G20大阪サミットで問題となった海洋プラスチックごみとは?対策と課題について
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今回は「海洋プラスチックごみ」について解説します。

海洋プラスチックとは?

プラスチックは、加工しやすく比較的安く大量生産が可能なために家具や家電、日用品など様々なところで利用されていますが、不適切な処理から海洋へ流出したとされるプラスチックごみが生態系や海洋環境へ影響を及ぼすことや船舶航行への障害、観光や漁業や沿岸域居住環境への影響が懸念されています。

マイクロプラスチックとは?

プラスチックごみの中でも、サイズが5mm以下のマイクロプラスチックは含有や吸着する化学物質が生き物の口に入るなどして食物連鎖に取り込まれることによる生態系への影響が懸念されています。

一次的マイクロプラスチック

微細なマイクロサイズとして作られたプラスチックのことです。

例として、歯磨き粉や洗顔料にスクラブ剤として入っているマイクロビーズなどのことです。これらは排水溝などから自然界に流出していくと考えられていますが、微細なために製品化後の対策や自然環境中への流出後の回収は難しいとされています。

対策として、アメリカ、イギリス、カナダ、フランスでマイクロビーズを含むパーソナルケア製品の製造や販売が規制されています。日本では、平成28年に日本化粧品工業連合会が会員企業1,100社に自主規制の通知を出しました。

二次的マイクロプラスチック

大きいサイズで作られたプラスチックが、自然環境の中で破砕し細かくなることでマイクロサイズになったものです。徹底した廃棄物管理とリサイクルで発生抑制することや破砕や細分化する前に回収することが重要です。

参照プラスチックを取り巻く国内外の状況 平成30年8月 環境省

世界規模で問題視されるプラスチックごみの現実と課題

2016年の世界経済フォーラムの報告書によると、800万トンのプラスチックごみが海に流出がされていると推計され、2050年には魚の重量を超える量のプラスチックが海に流出すると予測されています。

2010年に推計した陸上から海に流出したプラスチックごみの発生量を人口密度や経済状態などから国別に推計したところ、日本は年間2~6万トンの発生量で30位となっており、1位中国、2位インドネシア、3位フィリピン、4位ベトナムの順で上位4か国を東・東南アジアが占めています。

日本での漂着ペットボトルの製造国別調査では、太平洋側では日本製漂着ペットボトルが多く、 東シナ海及び日本海側では中国や韓国の外国製漂着ペットボトルが多い傾向にあり、同じく日本での個数の種類別調査では、他の漂流ゴミは場所により個数に変化がありますが、プラスチック類の個数はどの場所も最も多い結果となりました。

海洋プラスチックごみの課題解決のための国の対策

海洋プラスチックごみの課題解決のため、国は対策を行っています。

海岸漂着物に関する法律「海岸漂着物処理推進法」

平成30年6月「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律」が公布・施行され、法律名が「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(海岸漂着物処理推進法)」に改正されました。

この法律は、海岸漂着物の処理、海岸漂着物の発生抑制、マイクロプラスチック対策やそれらを円滑に行うための財政上措置に関する法律です。

<参考>環境省 水・土壌・地盤・海洋環境の保全 海岸漂着物処理推進法

「第4次循環型社会形成推進基本計画」と「プラスチック資源循環戦略」

平成30年6月に閣議決定された第4次循環型社会形成推進基本計画では、プラスチックなどの資源循環、廃棄物の適正処理システムの整備、海洋ごみ問題や不法投棄などの課題解決する方針を定め、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための「プラスチック資源循環戦略」を策定しました。

参照環境省第四次循環型社会形成 推進基本計画(パンフレット)

大阪ブルー・オーシャン・ビジョン実現のために

2019年に開催されたG20大阪サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロとすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現のため、安倍総理が日本は途上国の廃棄物管理に関する能力構築及びインフラ整備などを支援していく旨を表明し、日本政府は海洋プラスチックごみ対策のために廃棄物管理、海洋ごみの回収、イノベーション及び能力強化に焦点を当てた「マリーン・イニシア ティブ」を立ち上げることになりました。

海外からの注目度の高いプラスチック問題は、ゴミ袋の有料化やレストランでストローの撤去など、日本の一般家庭でも身近な問題になってきました。世界が注目するプラスチック問題は一人ひとりの努力が必要とされるため、普段からごみ削減と正しい処理方法を学び、未来のために良い環境を残せるよう行動していきたいものです。

参照外務省 地球環境 大阪ブルー・オーシャン・ビジョン実現のための 日本の「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」

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