人形・ぬいぐるみの正しい捨て方は?分別方法や寺社での供養を解説

ご自分やお子さんが、大切にしてきた人形やぬいぐるみ。特に、お子さんが成長するにつれだんだんと人形で遊ばなくなってくると、「そろそろ処分しようかな」と考える方も多いでしょう。

けれども、「人形やぬいぐるみって、どうやって捨てたらいいんだろう?」と感じたことはありませんか?分別方法だけでなく、愛着をもってきた存在をごみとして処分してよいものか…と悩んでしまう方も少なくないはずです。

この記事では、人形やぬいぐるみの捨て方を解説します。気持ちよく手放す方法として、人形供養やリユースに回す方法もご紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

人形やぬいぐるみは「家庭ごみ」として処分できる

人形やぬいぐるみは、家庭ごみとしてごみ回収に出すと簡単に処分できます。通常どおりごみ袋に入れて指定の回収日に出せばよいため、費用や手間がかかりません。

家庭ごみとして出す場合は、可燃ごみか不燃ごみとして扱われます。さらに、一定の大きさ以上の人形・ぬいぐるみは「粗大ごみ」とするケースも多いです。

自治体によって分別ルールが異なるため、処分する前に市区町村の公式Webサイトやごみ出しガイドブックを確認しておきましょう。地域によっては、人形やぬいぐるみなどの子供用品について独自のリサイクルプログラムを設けている場合もあるため、合わせてチェックしてみてください。

人形・ぬいぐるみの分別方法の例

分別ルールの例として、5つの自治体における人形・ぬいぐるみの処分方法を表にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

基本的な分別方法 粗大ごみとして扱われるサイズ
東京都江戸川区 燃やすごみ 最大の辺が30cm以上
神奈川県横浜市 燃やすごみ 50cm以上
大阪府大阪市 普通ごみ 最大の辺・直径が30cmを超えるもの
愛知県名古屋市 プラスチック製なら「プラスチック資源」
木・布製は「可燃ごみ」
30cm角を超えるもの
北海道札幌市 木・布製の人形は「燃やせるごみ」
それ以外は「燃やせないごみ」
30cm角を超えるもの

人形やぬいぐるみを捨てる際の注意点

人形やぬいぐるみには、金属・プラスチック製の部品が使われている場合もあります。

例えば、押したら音を出すぬいぐるみや手脚を自由に動かせる着せ替え人形には、音を出す小さな機械や骨組みとしての針金が入っていますよね。布やプラスチック製の人形に見えても、実は内部に異なる素材が使われている製品も多いです。

このような製品の場合、ごみ出しのルールが厳格な自治体ではきちんと分別されていないと回収してもらえない可能性もあります。大切にしてきた人形を分解するのは忍びないですが、ごみ回収に出す場合は分別ルールにしたがって処分してください。

また、「神社やお寺でのお焚き上げのように、供養したいから」と人形やぬいぐるみを個人で燃やすのは違法です。自宅の敷地内であっても、罰金や刑罰の対象になります。きちんと供養して処分したい場合は、後にご紹介する方法で正しく安全に供養しましょう。

【参考資料】
廃棄物の野外焼却は禁止されています!!|佐賀県

大量に捨てる場合は不用品回収業者を利用しよう

人形がたくさんある場合、できるだけ手間をかけずに処分したい場合は、不用品回収業者に依頼するのもおすすめです。

電話やホームページのお問い合わせフォームから申し込めば、家まで引き取りに来てもらえます。即日対応してくれる業者もあるうえ、ほかの不用品もまとめて回収してもらえるため、引越しや遺品整理の際にも便利です。申し込む際に、処分したい品物の量や種類をおおまかに伝えておくとよいでしょう。

また、ガラスケースに入った日本人形やフランス人形、プラモデルなどを家庭ごみとして処分する場合、人形本体とケースは分けて捨てなければなりません。分別するにもケースから人形を取り出す方法が分からなかったり、ガラスが割れないかヒヤヒヤしたりと大変ですよね。

そのような品物がある場合も、不用品回収業者に依頼すればすべてまとめて引き取ってもらえます。さらに、中古品買取業も行っている業者であれば、同時に買取査定をしてもらうことも可能です。処分するつもりだった人形が思わぬ高値で売れる場合もあるため、ぜひ検討してみてください。

人形やぬいぐるみの処分に「供養」は必要?

