建設残土とは?
建設残土(けんせつざんど)は、正式には建設発生土(けんせつはっせいど)と呼ばれ、建設工事・解体工事・改修工事などの建設副産物として発生する土のことです。
平成14年、国土交通省における建設リサイクルの推進に向けた基本的な考え方や目標、具体的施策を示した「建設リサイクル推進計画2002」が策定され、その中で建設発生土の有効利用率向上が目標として掲げられました。
平成18年には、国土交通省が「建設汚泥再生利用指針検討委員会」をもとに、「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」、「建設汚泥の再生利用に関する実施要領」、「建設汚泥処理土利用技術基準」、「リサイクル原則化ルール」をまとめました。その中で、建設発生土の適正利用を図るために国土交通省所管事業を対象に建設副産物として発生した土砂や汚泥の特性に適した区分基準や適用用途の標準などを示した発生土利用基準に関する通知が出され、建設発生土のリサイクル活用は積極的に推進されています。
<参考>国土交通省 建設発生土等の有効利用に関する行動計画の策定について
<参考>国土交通省「技術調査関係」 発生土・建設汚泥処理土利用基準
<参考> 国土交通省 建設汚泥再生利用指針検討委員会の報告書がまとまりました
建設発生土のリサイクル方法
建設発生土のリサイクル方法は、ふるい分け、異物除去、粉砕や細粒化を行い、固化材※を加え、盛り土材や埋め戻し材などの改良土※として再利用します。
従来のリサイクル工程では、建設現場から発生した建設発生土は現場で粉砕し、リサイクルを行う施設まで運搬され、ふるい分けされ、油圧ショベルで改良土にするための機材に投入し、改良土となった後は改良土を必要とする建設会社などに販売するという長い工程を経ていました。しかし、近年は建設現場で改良土へのリサイクルを行い、さらに同じ建設現場でその改良土を利用するという画期的なリサイクル工程を実現できる自走式土質改良機が登場しました。
固化材とは?
固化材とは、建設発生土の砂質土や粘性土などの軟弱な土を固化させるもので、石灰やセメント系の固化剤があり、それぞれの土質に合わせた固化材の種類と添加量を加えることでより質の高い改良土の生産が可能となります。
ただし、セメント及びセメント系固化材を使用した改良土から土壌環境基準を超える濃度の六価クロムが溶出する場合があることから、六価クロム溶出試験を実施し、必要に応じて適切な措置を講じるよう国土交通省直轄事業を対象に通知が出されています。
※改良土とは?
改良土とは、建設発生土を盛り土材や埋め戻し材として再利用できる状態にした建設資材のことを言います。
<参考>国土交通省「技術調査関係」 発生土・建設汚泥処理土利用基準
自走式土質改良機とは?
自走式土質改良機は、エンジンによって自ら走り現場の最前線で稼働できる建設発生土を改良土へと変換してくれる機械です。その一例として、コマツのRETERRA(BZ210-3)という自走式土質改良機は、建設現場で出た建設発生土を破砕・ふるい機にかけ、油圧ショベルにより自走式土質改良機の原料土ホッパへ入れていきます。
やわらかさを調整し、盛り土材や埋め戻し材として同じ建設現場で利用することができるほか、改良土としての販売も可能です。リサイクルせずに捨てる場合は処分費用がかかるため、積極的に現地で再利用していくことで処分費用の負担削減になるだけでなく、処分に費やす時間や人員のコスト削減が可能となり、今後は自走式土質改良機の建設現場での活躍が期待されます。
<参考> KOMATSU 九州沖縄カンパニー 自走式土質改良機「リテラ BZ210-3」
まとめ
建設残土または建設発生土と呼ばれる工事現場で発生する建設副産物は、処分するにも費用がかかります。また、処分費用だけでなく、リサイクルした改良土で賄えるはずの建設資材の調達コストや、これらを運搬するトラックが排出するガスによる大気環境への影響を考え、建設発生土のリサイクル活用が推進されています。
大量の建設発生土の運搬コストや運搬トラックによる排出ガスの環境への影響という観点から見ても、現場で稼働可能な自走式土質改良機は今後、活躍の場が広がることでしょう。