動植物性残さとは?動植物性残さの種類や廃棄量統計の現状とリサイクル方法
Close up heap of bread crust cut off in wooden bowl and stainless steel knife

動植物性残さ(動植物性残渣)とは?

産業廃棄物のうちの1種である動植物性残さとは、食品製造業・香料製造業・医薬品製造業などの特定業種の事業所から排出された廃棄物であり、元は原料として使用された動物性または植物性の固形状態の不要物のことです。
よって、固形状ではない、液状や泥状のものは廃酸、廃油、廃アルカリ、汚泥などに分類されます。
また、飲食店から排出された調理くずや料理の食べ残しは一般廃棄物の対象となります。
<参考>公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター) 産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類

動植物性残さの具体例

動植物性残さの具体例として、食品製造業・香料製造業・医薬品製造業のいずれかから排出された貝殻、獣または魚のアラ、大豆かす、醤油かす、あめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、薬草かすなどがあります。

動植物性残さの廃棄量統計

平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、動植物性残さの排出量は2,604千トン(全体の0.7%)になっており、前年度の平成27年度の動植物性残さの排出量2,557千トン(0.7%)と比べると、排出量は増加しています。

産業廃棄物の種類別の処理状況(図:産業廃棄物の種類別再生利用率、中間処理による減量化率及び最終処分率)の統計によると、動植物性残さの処理の比率は再生利用量68%、減量化量30%、最終処分量2%という結果になっています。動植物性残さは、腐敗しやすく、悪臭や害虫発生の原因になるため、長時間放置せず乾燥や焼却など安定化処理を行って処分されています。
<参考>産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

動植物性残さのリサイクル方法

動植物性残さは基本的には食品などの原料として不要になったものであり、元は人間が食べることが可能であった不要物が多いという点から、ただ処分するのでなく、廃棄物のそれぞれの成分などをいかした再利用の方法があります。以下で、動植物性残さの主なリサイクル方法を3つご紹介します。

1.肥料化

比較的簡単にリサイクルでき、近隣で農業を行っているなどの肥料を必要とする場所が多くある場合に好まれるリサイクル方法です。
動植物性残さの水分を取り除くなどの処理を行い、肥料に必要とされるリン酸や窒素などの成分が含まれている動植物性残さを利用することで優れた品質の肥料として再利用することができます。

2.動物の飼料化

動物の飼料の原料としてリサイクルされる際には、たんぱく質が多く含まれている動植物性残さを利用することで高品質な飼料として再利用することができます。
肥料化、飼料化どちらの場合も、排出した事業者が同じ場合は、排出した動植物性残さの内容にもあまり変化がないことから、安定した品質の肥料や飼料作りに適しているとされています。

3.メタン発酵

メタン発酵とは、酸素がない場所で生息する細菌である嫌気性菌群の働きにより動植物性残さを分解や発酵をさせて、メタンガスを取り出すという方法です。取り出されたメタンガスは、エネルギーとして利用することができます。実際にメタンガスで発電している施設もあります。
バイオマスエネルギーとして注目を浴びる一方で、メタンガスを取り出す際に発生する残さの処理が必要になることが課題とされています。
<参考>環境省 廃棄物・リサイクル対策

まとめ

今回は、特定業種から排出された動植物性の固形状不要物である「動植物性残さ」についてご紹介しました。
リサイクル方法は、肥料化や飼料化としての再資源化、メタン発酵などがあり、とくにメタン発酵というバイオマスエネルギーとしてのリサイクル方法は、将来的に広く普及されることが期待されます。また、動植物性残さをリサイクルする際に、その廃棄物の水分量や再資源化するために必要とされる成分の含有量などは、その後の品質に大きく関わってきます。
よって、排出された動植物性残さの特徴をいかした高品質な再資源化を目指し、コストパフォーマンスを上げるなどの工夫によって、今後さらに再資源化は進むでしょう。
コストパフォーマンスという課題に対して言えば、例として人件費や作業時間のかかる破砕や選別を行う機械の導入により、さらに品質を高めコストパフォーマンスを上げることが可能な場合もあります。工程の見直しや工夫をすることで、動植物性残さのリサイクルをさらに進めていきたいものです。

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