企業の事務所や工場、建設現場などで日々発生する産業廃棄物は、通常のゴミとは異なり、法律に基づいて適切に処理する必要があります。このとき重要になるのが、誰がその処理責任を負うのかという点です。
本記事では、産業廃棄物に関する責任の所在や、排出事業者が処理を他社に委託する際の注意点を分かりやすく解説します。
産業廃棄物を処理する責任は誰にある?
産業廃棄物の処理を外部に委託する際は、必ず委託契約書を作成することが重要です。
委託契約書は、収集運搬業者と処分業者それぞれと締結する必要があります。契約書には、以下の情報を含める必要があります。
- 産業廃棄物の種類や量
- 処理施設の所在地
- 契約の有効期限
- 支払い料金
また、業者の許可証や認定証の写しも添付することが求められます。
契約書がないと、後でトラブルが起こったり、法律違反と見なされたりする可能性があります。そのため、契約書をしっかり準備し、必要な情報や書類が揃っているか確認しましょう。
さらに、契約が終了した後は5年間、契約書を保管する義務があります。
契約書を紛失しないように、しっかり管理しておくことも大切です。最近では、電子契約を利用することで、契約書の管理が簡単になり、業務の効率化やコスト削減が可能です。
マニフェストを作成する
マニフェストとは、産業廃棄物の収集、運搬、中間処分、最終処分などを委託する際に、排出事業者が発行する伝票のことです。
この伝票は、廃棄物が処理の各段階でどのように扱われたかを記録するもので、業者から業者へと渡され、最終的には排出事業者の手に返されます。
マニフェストを使うことで、廃棄物が適切に処理されたかを確認でき、不法投棄を防ぐ目的で義務付けられています。
発行されたマニフェストは、5年間の保管が法律で定められています。規定に従わない場合、廃棄物処理法違反として刑事罰が科されることもあります。
以前は紙のマニフェストが一般的でしたが、最近では電子マニフェストが広く使われるようになっています。
電子マニフェストは、交付から保管までシステム上で管理できるため、業務の効率化やミスの減少に役立ち、保管スペースも削減できます。
まとめ
今回は、産業廃棄物の処理に関する責任の所在と、処理を委託する際の注意点について解説しました。
産業廃棄物の処理には法律で細かくルールが定められており、複雑な部分もあります。廃棄物を適切に処理するためには、これらのルールや基準をしっかり理解し、慎重に行動することが大切です。
適切な処理を心がけることで、法令遵守と環境保護を実現しましょう。