2025年5月スタートの「コブリス・プラス」は、建設副産物や発生土の管理を効率化する新サービスです。

官民連携やリサイクル法対応など機能も充実しており、今注目のWebシステムです。

 

当記事では、コブリス・プラス導入前の注意点や使い方まで、初心者にもわかりやすく解説しています。

コブリス・プラスとは

コブリス・プラスは、建設副産物や建設発生土に関する情報を一元管理できるシステムです。

 

建設業界では、リサイクルや再資源化に関する情報管理が求められており、法令対応も含めた業務の効率化が課題となっています。
こうした背景のなかで、発注者や施工者が情報を共有しやすくするために導入されたのがコブリス・プラスです。

 

まずは、このシステムの概要と対象となる建設副産物・建設発生土について、簡潔に解説していきます。

コブリス・プラスの概要

コブリス・プラスとは、国土交通省が主導する「建設副産物・建設発生土」の情報共有を目的としたWebシステムです。

 

このシステムは、従来の「コブリス(COBRIS)」を進化させたもので、公共工事を中心とした建設プロジェクトで発生する廃材や発生土の処理・再利用に関する情報を一元化します。
特に発注者と受注者の間で、リサイクル計画や処理フローを可視化できるため、関係者全体の業務効率や透明性を高める効果が期待されています。

 

またログイン後はプロジェクトごとの情報登録や報告書の出力も行えるため、実務に即した機能も充実しています。

建設副産物と建設発生土

建設副産物とは、工事の過程で発生する廃材や資材のうち、再利用やリサイクルが可能なものを指します。

具体的には、コンクリート塊やアスファルト、木材くずなどが該当します。

これらは「建設リサイクル法」に基づき、適切な管理が義務づけられています。

 

一方建設発生土とは、掘削作業などによって生じる土砂のことです。

再利用や処分を行う際には、環境保全の観点から厳格な管理が求められます。

コブリス・プラスは、これらの情報を正確に登録し、関係者間で共有することで、環境負荷の軽減と法令遵守の実現を支援しています。

 

(参考:国土交通省「建設副産物の定義」)

コブリスとの違い

コブリス・プラスは、従来の「コブリス」よりも機能が拡張された新しいシステムです。

 

「コブリス」はもともと、建設副産物に関する情報を登録したり、共有したりする仕組みとして運用されてきました。
コブリス・プラスでは、それに加えて建設発生土の情報管理、発注者と受注者のマッチング支援、調査データの共有など、より実務に即した機能が追加されています。

 

たとえば建設リサイクル法への対応や、法令に基づく管理資料の作成を効率化できる点が特長です。

 

このようにコブリスの基本的な役割を引き継ぎながら、現場の多様なニーズに応える機能を備えているのが、コブリス・プラスの大きな違いです。

コブリス・プラスで主にできる7つのこと

コブリス・プラスは、建設業務の効率化を目的とした多機能システムです。
従来の「コブリス」と比べて、実務に即した操作性やデータ管理のしやすさが大幅に改善されています。

 

提供されている主な機能は以下の7つです。

・建設副産物や建設発生土の情報共有
・建設リサイクル法への対応
・官民のマッチング支援
・調査データの共有
・データ入力の省力化
・各種法令への対応
・トックヤードの活用

 

これらの機能を活用すれば、現場の業務負担を減らしながら、より正確かつ効率的な管理が行えます。
ここからは、それぞれの機能について具体的に解説していきます。

建設副産物や建設発生土の情報を共有

建設副産物や建設発生土に関する情報共有は、コブリス・プラスの中核機能のひとつです。
なぜなら、こうした資材の再利用や処分には、正確な情報管理が欠かせないからです。

 

たとえば、コンクリート塊や掘削土などの発生量や処理方法を、デジタル上で関係者と共有できます。
これにより、現場ごとの対応のばらつきを防ぎ、環境保全と法令順守の両立が図れるようになります。

建設リサイクル法の対応

コブリス・プラスは、建設リサイクル法に対応する機能も備えています。

 

同法では、特定建設資材の分別解体や再資源化が義務づけられており、適切な記録管理が求められます。
(参考:環境省「建設リサイクル法の概要
コブリス・プラスを使えば、必要な情報の登録や確認書の作成がシステム上で完結します。

 

その結果、書類の作成や管理にかかる時間と手間が軽減され、法令に沿った対応がしやすくなります。

官民マッチング

官民マッチング機能も、コブリス・プラスの大きな特長です。


これは、建設発生土などの受け入れ先を行政と民間の間で効率的に探すための仕組みです。
たとえば、民間の受け入れ施設と自治体が情報を共有することで、搬出先の確保がスムーズになります。


マッチングが適切に行われれば、運搬距離の短縮や処理コストの削減といったメリットも期待できます。

調査データの共有

調査データの共有機能により、関係機関との情報連携がスムーズになります。

 

建設工事では、現地調査や試験結果などのデータが多く発生します。

これらのデータを紙で管理すると、共有や再利用が難しくなります。

 

コブリス・プラスを使えば、これらの調査データをオンラインで一元管理でき、関係者間で迅速に情報を共有することが可能です。

業務の効率化だけでなく、記録の信頼性向上にもつながります。

データ入力の省力化

コブリス・プラスには、データ入力の手間を減らす仕組みがあります。

 

