賞味期限切れの非常食はいつまで食べられる?見極め方・捨て方を解説

台風や地震などの災害時に備え、非常食を備蓄しているご家庭も多いでしょう。みなさんは、ご家庭の非常食の「賞味期限」をチェックしたことはありますか?

農林中央金庫の調査(2024年)によると、対象者3,500人のうち「非常食の賞味期限が過ぎたことがある」と答えた方は64.9%でした。災害時、傷んだ非常食を食べてお腹を壊すのは避けたいもの。けれども、非常時だからこそ、多少賞味期限が切れていても傷んでいなければ活用したいですよね。

この記事では、非常食が賞味期限切れでも食べられる期間の目安や傷み具合の見極め方を解説します。食べられなくなった非常食の処分方法や、賞味期限切れを起こさない工夫もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

非常食は賞味期限が切れても食べられる?

非常食は、賞味期限が切れてもある程度の期間であれば食べられます

本来「賞味期限」は「おいしく食べられる期間の目安」です。これに対し、期限を過ぎると安全性が損なわれるため「食べない方がよい期限」は「消費期限」と呼ばれます。賞味期限が切れた食品は風味や食感が損なわれることもありますが、安全性が著しく低くなるわけではありません

特に、非常食は長期保存を前提として作られています。例えば、スーパーやコンビニで買える一般的なパンの消費期限は製造から3~5日ほどですが、非常食用の長期保存パンの賞味期限は約1~5年もあります。長期保存に耐えられるように開発されているため、一般的な食品よりも期限切れに強いです。

そのため、賞味期限切れの非常食を見つけたからといって、すぐに処分する必要はありません。まとめて処分した直後に、万が一災害が起こったら大変ですよね。もちろん明らかに傷んでいる非常食は捨てるべきですが、問題なく食べられそうなものは可能な限り有効活用しましょう。

【参考資料】
賞味期限の切れた災害備蓄食品について | 消費者庁

非常食の「賞味期限切れでも食べられる期間」の目安

消費者庁では、食品の賞味期限が切れても食べられる期間の目安を「賞味期限(月数)×10分の1×2分の1」としています。

例えば、賞味期限が「製造日から2年半」の食品であれば、賞味期限が過ぎた後「30カ月×10分の1×2分の1 = 1.5カ月」は食べられる計算です。この計算式をもとに、6種類の非常食について「賞味期限切れでも食べられる期間」を表にまとめました。

品名 賞味期限の目安 期限後食べられる期間 備考
長期保存水 5~10年 賞味期限が5年→3カ月
賞味期限10年→半年
賞味期限が長いほど価格が高くなる
アルファ化米 3~7年 賞味期限5年→3カ月 「直射日光・高温多湿を避けた常温保存」が推奨されている
乾パン 5年 3カ月 冷暗所での保存がおすすめ
長期保存パン 袋入りタイプ→1年程度
缶入りタイプ→5年程度
袋入りタイプ→20日前後
缶入り→3カ月
缶入りタイプの方が密封性が高いため長持ちしやすい
缶詰 3年程度 1カ月半程度 市販品の多くは最長3年程度
レトルト 1~2年 20~40日前後 賞味期限が6年の備蓄専用レトルトも

非常食の中でも、レトルト食品は数年にわたる長期保存には向かない製品も多いです。日頃から賞味期限をチェックして、なるべく期限切れを迎える前にご家庭で食べていくとよいでしょう。

【参考資料】
災害時に備えた食品ストックガイド|農林水産省

賞味期限切れの飲料水がすぐに飲めなくなるわけではない?

非常食の中でも備蓄している方が多い保存水。災害時の大切な飲み水だからこそ、記載されている賞味期限が気になりますよね。

実は、ペットボトルのミネラルウォーターに記載されている賞味期限は、ほかの食品のように「おいしく飲める期限」を意味するわけではありません。飲料水の品質は、時間の経過による変化が非常に少ないため、賞味期限が切れていても見た目やニオイに異常がなければ十分利用可能です。

ミネラルウォーターの賞味期限は、スーパーなどの小売店が「計量法に抵触せずに販売できる期限」という意味合いが強いです。

計量法には「商品に記載されている内容量」と「実際の量」の差を基準内に収めなければならないという制度があります。ミネラルウォーターは、未開封であっても時間が経つにつれ水分が蒸発し、中身が減ってしまいます。ラベルの賞味期限は、計量法違反を防ぐための販売期限ともいえるでしょう。

