不十分だと不法投棄につながりやすい点に注意が必要です。
不適正処理事案の件数・量の推移
次に、不適正処理事案の動向です。
令和6年度に新たに判明した不適正処理は113件、処理量は約6.0万トンとなっています。
件数は前年度から減少したものの、処理量は増加しており、1件あたりの規模が大きい事案が含まれていることが分かります。
不適正処理は不法投棄と同様に、排出事業者の管理体制が問われる問題です。
適正な分別や委託先の確認を怠ると、意図せず不適正処理に関与してしまうリスクがあります。
不法投棄等の残存事案と行政対応の現状
最後に、過去の不法投棄等がどの程度残っているかを見ておきましょう。
令和6年度末時点で、不法投棄等の残存事案は2,920件、残存量は約999万トンと報告されています。
件数は増加している一方で、量は減少しており、行政による撤去や是正が進んでいることが分かります。
ただし、支障が生じている、または生じるおそれのある事案も存在します。
こうした状況からも、不法投棄を未然に防ぐ対策が重要であることは明らかです。
なぜ不法投棄はなくならないのか

不法投棄は法改正や監視体制の強化によって減少傾向にあるものの、完全には解消されていません。
その理由は、悪質な行為だけでなく、現場が抱える構造的な課題にもあります。
特に建設現場では、廃棄物の種類が多く、分別や処理に時間とコストがかかる点が大きな負担となっています。
こうした負担が積み重なることで、結果として不法投棄や不適正処理が発生しやすくなっているのです。
ここからは、その主な要因を整理します。
排出事業者が抱える分別・処理の負担
結論から言うと、分別や処理の負担が大きいことが、不法投棄の温床になりやすい要因です。
建設現場では、がれき類、木くず、金属くずなど多様な産業廃棄物が同時に発生します。
これらを適切に分別し、保管し、処理業者へ引き渡すには、人手と時間が必要です。
しかし、工期に追われる現場では、分別作業が後回しになりやすく、管理が不十分になることがあります。
その結果、適正処理が難しくなり、不法投棄のリスクが高まってしまいます。
建設混合廃棄物が問題になりやすい理由
建設混合廃棄物は、不法投棄の原因になりやすい代表例です。
理由は、複数の廃棄物が混ざった状態では、処理費用が高くなり、受け入れ可能な処理施設も限られるためです。
分別されていない廃棄物は、再資源化が難しく、最終処分に頼らざるを得ません。
その結果、処理コストが増加し、適正処理を避けたいという心理が働きやすくなります。
建設混合廃棄物の管理が、不法投棄対策の重要なポイントといえます。
「コスト削減」が不法投棄につながるリスク
不法投棄の背景には、コスト削減を優先しすぎる姿勢もあります。
適正処理には、分別作業や処理委託費用など一定のコストがかかります。
そのため、短期的な経費削減を重視すると、管理が甘くなり、不適正な処理を招くおそれがあります。
しかし、不法投棄が発覚した場合、罰則や原状回復費用、信用低下など、結果的に大きな損失につながります。
目先のコストだけでなく、長期的なリスクを踏まえた対策が重要です。
建設現場で特に注意すべき不法投棄リスク
令和6年度の調査では、不法投棄された産業廃棄物の中でも、がれき類や建設混合廃棄物が多くを占めています。
これらは建設工事に伴って日常的に発生する廃棄物であり、排出事業者である建設会社の管理体制が厳しく問われる分野です。
現場でどのようなリスクがあり、どこに注意すべきかを整理しておくことが、不法投棄を未然に防ぐ第一歩となります。
がれき類・建設混合廃棄物の不法投棄実態
不法投棄事案で多く見られるのが、コンクリートがらやアスファルトがらなどのがれき類、複数の廃棄物が混在した建設混合廃棄物です。
これらは発生量が多く、分別が不十分なまま排出されると処理費用が高額になりやすい特徴があります。
その結果、適正な処理ルートから外れ、不法投棄や不適正処理につながるケースが発生しています。
特に現場内での分別不足や、一時保管の管理不備が、リスクを高める要因となっています。
排出事業者責任と罰則リスク
産業廃棄物の処理において、最も重要なのが排出事業者責任です。
廃棄物処理法では、処理を委託した後であっても、最終的な責任は排出事業者にあると定められています。
仮に委託先の処理業者が不法投棄を行った場合でも、委託内容や管理状況によっては、建設会社が責任を問われる可能性があります。
罰則としては、懲役刑や高額な罰金が科されることもあり、企業イメージの低下や取引停止といった影響も無視できません。
処理委託契約やマニフェスト管理の徹底が不可欠です。
(参考資料:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」
行政代執行が行われた場合の影響
不法投棄された廃棄物が放置され、原因者が特定できない、または是正に応じない場合、行政による代執行が行われることがあります。
この場合、撤去や原状回復にかかった費用は、後に排出事業者へ請求される可能性があります。
代執行の費用は数千万円規模になることも珍しくなく、経営への影響は深刻です。
さらに、行政指導や公表による社会的信用の低下も避けられません。
不法投棄は「知らなかった」では済まされない問題です。
不法投棄を未然に防ぐために建設現場が取るべき対策
不法投棄を防ぐためには、行政の監視や罰則強化に頼るだけでは不十分です。
排出事業者である建設会社自身が、現場で実行できる対策を積み重ねることが重要になります。
特に意識したいのが、廃棄物が発生した段階から適正処理までをスムーズにつなぐ適正処理しやすい現場づくりです。
ここからは、建設現場で実践すべき基本的な対策を整理します。
適正処理を前提とした現場管理の重要性
まず重要なのは、現場管理の段階から適正処理を前提に考えることです。
なぜなら、場当たり的な対応では、分別漏れや管理不十分が発生しやすく、不法投棄のリスクが高まるためです。