ここまでは、人形やぬいぐるみを家庭ごみとして処分する方法をご紹介しました。

しかし、「そもそも、人形やぬいぐるみをごみとして捨ててしまってよいの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

基本的にそのまま処分して問題ないとされているものの、自分やお子さんが愛着をもっていた人形をごみとして扱うのは気が引けますよね。また、人形がモチーフのホラー映画や怪談も多いため「何となく怖い」と感じる方もいるかもしれません。

人形やぬいぐるみをごみとして処分するのに抵抗がある方は、「人形供養」をしてみるのもおすすめです。これまでお世話になった人形に感謝を伝えたうえで処分すれば、ご自分やお子さんの気持ちの整理にもつながります。

ここからは、人形供養の方法について解説します。

神社やお寺で「人形供養」をしてもらう

人形やぬいぐるみは、「人形供養」を受け付けている神社やお寺に頼むと丁寧に供養してもらえます。年間通して受け付けている寺社があれば、定期的な祭祀として執り行っているところもあるため、1度お近くの神社やお寺に問い合わせてみてください。

供養を頼む際は事前に神社やお寺に問い合わせ、指示にしたがって準備をします。人形やぬいぐるみと一緒に、供養料として1000~1500円を納める場合が多いです。また、「持ち込みのみ対応可能」「事前申し込みあれば郵送でも対応」など受付方法も異なるため、きちんと確認しておきましょう。

人形供養をしてもらう場合、注意してほしいのは次の3点です。

  • すべての神社・お寺が人形供養に対応しているわけではない
  • 金属の部品など、不燃性の素材が使われている人形は供養できない場合が多い
  • 日本人形などのガラスケースは自宅で分別する必要がある

ちなみに、毎年10月15日は「人形の日」に指定されています。全国各地の寺社では、この日に合わせて人形供養祭を執り行う場合も多いです。参考例として、特に有名な東京都台東区「清水観音堂」と和歌山県和歌山市「淡嶋神社」での供養祭の様子を以下のリンクで見ることができます。

【参考資料】
清水観音堂の人形供養|TAITOおでかけナビ
淡嶋神社の雛流し|NHKアーカイブス

郵送で人形供養ができるサービスも

「近くに人形供養をしてくれる神社やお寺がない…」とお困りの方には、郵送で人形供養ができるサービスがおすすめです。

例えば、先に紹介した「人形の日」を制定した一般社団法人 日本人形協会でも郵送での人形供養サービスに取り組んでいます。

日本人形協会の公式ホームページから申し込み、送られてきた「お人形差出キット」の指示にしたがって人形やぬいぐるみを梱包して協会に送付すれば完了です。キット1箱につき5000円とゆうパック送料がかかりますが、人形が1箱に収まりきらない場合は2000円で1箱ずつ追加できます。

全国から送られてきた人形は、毎年10月に東京大神宮で行われる人形供養祭で丁寧に供養されています。人形やぬいぐるみを通年で受け付けているため、ぜひ協会のホームページをチェックしてみてください。

そのほか、郵送での人形供養サービスを行っている民間企業もあります。お近くに人形供養をしている寺社がない場合は、民間サービスの利用も検討してみましょう。

【参考資料】
人形感謝(供養)|一般社団法人 日本人形協会

家庭でできる人形供養

家庭ごみとして人形やぬいぐるみを捨てる場合でも、簡単に供養をしておくと気持ちの整理になります。家庭でできる人形供養の方法は、主に次の4つです。

  • 人形やぬいぐるみを綺麗に拭き、見た目を整えてあげる
  • お清めの塩を振りかける
  • ごみ袋にも塩を入れておく
  • 顔の部分を白い布や和紙で包んであげる

お清めの塩は、玄関先や部屋の隅に置く「盛り塩」と同じ意味合いで使われています。また、古くから神道では、お通夜・葬式に行ったら穢れをとるために身体に塩を振り、身を清める慣習がありました。

さらに、顔を包む際は目を隠してあげることが大切です。髪がある人形であれば、結んでまとめたうえで包むとよいでしょう。

人形供養は、これまで一緒に過ごした「友達・相棒」ではなく「品物」に戻してあげる意味があります。人形やぬいぐるみに感謝を伝えて供養したうえで、モノとしてきちんと処分してください。

