金属くずとは?金属くずの種類や廃棄量統計の現状と課題

金属くずとは

産業廃棄物のうちの1種類である「金属くず」とは、鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くずなどのことです。
金属くずは、リサイクルしても品質劣化しないものが多いため、リサイクル活用されやすい廃棄物です。

金属くずの廃棄量統計

平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、金属くずの排出量は8,221千トン (全体の2.1%)になっており、前年度の平成27年度の金属くずの排出量8,647千トン (2.2%)と比べると、排出量も割合も減少していることがわかります。
また、種類別の処理状況の統計によると、金属くずの処理の比率は再生利用量92%、減量化量6%、最終処分量計2%という結果になっており、産業廃棄物の中ではがれき類(97%)、動物のふん尿(95%)に次いで再生利用率が高い廃棄物です。
<参考>産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

金属くずの処理・リサイクル方法

金属くずの処理方法には、建築廃材として排出された廃棄物から金属部分を取り除き回収する方法や不純物が多い金属を精錬する方法があります。

金属回収について

金属回収とは、廃棄物の中から再精錬が可能な銅や鉄などの金属、貴金属の金や銀などの取り出すことを言います。
再精錬も、広義の金属回収に含まれるリサイクル手法となります。
例えば、パソコンに使用されているプリント基板には貴金属の金や銀が使われているほか、世界中でも貴重とされているレアメタル※も含まれているため、廃棄されるパソコンからはレアメタルなどの貴重な金属が回収されます。

不純物を含む金属の精錬について

精錬とは、不純物を多く含む金属から、高純度な金属を取り出すことを言います。
アルミニウム、銅、鉄などの金属は、何度でも精錬することができ、何度もリサイクルが可能です。
また、鉱石のボーキサイト※からアルミニウムを精錬する場合、大量の電力が必要となりますが、アルミニウムくずからアルミニウムを再精錬する場合は、ボーキサイトからのアルミニウムの精錬と比べて少ない電力で精錬することができます。

※レアメタルについて

レアメタルとは、非鉄金属の中でも様々な理由により使用量や流通量が少なく希少な金属のことです。
日本では現在、レアメタルのほかに銅や亜鉛などのベースメタルなどの鉱物資源も海外からの輸入に頼っている状態です。近年では鉱物資源の安定供給を目指して「海底熱水鉱床」の開発が注目されていますが、設備投資や採掘コストに対する利益率の改善が課題とされています。

※ボーキサイトについて

ボーキサイトとは、主成分が水酸化アルミニウムで酸化鉄や二酸化珪素などを含んでいる混合物で、実際にはギブス石、ベーム石、ダイアスポアなどから構成される鉱石のことです。

金属くずをリサイクルする際の課題

廃棄物から金属回収する際には排水処理が必要になります。
一般的に金属回収をする際には、王水という濃塩酸と濃硝酸が3対1の体積比で混合してできた液体を使用します。王水は酸化力が強く、通常の酸で溶けない金や白金なども溶解できます。溶解された金属は再び金属状態に戻しリサイクルされます。
ただし、王水は人体にとって有害なため、金属回収で王水を使用する際は排水処理が必要になるという新たな処理課題がでてきます。廃液処理業者に依頼するなど正しい処理が必要となります。
また、製品の中に非常に少量しか使用されない金属の場合、利益に見合った量を集めなくてはならないという課題があります。

まとめ

金属くずは産業廃棄物だけにとどまらず、一般家庭で廃棄されたパソコンや携帯電話などにも少量ながら使用されています。普段から家庭ゴミの分別をしたり、家電回収ボックスに持っていくなど一般家庭でもリサイクルに協力できる身近な存在でもあります。
また、金属くずは、リサイクルしても品質劣化しないものが多いため、リサイクル活用されやすい廃棄物の一種です。今回はリサイクルの方法として「精錬」や「金属回収」の一例を紹介しました。
廃棄物から金属回収する際には王水を利用することもあるため、排水処理ができる専門業者に依頼するなど、正しい知識・処理が必要となります。

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