廃棄物処理施設の役割を解説!適正な運転をするのに主任者や管理者は必要?

廃棄物処理施設には、「一般廃棄物処理施設」と「産業廃棄物処理施設」があります。

これらの施設にはさらに細かな種類があり、設置には許可が必要な場合もあります。

本記事では、廃棄物処理施設の役割や種類、基礎知識を分かりやすく解説します。

廃棄物処理施設とは?

廃棄物処理施設とは、廃棄物を破砕や焼却といった処理を行い、最終的には埋立によって環境への影響を防ぐための施設です。

廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によって、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分類されます。

一般廃棄物は、主に家庭や事業所から出るゴミで、一般廃棄物処理施設で処理されます。

産業廃棄物は、企業や工場から発生する廃棄物で、産業廃棄物処理施設において適切に処理することが求められます。

廃棄物処理施設の役割と課題

廃棄物処理施設は、廃棄物を分別・収集・運搬し、適切に処理する重要な役割を担っています。

主な処理方法には、次のようなものがあります。

  • 焼却処理:廃棄物を高温で燃焼させ、減量化・無害化する方法
  • 埋立処理:処理後の廃棄物を地中に埋め、安全に処分する方法
  • 破砕処理:廃棄物を細かく砕き、処理しやすい形にする方法

近年では、環境負荷を軽減するためにバイオマス発電やリサイクルプラントなど、廃棄物を資源として再利用する取り組みが進んでいます。

こうした施設が適切に機能することで、廃棄物が自然環境に与える影響を抑え、地球環境の保護につながります。

しかし、廃棄物処理施設の設置や運営には、以下の課題も存在します。

  • 地域住民の反対:施設が生活環境に影響を与える懸念がある
  • 環境汚染のリスク:適切な管理が行われない場合、周辺環境への悪影響が考えられる

こうした問題を解決するためには、施設の適切な管理や透明性のある情報提供、さらに周辺住民との十分なコミュニケーションが欠かせません。

廃棄物処理施設は、環境保護と地域社会との共存を目指し、持続可能な未来を支える重要な存在です。

廃棄物処理施設技術管理者とは?

廃棄物処理施設技術管理者とは、一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設において、適切な維持管理を行うために設置が義務付けられている資格を持つ技術者です。

この役職は、廃棄物処理法に基づき、廃棄物処理施設の安全かつ衛生的な運営を確保するために非常に重要な位置を占めています。

廃棄物処理施設技術管理者の役割

廃棄物処理施設技術管理者の主な任務は、施設の運転状況を監督し、適正な維持管理を行うことです。

具体的な業務としては、施設の運転状況の確認や維持管理計画の作成・実施、処理基準の遵守状況の確認、従業員の指導監督などがあります。

これにより、施設の安全な運営を支え、環境への悪影響を防止します。

施設技術管理者は、廃棄物処理施設が安全かつ適切に運営されるために必要不可欠な存在です。

高度な専門知識と豊富な経験が求められる職務です。

求められる知識と責任

廃棄物処理施設技術管理者には、施設の適正運営や環境保全に関する幅広い知識が求められます。

特に、廃棄物処理に関する法律や条例、施設の構造や維持管理方法に関する深い理解が必要です。

また、環境への影響を最小限に抑えるための対策や、事故発生時の迅速な対応能力も重要な要素です。

責任の面では、施設の安全で適正な運転を監督するだけでなく、万が一事故が発生した場合には、迅速かつ適切に対応し、再発防止策を策定する必要があります。

そのため、危機管理能力も欠かせません。

資格の種類と取得方法

廃棄物処理施設技術管理者の資格には、施設の種類や処理能力に応じていくつかの区分があります。

主な施設区分としては、「焼却施設」「破砕施設」「最終処分場」などがあり、それぞれの施設ごとに資格の種類が異なります。

例えば、焼却施設では、処理能力に応じて次のように区分されます。

  • 丙種:1日あたりの処理能力が200キログラム未満
  • 乙種:1日あたりの処理能力が2トン未満
  • 甲種:1日あたりの処理能力が2トン以上

資格を取得するためには、施設ごとの要件に応じた実務経験や講習の受講が求められます。

廃棄物処理施設技術管理者になるには

廃棄物処理施設技術管理者になる方法は主に2つあります。

国家資格試験に合格する方法

「廃棄物処理施設技術管理者試験」に合格することで資格を取得できます。

この試験は毎年1回実施され、廃棄物処理に関する専門的な知識や技術レベルを問われます。

試験内容は施設の種類によって異なり、筆記試験が中心です。

都道府県知事の認定を受ける方法

一定の要件を満たし、都道府県知事から認定を受ける方法もあります。

具体的な要件は施設の種類や都道府県によって異なるため、事前に確認が必要です。

どちらの方法でも資格取得後は、廃棄物処理施設技術管理者として、施設運営における重大な責任を担うこととなります。

日々の業務を通じて専門知識やスキルを磨き、環境保全に貢献することが求められます。

産業廃棄物処理施設とは?

