廃プラスチック類とは?廃プラスチック類の種類や廃棄量統計の現状と課題

廃プラスチック類とは

産業廃棄物のうちの1種類である「廃プラスチック類」とは、事業活動に伴って生じた合成樹脂くず、合成ゴム、合成繊維くずなどの固形状および液状の廃プラスチック類のことをいいます。
合成皮革くず、接着剤のかす、廃タイヤの合成ゴムなども廃プラスチック類に含まれます。

廃プラスチック類の廃棄量統計

平成28年度の廃棄物の種類別排出量の統計によると、廃プラスチック類の排出量は6,836千トン(全体の1.8%)になっており、平成27年度の廃プラスチック類の排出量は6,823千トン(1.7%)のため、前年度と比べると排出量も割合も増加していることがわかります。
また、産業廃棄物の種類別の処理状況(産業廃棄物の再生利用量、減量化量、最終処分量)の統計によると、廃プラスチック類の処理の比率は再生利用量59%、減量化量25%、最終処分量計16%という結果になっています。
最終処分の比率が高い順から見ていくと、燃え殻(22%)、ゴムくず(19%)に次いでガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(16%)、廃プラスチック類(16%)という順で、比較的最終処分率が高いという結果になっています。

<参考>環境省 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

廃プラスチック類のリサイクル方法

廃プラスチック類のリサイクル方法はマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3種類があります。

マテリアルリサイクル

廃プラスチック類を溶かし、フレーク状やペレット状にすることで再びプラスチック製品の原料としてリサイクルする方法です。
製品化する工程は事業者により多少異なる場合もありますが、主な流れとしては塩ビボトルや着色ボトルを除去し、選別、粉砕、風力分離、洗浄、比重分離を行い、金属やガラスくずが入っていないかを確認した上で粒状のペレット状や細かく裁断されたフレーク状にしてそれぞれの製品の原料として再生利用されます。
リサイクル品の一例
・下敷き
・バッグ
・衣類
・防草シート
・回収ボックス
・食品用トレイ
・ペットボトル

ケミカルリサイクル

廃プラスチック類に熱を加えるなどプラスチックを科学的に分解することでガスや燃料などとしてリサイクルする方法です。
リサイクル方法の一例
・油化:廃プラスチック類を石油に戻す方法
・ガス化:廃プラスチック類を熱で分解することでガス化させて、一酸化炭素や水素などを生成する方法
・高炉の還元剤:製鉄する際に酸化鉄から酸素をとる還元剤として利用する方法

サーマルリサイクル

廃プラスチック類を焼却する際に発生する熱エネルギーを利用する方法です。
また、ガス化や油化などの燃料として利用することも広い意味でサーマルリサイクルとする場合もあります。
リサイクル方法の一例
RPF
・廃棄物発電
・セメントキルン原燃料化

※RPF
プラスチック類と古紙などで作る廃棄物固形燃料RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)は、石炭の代わりとして利用することができます。
一般廃棄物から作る固形燃料のRDF(Refuse Derived Fuel)と違い、原料となる廃棄物の内容物が明らかにされているため不純物が少なく、発熱量のコントロールができるようになり、ダイオキシン発生の原因になるPVCを除外することもできるため近年RPFへの注目が集まっています。

廃プラスチック類のリサイクルの課題

平成30年6月19日に閣議決定された第四次循環型社会形成推進基本計画においてプラスチック資源循環戦略が策定されました。この戦略が策定された背景には、日本はプラスチックの再生利用される割合が世界全体と比べると低いという問題があります。また、不適正な処理により陸上から海洋へのプラスチックごみの流出があると推計されており、2050年までに魚の重量を超える量のプラスチックが海洋環境に流出すると予測され、地球全体への環境汚染が問題視されています。

<参考> 環境省 「プラスチック資源循環戦略」の策定について

まとめ

プラスチック類のゴミは産業廃棄物だけにとどまらず、食品用トレイやビニール袋など家庭内から出る一般廃棄物としても身近に存在しています。
平成30年6月に行われたG20で話題となった「海洋プラスチックごみ対策」についてのニュースを目にしたり、一部のレストランでプラスチックストローの提供がなくなるなど、日常生活にも影響がでてきたことでプラスチックごみへの注目は高まっています。
地球全体の環境汚染を防ぐためには、日常生活においても廃プラスチック類の正しい処理知識を持ち、処理・リサイクルを心がけていくことが重要です。

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