3月9日に閣議決定した「プラスチック資源循環促進法案」について解説します。
目次
プラスチック資源循環促進法案とは
プラスチックごみの削減とリサイクル強化などを目的として「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が令和3年3月9日に閣議決定されました。
製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までにかかわる主体におけるプラスチック資源循環等の取り組み(3R+Renewable)を促進するための措置を講じています。
参照環境省「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案の閣議決定について」
法律案の概要
環境配慮設計指針の策定
製造事業者等が努めるべき環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に適合した設計であることを認定する仕組みを設けます。また、認定製品を国が率先して調達する(グリーン購入法上の配慮)とともに、リサイクル材の利用に当たっての設備への支援を行います。
プラスチック使用量を減らした商品など環境に配慮した商品を認定する制度を創設し、消費者が選びやすいよう認定マークをつくることも検討されています。
ワンウェイプラスチックの使用の合理化
ワンウェイプラスチックの提供事業者(小売・サービス事業者など)が取り組むべき判断基準を策定します。また、主務大臣の指導・助言・ワンウェイプラスチックを多く提供する事業者への勧告・公表・命令を措置します。
使い捨てストローやスプーンを多く提供する飲食店、コンビニでお弁当を購入したときに配られるスプーンやフォーク、ホテルのアメニティなどが想定されています。
これらの事業者などには、提供方法の見直しによる削減策づくりを義務付け、取り組みが不十分な事業者に対しては、政府が勧告や命令などを行うほか、従わない場合は罰則として50万円以下の罰金が科される可能性があります。
今後、対象となる事業者や有料化を含む具体的な削減方法が示されます。
市区町村の分別収集・再商品化の促進
プラスチック資源の分別収集を促進するため、容リ法ルートを活用した再商品化を可能にします。また、市区町村と再商品化事業者が連携して行う再商品化計画を作成し、主務大臣が認定した場合に、市区町村による選別、梱包等を省略して再商品化事業者が再商品化を実施することを可能にします。
容リ法=容器包装リサイクル法を活用し、市町村と再商品化事業者による効率的な再商品化を促進する仕組みを導入。さらに、家庭からでる食品トレーや歯ブラシ、文房具、コンタクトケース、おもちゃなども「プラスチック資源」として一括回収できる仕組みを導入予定です。
製造・販売事業者による自主回収の促進
製造・販売事業者等がプラスチック製品等を自主回収・再資源化する計画を作成し、主務大臣が認定した場合に、認定事業者の廃棄物処理法の業許可を不要とします。
販売事業者には店頭回収等を促進します。
排出事業者の排出抑制・再資源化の促進
排出事業者が排出抑制や再資源化等の取り組むべき判断基準を策定します。また、主務大臣の指導・助言・プラスチックを多く排出する事業者への勧告・公表・命令を措置します。加えて、排出事業者等が再資源化計画を作成し、主務大臣が認定した場合に、認定事業者の廃棄物処理法の業許可を不要とします。
梱包資材や建材などを大量に排出する事業者にリサイクル推進を求めます。
取り組みが不十分な場合には国から勧告や命令が出されるようになります。
まとめ
新法案は現在開会中の第204回通常国会で審議され、2022年4月の施行を目指しています。
レジ袋に引き続き、プラスチックスプーンやフォークも有料化されることも検討されています。
プラスチックごみのリサイクル強化や排出削減に向けた取り組みがより一層加速しそうです。
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