【参考資料】
日本の人形の歴史と文化|Highlighting Japan

状態がよい人形・ぬいぐるみはリユースへ

「自分や子供にはもう必要ないけれど、十分綺麗で使えそう」

このような人形やぬいぐるみは、必要な方の手に届くようにリユースに回すのもおすすめです。小さなお子さんがいる友人知人がいれば、必要ないか聞いてみるとよいでしょう。

人形やぬいぐるみを誰かに譲る際は、あらかじめ綺麗に整えて渡すのがマナーです。布製の人形やぬいぐるみはきちんと洗濯・クリーニングをして、ほこりや毛玉も取り除いておきましょう。受け取った人が気持ちよく使えるだけでなく、ご自身やお子さんの気持ちの整理にもつながります。

ここでは、リサイクルショップやフリマアプリでの売却や団体への寄付について解説します。

リサイクルショップで買い取ってもらう

人形やぬいぐるみは、多くのリサイクルショップが買取対象としています。売れそうな品物があれば、買い取りを依頼してみるのもよいでしょう。

子供が小さいうちは成長も早いため、子供服やおもちゃをリサイクルショップで安く手に入れる方も多いです。そのため、状態のよい人形やぬいぐるみはニーズがあるといえます。

しかし、すべての品物を買い取ってもらえるわけではありません。特に愛着があってよく遊んだ人形は、傷みやほころびも多いはずです。リサイクルショップでは「状態がよくない」とみなされてしまうため、そもそも買取不可になってしまう場合もあります。

また、まとめて買取依頼をしてもほんの少ししかお金にならない場合も多いです。リサイクルショップに行くまでの交通費の方が高くなるケースもあります。少しでも高く売るために、できるだけ品物の見た目を整えたうえでリサイクルショップに持ち込むとよいでしょう。

ネットオークションやフリマアプリで売却

ネットオークションやフリマアプリを利用するのもおすすめです。処分するはずだった人形やぬいぐるみがお金になる可能性があるうえ、自分で好きな値段をつけて売ることができます

人形やぬいぐるみのなかには、プレミア価格で取引される品物もあります。ご自分が不要だと思っていても、マニアによっては宝物かもしれません。出品したい人形があれば、1度ネットオークションサイトやフリマアプリで価格を確かめてみるとよいでしょう。

しかし、ネットオークションなどに出品する際には品物の写真を撮ったり、状態に関する説明文を作ったりする必要があります。人形やぬいぐるみを購入してくれた方とのやりとりや発送などの手間もかかります。

また、出品した品物がすぐに売れるとは限りません。古いものや状態が悪いものはいくら時間が経っても売れない場合もあります。出品中は自宅に保管しておくことになるため、「売れないからなかなか片付かない!」と困るケースもあるでしょう。

「事前に決めた出品期間中に売れなければ別の方法で捨てる」と決めておくと、処分に時間がかかるリスクを減らせます。

慈善施設・団体などに寄付する

幼稚園・保育園や児童養護施設、各種支援団体のなかには、人形やおもちゃの寄付を募集しているところもあります。状態がよい人形やぬいぐるみがあれば、お近くに寄付できる施設がないかチェックしてみてください。

寄付した人形は、それを使って楽しく遊べる年齢の子供に届くことが多いです。成長したお子さんには不要になった人形も、ほかの子供たちに使ってもらえると嬉しいもの。また、環境保護やSDGsにもつながります。

しかし、人形を一方的に送り付けるのはNGです。こちらが親切のつもりでも、かえって迷惑になってしまいます。施設や団体のホームページに「受付可能」とある場合でも、電話やメールで直接確認したうえで渡すようにしましょう。

支援団体の中には、郵送での寄付を受け付けているところもあります。この場合、梱包材や送料は基本的に自己負担です。

【参考資料】
ご寄附のお願い | 特定非営利活動法人 国際子供友好協会
ぬいぐるみ|NPO法人もったいないジャパン

まとめ

ご自分やお子さんが愛着をもっている人形を手放すのは、名残惜しいもの。だからこそ、きちんと分別したり人形供養をしてあげたりして、しっかり処分することが大事です。処分の過程で心の整理がつくため、感謝の気持ちをもって手放せます。

また、リサイクルショップやフリマアプリを利用すれば、必要な方に人形やぬいぐるみをバトンタッチできます。各種施設や団体に寄付すれば、子供たちのよいお友達になってくれるはずです。状態がよい人形があれば、ぜひチャレンジしてみてください。

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