
一般的な家庭ゴミであれば各自治体で指定された収集日に収集場所に出せば処分してもらえますが、産業廃棄物は排出した事業者が責任を持って処理を行う必要があります。
この記事では、産業廃棄物を個人で持ち込むことは可能なのかと持ち込む際の注意点について解説します。
目次
産業廃棄物とは?
産業廃棄物とは、事業活動で発生したゴミの中でも廃棄物処理法によって定められた20種類の廃棄物のことを言います。
20種類の廃棄物は、あらゆる事業活動によって排出されるものと、特定業種の事業活動の際に排出されるものがあります。
具体的な産業廃棄物の種類は以下の通り。
全ての業種に共通しているもの(12種類) | 燃えがら/汚泥/廃油/廃アルカリ/廃プラスチック類/ゴムくず/ガラス・コンクリート・陶磁器くず/絋さい/瓦礫類/ばいじん |
特定の事業活動に伴う廃棄物(7種類) | 紙くず/木くず/繊維くず/動物系固形不用物/動植物性残渣/動物のふん尿/動物の死体 |
その他 | 上記に該当しないもの(コンクリート固型化物など) |
参考 環境都環境局 「産業廃棄物の種類」
特定の事業に伴う廃棄物は、排出する業種によって扱いが変わるものもあり注意が必要です。
産業廃棄物を処理場へ個人で持ち込むことは可能?
個人であっても個人事業主として届出があれば持ち込み可能
産業廃棄物の持ち込みは、個人であっても個人事業主として開業届が出されていれば、個人名で処理場へ直接持ち込むことは可能です。
個人事業主として届出のない一般の人は、産業廃棄物を処理場へ持ち込むことはできません。生活中に何らかの理由で産業廃棄物が発生した場合は、専門業者への委託が必要です。
産業廃棄物の持ち込みをする届出を出す際は、法人の場合は会社名が必要ですが、個人事業の場合のみ個人名で許可がおります。屋号のみでは許可がおりませんのでご注意ください。
個人名で一般廃棄物として持ち込むことは違法
事業で出た少量の廃棄物の扱い方に悩む方もいるかもしれません。産業廃棄物には量に関する規定がないため、事業規模の大小に関わらず、個人事業主の出した廃棄物が極めて少量だった場合でも産業廃棄物として処理をする必要があります。
手間がかかり、一般廃棄物として持ち込む方が簡単だと考えてしまう方もいるかもしれませんが、事業で出た産業廃棄物を個人名の一般廃棄物として持ち込むことは違法です。
違反した場合、産業廃棄物を排出した事業者・運搬や処分を委託された事業者ともに1年以下の懲役、または100万円以下の罰金の刑事処分に処せられます。周囲も巻き込んで罰則を受ける可能性が考えられますので、慎重に行わなければなりません。
産業廃棄物を運ぶ際は専用の車両の用意が必要
排出事業者が自分で産業廃棄物を処理場に運搬する場合には、定められた事項を車両の両側面に明確に表示することが必要です。
排出事業者が自分で運搬する場合に必要な表示は以下2点。
- 産業廃棄物を収集運搬している旨の表示
- 排出事業者名
また、産業廃棄物を持ち込む際はマニフェスト(産業廃棄物管理表)の記載・提出が必要です。
参考:環境省 産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務・「表示義務について」「書類の携帯義務について」
まとめ
産業廃棄物の運搬や処分は、申請も含めて面倒に感じる方も多いかもしれませんが、一般の廃棄物とは異なり取り扱いに注意しなければならないことが数多くあります。
産業廃棄物に関する取り決めは厳しいので、しっかりと手順を踏んで適切に処理を行いましょう。