ボタン電池を廃棄する際の絶縁方法や回収缶について解説します。方法を誤ると、事故に繋がることもありますので、注意しましょう。
目次
ボタン電池とは
ボタン電池(ボタン型電池)とはボタンのような形で、内部構造がアルカリボタン電池、空気亜鉛電池、酸化銀電池、リチウム電池などのことです。
直径が大きく薄いものをコイン型と呼び区別する場合もあります。
ボタン電池による誤飲事故について
ボタン電池は、腕時計や補聴器、子どものおもちゃなど身の回りの多くの製品に使用されていますが、間違った取り扱いによって乳幼児の誤飲事故が起きています。とくにコイン形リチウム電池の誤飲は、短時間で化学反応が起きることで最悪の場合は死に至るおそれがあるため乳幼児の手の届かない場所に保管するなど注意が必要です。
平成27年度東京都商品等安全対策協議会では、乳幼児がパッケージから電池を取り出して誤飲するリスクを減らすため、一般社団法人電池工業会に電池パッケージの改良を要望しました。この要望を受け、電池工業会は誤飲事故防止のためのパッケージのありかたや基準、評価方法など具体的な協議と検証を行った上でコイン形リチウム一次電池誤飲防止パッケージガイドラインを発行し、電池工業会加盟各社で誤飲防止パッケージを順次導入していくことになりました。
使用済みボタン電池による発火事故について
2018年11月28日に大阪府吹田市のホームセンターで使用済み電池による発火事故が発生しました。開店前のためけが人はいなかったものの、鉄筋2階建ての建物がほぼ全焼しました。むき出し状態の電池をまとめて保管すると、それぞれの電池の電極同士が接触して電圧が流れ、過充電状態となります。過充電になった電池は発熱し、破裂や発火の恐れがあります。
この事故により、製品評価技術基盤機構(NITE)は使用済み電池を捨てる際はテープを貼って絶縁するなどの対策が事故を防ぐために有効であるという注意事項を公表しました。
参照廃棄ボタン電池出火か過充電で発熱コーナン火災/産経新聞
参照独立行政法人 製品評価技術基盤機構Vol.331 4月23日号「ボタン電池の破裂・発火事故」
電池の正しい絶縁方法・回収について
使用済み電池の処分方法や処分場所、処分指定日は、一般的に各自治体によって異なるため、それぞれの方法に従います。各自治体のホームページや広報誌などをご確認ください。
アルカリ乾電池・リチウム一次電池・マンガン乾電池
使用済みのアルカリ乾電池・リチウム一次電池・マンガン乾電池は、電池チェッカーで電池の残量がないことを確認し、プラスとマイナスそれぞれの端子部分にセロハンテープやビニールテープなどの絶縁性テープを貼ります。
処分方法は、不燃ごみに捨てる場合や回収箱が設置されるなど、各自治体によって異なるため確認が必要です。コイン形のリチウム一次電池は全面が金属のため絶縁するためには、全体を覆うようにテープを貼ります。処分方法は、それぞれの自治体の指示に従います。
参照一般社団法人電池工業会 乾電池・リチウム一次電池廃棄方法
リチウムイオン電池・ニッケル電池・ニカド電池(小型充電式電池)
使用済みのリチウムイオン電池・ニッケル電池・ニカド電池は、端子部分をビニールテープなどで絶縁します。スーパーや電気店などのリサイクル協力店が回収してくれます。
リチウムイオン電池・ニッケル電池・ニカド電池は、小型充電式電池と呼ばれ、パソコンやカメラ、ラジコンカーなどによく使用され、充電して繰り返し使うことが可能です。ニッケルやカドミウム、コバルトなど希少な資源が使われており、それぞれの電池にリサイクルマークが付けられていることが特徴です。
下記のサイトから家庭で使い終わった小型充電式電池の回収協力店を検索できます。
参照一般社団法人JBRC 「排出場所」検索
ボタン電池
アルカリボタン電池・酸化銀電池・空気亜鉛電池などのボタン電池は、全体を覆うようにビニールテープなどを貼って、電器店や補聴器店などに設置してあるボタン電池回収缶に入れます。回収缶に入れる際は、お店の人に声をかけるなど販売店のルールに従います。ボタン電池回収缶によって回収されたボタン電池は中間処理業者へ送られ、鉄や水銀、亜鉛化合物等としてリサイクルされます。
ボタン回収缶対象外の物も一部あり、対象ブランド以外の物や回収缶の投入口に入らない物、型式記号CRおよびBRなどのコイン形リチウム電池は水銀を含んでいないためボタン電池回収缶の対象外です。
参照一般社団法人電池工業会 ボタン電池のリサイクル
まとめ
今回は家庭でゴミとして排出される電池の絶縁方法やリサイクル回収缶などを紹介しました。
普段何気なく使っている便利な電池ですが、乳幼児の誤飲事故や使用済み電池による発火事故などを起こさないためにも、電池を購入した際から廃棄にいたるまで正しい知識を持って取り扱うことが大切です。
誤飲を防ぐためのパッケージが開発されたり、使用済み電池の中にある資源を再利用するためのリサイクル回収など様々な対策があるからには、消費者もそれらの情報を常にキャッチし、生活に生かしていくことが重要です。