さらに、備蓄用の保存水には特殊な殺菌処理が施されているため、一般的なミネラルウォーターの2〜5倍ほど保存できます。ご自宅で賞味期限切れの保存水を見つけたら、まずはこれからご紹介する見極めポイントをチェックしてみてください。

【参考資料】
消費者の部屋通信(令和2年2月号)|農林水産省
防災備蓄用の水は賞味期限が切れたら使用できなくなりますか。|農林水産省

賞味期限切れの非常食が食べられるかどうかを見極めるポイント

非常食は賞味期限が多少過ぎていても食べられるとはいうものの、「本当に大丈夫かどうか、見極められる自信がない」と感じる方も多いのではないでしょうか?

賞味期限が切れた非常食を食べるかどうかの判断は、最終的に自己責任です。災害時、傷んだ非常食を食べて体調を崩すのは避けたいもの。生存率に関わるうえ、医療資源が逼迫するため適切な処置が受けられない可能性もあります。

ここでは、非常食が賞味期限切れでも食べられるかどうか見極めるポイントを解説します。ご紹介するポイントをクリアできていない場合は、絶対に食べないようにしてください。

長期保存水

先にお伝えしたように、長期保存水は賞味期限が過ぎていても問題なく飲めるケースが多いです。

しかし、重要なのは「未開封」であること。中身が外気に触れていると、雑菌が繁殖しやすくなります。使いかけでないことは前提として、次のポイントもチェックしてみてください。

  • キャップが緩んでいない
  • ペットボトルに傷がついていない
  • ペットボトルがへこんでいる

購入後しばらく経った未開封のペットボトル飲料は、内部の圧力が下がるためへこんでいます。へこみがあると品質に不安を感じるかもしれませんが、空気が中に入り込んでいない証なので安心してください。

また、水のニオイや見た目については、次の3つをよく確認しましょう。

  • 生臭さ・カビ臭さがなく、無臭
  • 水が濁っていない、うっすらと色づいていない
  • 粒状、または繊維状の浮遊物がない

ミネラルウォーターが白やピンク・緑に薄く色づいている場合は、カビが繁殖している可能性が高いです。飲まずにすぐ処分してください。

アルファ化米

賞味期限切れのアルファ化米についても、見た目やニオイが判断材料になります。次のような異常がないかチェックしましょう。

  • 見た目…カビが生えていないか、虫が湧いていないか、湿気ていないか
  • ニオイ…すっぱいニオイやカビ臭さがないか

また、どのような環境で保管していたかも重要です。アルファ化米は「直射日光・高温多湿を避けて常温保存」が推奨されています。見た目やニオイで判断がつきづらいときは、今までの保存状態を思い出すとよいでしょう。

乾パン・長期保存パン

乾パンや缶入り・袋入りの長期保存パンは、まず次の観点でパッケージの見た目をチェックします。

  • 穴や傷はないか
  • 形が変わっていないか(膨張していないか)
  • 缶がさびていないか など

パンの缶が膨らんでいる場合は、内部で雑菌が繁殖している可能性もあります。

乾パンや長期保存パンそのものをチェックする際は、見た目だけでなくニオイや感触も重要です。次のポイントを確認してみてください。

  • 見た目…変色やカビはないか
  • ニオイ…カビ臭くないか、ニオイがすっぱかったり脂っぽかったりはしないか
  • 感触…不自然に柔らかくなっていないか、べたつきはないか

問題なく食べられる状態を把握するためにも、賞味期限が切れる前の乾パン・長期保存パンを1度食べてみるとよいでしょう。

缶詰・レトルト食品

賞味期限切れの缶詰やレトルト食品は、開封前の見た目でも食べられるかどうかを判断できます。まずは次の3点をチェックしましょう。

  • 外装に穴が開いていないか、中身が漏れ出していないか
  • 全体的に膨張していないか
  • (缶詰の場合)ふたは少しへこんでいる状態か

パッケージが膨らんでいる場合、中身が腐ってガスを発生させている可能性があります。

また、缶詰のふたは少しへこんでいるのが正常です。ふたが膨らんでいたり、指で押したときにペコペコ動いたりする缶詰は食べずに処分しましょう。

賞味期限切れで食べられない非常食の捨て方

賞味期限切れの非常食をチェックしていると、「これは食べられそうにない…」というものも見つかるかもしれません。食べられない非常食は、一般的な家庭ごみと同じように処分しましょう。

