今回は、安定型産業廃棄物についてまとめます。
安定型産業廃棄物とは?
廃棄物は、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分類され、産業廃棄物は安定型産業廃棄物、管理型産業廃棄物、特別管理産業廃棄物の3種類にわかれます。
安定型産業廃棄物とは、産業廃棄物のうち安定型最終処分場に埋め立て処分が可能なものとされ、安定型産業廃棄物以外の廃棄物や有害物質・有機物などの付着がなく、雨水などにさらされても変化を起こさない廃棄物のことを言います。
参照環境省 建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)
安定型産業廃棄物の種類とは?安定型品目とは?
安定型産業廃棄物の種類には、がれき・ゴムくず・金属くず・廃プラスチック類・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずがあります。この5種類の産業廃棄物のことを、安定型品目または安定5品目と呼びます。
以下で、それぞれの具体的な例をご紹介します。
がれき | 新築・改築・除去工事によって発生したコンクリートの破片やアスファルト破片など |
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ゴムくず | 天然ゴムくずなど (ただし、自動車等破砕物、廃プリント配線板、鉛蓄電池の電極、鉛製の管や板などの廃容器包装のものは除く) |
金属くず | 足場パイプ、鉄骨鉄筋くず、金属加工くず、足場パイプなど (ただし、自動車等破砕物、廃プリント配線板、鉛蓄電池の電極、鉛製の管や板などの廃容器包装のものは除く) |
廃プラスチック類 | 廃ビニール、合成ゴムくず、廃シート類、廃塩化ビニール、廃発泡スチロール等梱包材など (ただし、自動車等破砕物、廃プリント配線板および廃容器包装のものは除く) |
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず | ガラスくず、陶磁器くず、コンクリートくず、耐火レンガくずなど (ただし、自動車等破砕物、廃ブラウン管の側面部、廃石膏ボードなどの廃容器包装のものは除く) |
参照東京都環境局 建設廃棄物とは?
参照環境省 建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)
安定型最終処分場とは
有害物や有機物の付着がなく、安易に科学的変化を起こさない安定型産業廃棄物を埋め立て処分できる場所が安定型最終処分場です。
安定型最終処分場は、廃棄物処理法によって処分場の構造や維持管理の基準が定めだれています。安定型最終処分場では、埋め立て処分を行っても有害物質を発生させたり腐敗するなどの周辺環境へ影響を及ぼさないことを前提としているため、埋め立てスぺースと外部を仕切るための遮水工はありませんが、構造基準として浸透水採取設備の設置が義務付けられています。
また、維持管理基準として安定型産業廃棄物以外の廃棄物の搬入防止を徹底するために搬入物の展開検査や浸透水の水質検査、周縁モニタリングの実施や雨水が流入しない措置が義務付けられています。
安定型産業廃棄物を含む建設混合廃棄物の現状について
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)によって、建設工事の場合は元請業者を排出事業者とすることが明確化されています。排出事業者は処理責任があり、マニフェストの発行や処理業者との委託契約の締結などを行うことになっています。また、改正によって罰則を強化し、適正な処理方法やリサイクル方法も明確に定められています。
しかし、廃棄物の不法投棄は平成10年度のピークと比べると減少したものの、未だに0にはなりません。平成29年度の種類別不法投棄量をみると最も多いのは建設混合廃棄物※という結果になっており、その不法投棄を最も行っているのが排出事業者となっています。
※建設混合廃棄物とは?
建設混合廃棄物とは、安定型産業廃棄物とそれ以外の廃棄物が混ざっている建設廃棄物を言います。
参照東京都環境局 建設廃棄物とは?
参照産業廃棄物の不法投棄等の現状(平成29年度)について
まとめ
安定型産業廃棄物は、有害物質や有機物等の付着がなく安定型最終処分場で埋め立て処分が可能な廃棄物です。廃棄物処理法によって不法投棄の罰則を強化し、廃棄物の処理責任や適正な処理方法について明確化されましたが不法投棄の根絶にはいたらず、不法投棄量で最も多いのは安定型産業廃棄物を含むとされる建設混合廃棄物という結果になっています。
建設現場で大量の廃棄物が発生した場合、現場にふるい機(スクリーン機)や自走式土質改良機を投入することにより短時間で選別や粒度調整したり、建設発生土を改良土へと変換することが可能になります。現場状況や作業内容に応じたさまざまな種類の最新機械を導入することで時間や人員のコスト負担を減らし、不法投棄の削減やリサイクル率を向上させていきたいものです。
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