廃棄物処理法において、産業廃棄物の処理に係る特例と定められている「無害化処理認定制度」について解説します。
目次
無害化処理認定制度とは?
無害化処理認定制度とは、石綿含有廃棄物の不適正処理等を防止し、従来の無害化(1,500℃以上で融解)以外の方法による無害化処理の促進を図る制度です。
無害化処理認定制度で認定をうけた事業者は、産業廃棄物または特別管理産業廃棄物処理業の許可を受けずに廃棄物処理を業として行うことができ、かつ、施設設置の許可を受けずに認定に係る廃棄物の処理施設を設置することができます。
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無害化処理認定制度の対象となる廃棄物
無害化処理認定制度の対象となる廃棄物は以下の通りです。
- 廃石綿等
- 石綿含有一般廃棄物(工作物(建築物を含む。以下同じ。)の新築、改築または除去に伴って生じた一般廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの)
- 石綿含有産業廃棄物(工作物の新築、改築または除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの)
- 廃PCB等(低濃度PCB廃棄物に係るものに限る。)
- PCB汚染物(低濃度PCB廃棄物に係るものに限る。)
- PCB処理物(4.廃PCB等および5.PCB汚染物の廃棄物を処分するために処理したものに限る。)
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認定要件
認定を受けるための要件は以下の通りです。
- 当該無害化処理の内容が「石綿含有廃棄物等」の迅速かつ安全な処理の確保に資するものとして、環境省令に適合すること。(処理内容(方法・技術)に関する要件)
- 無害化処理を行い、行おうとする者が環境省令に定める基準に適合すること。(処理実施者に関する要件)
- 設置し、設置しようとする当該無害化処理のように供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。(施設に関する要件)
無害化処理認定制度の実務上の注意点
処理基準の遵守
無害化処理認定制度の認定を受けたものは、廃棄物収集運搬業者および処分業者とみなされます。
(特別管理)一般廃棄物、(特別管理)産業廃棄物それぞれの処理基準に従って処理を行う必要があります。
マニフェストの交付、帳簿の記載・保存義務
通常の廃棄物処理と同様にマニフェスト(産業廃棄物処理管理表)の交付、廃棄物処理に関する帳簿の記録、保存義務が課されます。
無害化処理に関する報告書
毎年度の無害化処理に関して、以下の事項を記載した報告書を毎年6月末までに環境大臣宛てに提出しなければなりません。
- 氏名または名称および住所
- 認定年月日および認定番号
- 当該認定に係る施設において無害化処理を行った廃棄物の種類および量
- その他環境大臣が定める事項
無害化処理認定施設等の処理対象となるPCB廃棄物の拡大に係る関係法令等の改正
令和元年12月にPCBを含有する汚染物(PCB濃度0.5%~10%)の処理体制の構築のため、環境大臣の無害化処理認定施設等の処理対象を拡大する関係法令等の改正を行いました。
参照環境省「無害化処理認定施設等の処理対象となるPCB廃棄物の拡大に係る関係法令等の改正について」
まとめ
無害化処理認定制度について解説しました。
無害化処理の認定を受けるには、人の健康および生活環境に係る被害を生じる廃棄物を対象としているため、環境大臣が個別の認定にあたり、専門家の意見や科学技術的知見を含めた総合的判断など、厳しい審査に合格しなければなりません。
また、令和元年12月には関連する法律施行規則等に改変が入っており、正しい情報の把握が必要です。
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