例えば、廃棄物の保管場所が明確でなかったり、種類ごとの区分が曖昧だったりすると、作業員の判断にばらつきが生じます。
その結果、建設混合廃棄物が増え、処理コストの上昇や不適正処理につながる可能性があります。
あらかじめ分別方法や保管ルールを明文化し、現場全体で共有することが不可欠です。
適正処理は「処分業者に任せるもの」ではありません。
現場管理の段階から意識することで、不法投棄を未然に防ぐ土台が整います。
分別精度を高めることで防げるリスク
分別精度を高めることは、不法投棄対策として非常に効果的です。
理由は、分別が不十分な廃棄物ほど、処理先が限定され、コストや手間が増えるからです。
建設現場では、がれき類、木くず、金属くずなどが混在しやすく、適切に分けられていないと建設混合廃棄物として扱われます。
これにより処理費用が高くなり、「安く処理したい」という心理が不適正処理の温床になることがあります。
一方、現場内で分別精度を高めておけば、処理ルートが明確になり、委託先の選定もしやすくなります。
分別の徹底は、コスト管理だけでなく、不法投棄リスクを下げる直接的な対策といえます。
再資源化を意識した廃棄物管理
不法投棄を防ぐためには、「捨てる」視点だけでなく、再資源化を意識した管理が重要です。
なぜなら、再利用や再資源化が可能な廃棄物は、適正処理の選択肢が広がるからです。
例えば、コンクリートがらやアスファルトがらは、分別状態が良ければ再生材として活用できます。
しかし、異物が多く混ざっていると再資源化が難しくなり、最終処分に回される可能性が高まります。
これが処理負担の増加につながります。
再資源化を前提にした廃棄物管理を行うことで、処理の透明性が高まり、不法投棄を選択する余地が小さくなります。
結果として、環境対策とリスク低減の両立が可能になります。
自走式スクリーンが不法投棄防止に役立つ理由

分別作業の負担を軽減し、適正処理を現場レベルで実現する手段として注目されているのが自走式スクリーンです。
がれき類や建設混合廃棄物を効率よく分別できるため、不法投棄や不適正処理が起こりやすい構造そのものを改善できます。
ここからは、自走式スクリーンが不法投棄防止にどのように役立つのかを整理します。
自走式スクリーンとはどんな設備か
自走式スクリーンは、建設現場で廃棄物を効率的に分別するための設備です。
振動や回転する網を使って、粒径ごとに廃棄物を自動で選別できる仕組みを持っています。
具体的には、がれき類や土砂、木くずなどが混在した状態でも、細かいものと大きなものを現場内で分けることができます。
これにより、人手による分別作業の負担を大幅に減らすことが可能です。
また、自走式であるため設置場所の自由度が高く、現場の状況に応じて柔軟に運用できます。
このように、自走式スクリーンは現場内分別を現実的にする設備として、不法投棄対策の基盤となります。
現場内分別による作業効率とコスト削減
自走式スクリーンの導入は、作業効率とコスト削減の両面で効果があります。
なぜなら、分別を処理業者任せにせず、現場で完結させることで無駄な工程を減らせるからです。
建設混合廃棄物のまま処理を委託すると、処理費用が高くなりやすく、運搬回数も増えがちです。
一方、現場内で分別精度を高めれば、廃棄物ごとに適切な処理ルートを選べるようになります。
その結果、処理コストの抑制や運搬効率の向上につながります。
作業負担とコストの両方を軽減できれば、不適正処理を選ぶ理由が減ります。
これが、不法投棄防止に直結する大きなポイントです。
不法投棄の「動機」を減らす仕組み
自走式スクリーンが不法投棄防止に有効な最大の理由は、不法投棄の動機そのものを減らせる点にあります。
不法投棄は、多くの場合「手間がかかる」「コストが高い」といった現場の負担から発生します。
自走式スクリーンを活用すれば、分別作業が効率化され、処理の見通しが立てやすくなります。
その結果、適正処理が特別な負担ではなく、通常業務として組み込めるようになります。
これは、無理なくルールを守れる環境づくりにつながります。
設備によって現場の構造を変えることで、不法投棄を「起こさせない」状態をつくることができます。
自走式スクリーンは、その有効な手段の一つといえるでしょう。
まとめ:不法投棄を防ぐために今、現場でできること
令和6年度の不法投棄の最新動向からは、全体としては件数が減少傾向にあるものの、建設現場を中心としたリスクが依然として残っていることが分かります。
排出事業者として重要なのは、数字の変化を知るだけでなく、自社の現場に置き換えて対策を考えることです。
最後に、本記事の内容を踏まえ、現場で意識すべきポイントを整理します。
まず、最新動向の振り返りとして、不法投棄や不適正処理は「一部の悪質な事業者の問題」ではない点を理解する必要があります。
がれき類や建設混合廃棄物は、日常的に発生する廃棄物であり、管理が不十分な現場では誰でもリスクを抱える可能性があります。
令和6年度のデータは、建設業にとって他人事ではない現状を示しています。
次に、不法投棄の未然防止には、罰則を恐れるだけでなく、適正処理を前提とした現場づくりが不可欠です。
分別や処理が煩雑なままでは、無意識のうちに不適正な対応が選ばれてしまう恐れがあります。
現場管理やルール整備を通じて、正しい処理が自然に行える環境を整えることが重要です。
その上で、分別効率化と自走式スクリーンの活用は、現実的な対策の一つといえます。
作業負担やコストを抑えながら分別精度を高めることで、不法投棄につながる動機そのものを減らせます。
設備の導入は、法令遵守と現場改善を両立させる有効な選択肢です。
今できる対策から着実に実行することが、不法投棄防止への第一歩となります。
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