基本的に、中身は取り出して処分するのが望ましいです。ただし、袋入りの長期保存パンやレトルトについては中身を出さずに丸ごと可燃ごみでもOKとする自治体もあります。

パッケージから出した中身は、生ごみの処分と同じように小さなビニール袋にまとめ、可燃ごみとして回収に出しましょう。小さなビニール袋とごみ袋の二重袋にすることで、害虫・異臭の発生やカラスや野良猫がごみを荒らすトラブルなどを予防できます。

長期保存水は洗面台やトイレに流すとよいでしょう。庭や植木の水まきや掃除用の水として活用するのもおすすめです。

ペットボトルや缶、容器包装プラスチックなどは、自治体の分別ルールにしたがって処分してください。

非常食の賞味期限を切らさないためには

非常食は賞味期限が多少過ぎていても食べられるとはいうものの、期限切れを起こさないに越したことはありません。ただでさえ不安な災害時に「本当に大丈夫だよね…?」と心配しながら食べるのは、できれば避けたいですよね。

ここでは、非常食の賞味期限切れを起こさないためにできる工夫をご紹介します。

「ローリングストック法」を取り入れる

非常食の賞味期限を防ぐため、ご家庭でも簡単にできるのが「ローリングストック法」です。

ローリングストック法とは、日常的に使う食品を多めに備蓄し、常に買い足しながら賞味期限が近い順に食べていく方法です。非常食として何をどのくらい備蓄しておくかあらかじめ決めておき、その量を下回りそうになったら買い足します。

「保管→消費→補充」のサイクルを繰り返すことで、賞味期限内の食品が常に一定数備蓄されている状態を作ることができます。普段の生活の中で無理なく消費と補充ができるため、改めて非常食の点検・入れ替えをする必要もありません。

また、災害に備えて非常食を準備していたものの、いざ食べてみたら口に合わなかったというケースは珍しくありません。特に子どもたちは変化に敏感で、不安な状態では食べなれたご飯しか受け付けない可能性もあります。

日常生活の中で賞味期限が近い非常食を消費しておけば、緊急時にも食べなれた食品として利用できます。精神的なストレス軽減にもつながるため、ぜひ試してみてください。

【参考資料】
今日からできる食品備蓄。ローリングストックの始め方|政府広報オンライン
日常備蓄で災害に備えましょう|荒川区
食品ロスにしない備蓄食料の活用に関する事例|消費者庁

「非常食用」として販売されている製品を選ぶ

非常食の賞味期限を切らさないためには、そもそも賞味期限が長い食品を備蓄しておくのも大切です。

災害時の不安定な状況下でも、食べなれた食品を食べられると確かに安心できます。しかし、日常生活で使う食品はどうしても賞味期限が短めです。賞味期限が長い製品を選びたい場合は、やはり「非常食用」として製造された食品が向いています

先にも触れたように、一般的な市販のパンと比べると非常食用のパンは賞味期限が年単位で長くなります。普段食べている食品の中から賞味期限が長い製品を選ぶのも、もちろん有効です。けれども、頻繁に入れ替える必要がなくなれば、非常食の管理がグッとラクになるでしょう。

【参考資料】
特集1 非常食(2)|農林水産省

アプリを活用する

非常食の賞味期限管理には、スマートフォンのアプリを活用するのもおすすめです。

近年は、非常食を写真に撮って賞味期限や保管場所などを登録すれば、期限が切れる2~4週間前に知らせてくれるアプリも登場しました。専用アプリではなく、お使いのスマホに標準搭載されているスケジュール管理アプリに非常食の賞味期限を入力し、リマインダーをかけるのもよいでしょう。

この機会に、ご自分が使いやすい防災アプリを探してみてください。

まとめ

非常食の賞味期限について、期限後食べられる期間の目安や傷み具合を見極めるポイントを解説しました。

非常食は、一般的な食品よりも長く保存できるように作られています。また、賞味期限は「おいしく食べられる期間」を指すため、期限切れの食品をすぐに処分しなければならないわけではありません。賞味期限が切れてもある程度の期間であれば問題なく食べられることが多いです。

賞味期限切れの非常食が安全に食べられるかどうか判断するには、ご自分の五感を使ってチェックすることも大事です。パッケージの状態や中身の見た目・ニオイなど、ご紹介したポイントを参考にしつつ確認してみてください。

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