通常建設現場では多くの情報を手作業で入力する必要があり、担当者の負担が大きくなりがちです。
コブリス・プラスでは、過去の登録内容の自動反映や、定型的なデータのテンプレート化に対応しています。

 

これにより、同じ情報を何度も入力する必要がなくなり、作業の正確さとスピードが向上します。

各種法令対応

建設業務では、さまざまな法律への対応が求められます。

 

コブリス・プラスは、こうした法令対応を支援する機能を備えています。
たとえば建設リサイクル法や土壌汚染対策法などに関して、必要な書類や手続きをシステム上で一元管理できます。これにより、担当者が法令を個別に確認する手間が減り、ミスの防止にも効果があります。

(参考:環境省「土壌汚染対策法

 

このように、法令順守の精度が高まることで、業務全体の信頼性も高くなります。

トックヤードの活用

トックヤード機能は、発生土などの仮置き場所に関する情報を管理するための仕組みです。

 

建設現場では、掘削した土砂を一時的に保管する場所の確保が重要です。

コブリス・プラスを使えば、トックヤードの位置や受け入れ条件をあらかじめ登録・共有できます。
これにより、搬出計画の調整がスムーズになり、現場での混乱を防げます。

 

効率的な土砂管理を実現するための有効な機能といえるでしょう。

コブリス・プラスを利用する際の4つの注意点

コブリス・プラスは、建設業務の効率化に役立つ便利なシステムですが、利用するうえでいくつか注意すべき点もあります。

 

注意点は以下の4つです。
・インターネット環境が必要
・初期設定や登録作業が手間
・操作に慣れるまで時間がかかる
・対応している法律やルールの更新に注意

 

それぞれ解説していきます。

インターネット環境が必要

コブリス・プラスを利用するには、安定したインターネット環境が必要です。
なぜなら、コブリス・プラスはWeb上で動作するクラウド型の仕組みであり、オフラインでは操作できないからです。

 

たとえば、建設現場で使用しようとした際に、電波が不安定な場所ではログインできなかったり、画面が読み込めなかったりすることがあります。

また、通信速度が遅いとデータの送受信にも時間がかかり、業務の遅延を招く可能性もあります。

 

このようなトラブルを避けるためにも、現場で使用する前に電波状況を確認し、必要に応じてモバイルWi-Fiなどの準備をしておくと安心です。
快適に運用するためには、安定した通信環境を整えることが欠かせません。

初期設定や登録作業が手間

コブリス・プラスを導入する際は、初期設定や登録作業にある程度の手間がかかります。
発注者や受注者の基本情報の登録、関係書類の入力、利用者ごとの権限設定など、事前に整えておくべき内容が多いためです。

 

たとえば、初めて利用する担当者がマニュアルを確認しながら作業を行う場合、操作に戸惑い、想定以上の時間がかかってしまうこともあります。

作業効率が落ちると、他の業務に支障が出ることもあるでしょう。

 

こうした負担を軽減するには、あらかじめ必要な書類や登録情報をそろえておくことが効果的です。

導入前の準備が登録作業のスムーズな進行につながり、現場での混乱を防ぎます。

操作に慣れるまで時間がかかる

コブリス・プラスは多機能なシステムであるため、操作に慣れるまで時間がかかることがあります。

理由は機能が多岐にわたり、各メニューの役割や使い方を把握する必要があるためです。

たとえば、「どのメニューで何ができるのか」が初めのうちは分かりづらく、迷ってしまうことも少なくありません。

 

そのため、初期段階では公式マニュアルや説明動画を参照しながら、一つずつ操作を確認していくことが重要です。

こうした学習を通じて、システム全体の流れが理解できるようになり、徐々に業務効率も上がっていきます。
最初は戸惑うことがあっても、使い続けるうちに自然とスムーズに操作できるようになるでしょう。

対応している法律やルールの更新に注意

コブリス・プラスを利用する際には、対応している法律や運用ルールの更新に注意が必要です。
なぜなら、システムは建設リサイクル法や土壌汚染対策法など、さまざまな法令に準拠して機能が設計されているからです。


これらの法律は定期的に改正されるため、システムが更新されたとしても、ユーザー側が最新情報を正しく理解していなければ、手続きの誤りやトラブルが発生する可能性があります。
例えば、提出書類の様式が変更されていたにもかかわらず、旧式のまま処理してしまうと、業務が差し戻されるおそれもあります。


法令やシステムの変更点を定期的に確認し、必要に応じてマニュアルや通知を見直すことが、安定した運用につながります。

コブリス・プラスを活用しよう

コブリス・プラスは、建設副産物や建設発生土に関する情報を効率的に管理し、関係機関とのスムーズな連携を実現できる優れたシステムです。

従来の「コブリス」との違いを理解したうえで、活用可能な7つの機能を把握すれば、建設リサイクル法をはじめとする各種法令対応にも対応しやすくなります。

 

ただし、利用にはインターネット環境や初期設定、法改正への対応など注意点もあります。

これらのポイントを事前に確認し、正しく使いこなせば、業務の省力化と法令順守を同時に実現できるでしょう。

建設現場での効率化や信頼性向上を目指す方には、コブリス・プラスの導入をおすすめします。

 

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