産業廃棄物処理施設とは、産業廃棄物の中間処理や最終処分を行う施設のうち、一定規模以上の処理能力を持つものを指します。

このような施設は、廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物処理施設として規定されています。

産業廃棄物処理施設を設置するには、設置を許可する権限を持つ都道府県や市の許可が必要です。

一方で、処理能力が一定規模未満の施設では、設置許可自体は不要ですが、産業廃棄物を業務として処理(中間処理や最終処分)する場合には、都道府県や市から産業廃棄物処分業の許可を取得しなければなりません。

それぞれの施設について見ていきましょう。

中間処理施設

以下は、廃棄物処理施設の中間処理施設に関する表です。

各施設の種類に応じて、処理する廃棄物の種類と処理能力をまとめました。

施設の種類 処理する廃棄物の種類 処理能力
脱水施設 汚泥 1日当たり10立方メートルを超えるもの
乾燥施設 汚泥 1日当たり10立方メートルを超えるもの
乾燥施設(天日乾燥) 汚泥 1日当たり100立方メートルを超えるもの
焼却施設 汚泥 1日当たり5立方メートルを超えるもの、1時間当たり200kg以上又は火格子面積2平方メートル以上のもの
廃油 1日当たり1立方メートルを超えるもの、1時間当たり200kg以上又は火格子面積2平方メートル以上のもの
廃プラスチック類 1日当たり100kgを超えるもの又は火格子面積2平方メートル以上のもの
廃PCB等(PCB汚染物・PCB処理物) すべてのもの
その他の産業廃棄物 1時間当たり200kg以上又は火格子面積2平方メートル以上のもの
油水分離施設 廃油 1日当たり10立方メートルを超えるもの
中和施設 廃酸・廃アルカリ 1日当たり50立方メートルを超えるもの
破砕施設 廃プラスチック類 1日当たり5tを超えるもの
木くず・がれき類 1日当たり5tを超えるもの
コンクリート固型化施設 有害物質を含む汚泥 すべてのもの
ばい焼施設 水銀又はその化合物を含む汚泥 すべてのもの
硫化施設 廃水銀等 すべてのもの
シアン分解施設 シアン化合物を含む汚泥、廃酸、廃アルカリ すべてのもの
廃石綿等または石綿含有産業廃棄物の溶融施設 廃石綿等または石綿含有産業廃棄物 すべてのもの
廃PCB等またはPCB処理物の分解施設 廃PCB等またはPCB処理物 すべてのもの
PCB汚染物またはPCB処理物の洗浄施設 廃PCB等またはPCB処理物 すべてのもの
PCB汚染物またはPCB処理物の分離施設 廃PCB等またはPCB処理物 すべてのもの

PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略称。

最終処理場

以下は、廃棄物処理施設の最終処分場に関する表です。

各施設の種類に応じて、処理する廃棄物の種類と処理能力をまとめました。

施設の種類 処理する廃棄物の種類 処理能力
遮断型最終処分場 有害な産業廃棄物 すべてのもの
安定型最終処分場 安定型産業廃棄物 すべてのもの
管理型最終処分場 上記2つ以外の産業廃棄物 すべてのもの

安定型最終処分場で処理できる産業廃棄物とは、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス及び陶磁器くず、がれき類で有機性の物質、油分、または有害物質を含有または付着していないもの。これらを「安定型産業廃棄物」と言う。

まとめ

廃棄物処理施設は環境保護の重要な要素であり、適切な処理を行うためには技術管理者の専門知識と責任が求められます。

また、施設の種類や処理能力に応じて許可が必要な場合があり、運営には細心の注意が払われるべきです。

環境負荷軽減のためには、廃棄物の適切な処理と再利用が不可欠であり、地域社会との協力が重要です。

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