動物の死体とは?
産業廃棄物のうちの一種である動物の死体とは畜産農業から発生する牛、馬、豚、めん羊、にわとりなどの死体のことです。
産業廃棄物は事業活動に伴って生じた廃棄物のことですが、20種類ある産業廃棄物のうちの7種類(木くず、紙くず、繊維くず、動物のふん尿、動物の死体、動植物性残さ、動物系固形不要物)は、特定の業種から発生した廃棄物に限られています。このため、動物の死体は、畜産農業を発生源とした廃棄物に限られます。
<参考>公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター) 産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類
動物の死体と注意したいもの
同じ特定業種の畜産農業から生じたものであっても、ふん尿の場合は産業廃棄物の一種である動物のふん尿という扱いになります。
また、畜産農業以外の業種で発生した動物の死体は、一般廃棄物の扱いになります。例えば、犬や猫など家庭で飼育されていたペットの死体は各地域の環境事業所または民間業者のペット火葬などに引き取りを依頼します。自治体で管理登録をしているペットの場合は、死亡届の手続きを行い登録の削除をする必要があります。交通事故によって路上に放置された野生動物の死体は自治体が収集と処分を行います。
動物の死体の廃棄量統計
平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、動物の死体は産業廃棄物の中での
割合が0%になっており、産業廃棄物全体から見ると排出量は少ないことがわかります。平成28年度の動物の死体の排出量は 114千トンで、前年度の平成27年度の動物の死体の排出量 112千トンと比べると、排出量は増加しています。
産業廃棄物の種類別の処理状況(図:産業廃棄物の種類別再生利用率、中間処理による減量化率及び最終処分率)の統計によると、動物の死体の処理の比率は再生利用量42%、減量化量57%、最終処分量1%という結果になっています。
<参考>環境省 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について
動物の死体の処分方法とリサイクル方法
動物の死体の処分方法は、動物系固形不要物と同じく焼却処理を行い焼却灰となった状態で最終処分場へ埋め立てられます。リサイクル方法は、焼却灰をセメント原料や路盤材などへリサイクルする方法があります。
<参考>環境省 廃棄物棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について
死亡牛とBSE問題の関係
平成13年9月に国内初の牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が確認されたことを受けて、同年10月、と畜場における牛の特定部位(舌とほほ肉を除く頭部、脊髄、回腸遠位部)の除去・焼却を法令上義務化するとともに、 全国一斉にBSE検査をスタートさせました。BSE検査は生きている牛だけでなく、BSEを疑う症状や起立不能などの症状のない24か月齢以上の通常の死亡牛も検査対象となりました。
その後、平成14年生まれの牛を最後に国内でBSEに感染した牛は確認されず、世界的に見ても平成4年をピークに低下していることから、平成27年からは通常の死亡牛の検査対象を24か月齢以上から48か月齢以上に変更し、平成31年4月からは通常の死亡牛のBSE検査は96か月齢以上が対象になりました。ただし、BSEを疑う症状を示した死亡牛は全月齢が対象であり、起立不能・歩行困難を示した牛や監視伝染病(牛白血病など)と診断された死亡牛は48か月齢以上が検査対象となります。
<参考>農林水産省 特定家畜伝染病防疫指針について
<参考>環境省 廃棄物棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について
まとめ
産業廃棄物の動物の死体とは畜産農業から発生する牛、馬、豚、めん羊、にわとりなどの死体のことで、畜産農業以外から発生した動物の死体は一般廃棄物の対象となります。BSE問題に関しては、牛の特定部位の除去・焼却を義務づけ、疑わしい症状のない死亡牛であっても検査を行うなどBSE対策をすぐに制度化し、その制度を徹底的に順守してきた関連業者の人たちの努力の結果が、現在の日本国内のBSE根絶に繋がったと言えるでしょう。
動物系固形不要物とBSE問題・動物のふん尿のコラムはこちら
<参照>動物系固形不要物とは?廃棄量統計の現状やBSE問題とリサイクル方法
<参照>動物のふん尿とは?動物のふん尿の種類や廃棄量統計の現状と課題