現地確認(もしくは実地確認)の必要性、現地確認をする際のチェックポイントを解説します。
現地確認とは?
現地確認(もしくは実地確認)は、排出事業者が産業廃棄物の処理委託先を訪問して、適正な処理が行われているのか、状況を確認することを指します。
2011年の廃棄物処理法改正から、現地確認は排出事業者の努力義務となっています。
事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
参照廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十二条7
罰則は規定されていないため、現地確認を怠った場合でもペナルティが科されることはありません。
現地確認の必要性
廃棄物を適正に処理する責任は排出事業者にあります。
廃棄物の不法投棄など不適正処理が行われた場合、排出事業者も行政処分を受けることになります。
現状、法律での義務付けはされていませんが、現地確認をすることで廃棄物の処理状況の確認や不法投棄などの不適切処理を未然に防ぐことができます。
自治体による現地確認の義務
多くの自治体では、現地確認を義務として定める、または努力義務と定める条例が制定されています。
一部自治体の条例を紹介します。
【義務】新潟県
新潟県では、平成17年4月より廃棄物の排出事業者や中間処理業者に処理状況及び現地確認義務を定めています。
自ら実地において調査する方法のほか、電話その他通信手段を用いての調査をしなければなりません。
(処分を委託する場合における確認等)
第8条 事業者又は法第12条第5項に規定する中間処理業者(以下「事業者等」という。)は、県内産業廃棄物(新潟市内の事業場で生じたものを除く。)の処分を委託しようとするときは、規則で定めるところにより、当該処分を受託しようとする者が設置している処理施設のうち当該委託に係るものの稼働状況を確認し、規則で定める事項を記録しなければならない。
参照新潟県産業廃棄物等の適正な処理の促進に関する条例
【努力義務】神奈川県相模原市
神奈川県相模原市では、平成21年12月より現地確認を努力義務と定めています。
第4章 産業廃棄物の不適正処理の防止等
(実地確認)
第29条 事業者(法第12条第5項に規定する中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(同項に規定する中間処理産業廃棄物を含む。)の運搬又は処分を産業廃棄物処理業者(法第14条第1項若しくは第6項又は法第14条の4第1項若しくは第6項の規定による許可を受けている者をいう。以下同じ。)に委託しようとするとき(従前の委託の期間を更新して委託しようとするときを除く。)は、あらかじめ、当該委託に係る運搬又は処分が行われる施設の状況その他適正な運搬又は処分のために必要な事項を実地に確認するよう努めなければならない。
2 事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を1年以上にわたり継続して産業廃棄物処理業者に委託するときは、定期的に当該委託に係る運搬又は処分の実施の状況その他適正な運搬又は処分のために必要な事項を実地に確認するよう努めなければならない。
現地確認時のチェックポイント
現地確認は、委託先ごとに年1~2回、定期的に行うのが適切です。
明確なチェックポイントや法定要件はありません。
そのため、現地確認をする際は事前に確認しておくべきポイントをまとめておきましょう。
【現地確認チェックポイント(例)】
- 契約書・マニフェスト・その他必要な帳簿が適切に保管・管理されているか。
- 搬入予定または、搬入された廃棄物が適正に保管されているか。
- 処理施設の老朽化、騒音・振動・悪臭など発生していないか。
- 社員の身だしなみ、安全管理は適切か。
また、現地確認の結果は確認を行った日付、確認を行った者の氏名を記入して5年間保存しておくと良いです。
まとめ
現地確認・実地確認の必要性、チェックポイントをまとめました。
委託先とのコミュニケーションを常にとり、適正に処理されているかの確認やトラブルを未然に防ぐために現地確認を必ず行うようにしましょう。
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