産廃メディアは"産業廃棄物が正しく処理されるきっかけを作り、少しでも環境負荷を少なくすることで、持続可能な社会の実現に少しでも寄与できれば"という思いで、産業廃棄物に関する情報を発信しています。
今回は、産業廃棄物に関する資格をご紹介します。いくつか種類があるので、種類別に難易度や費用などを解説していきます。
目次
産業廃棄物に関する資格とは?
事業活動に伴って生じる産業廃棄物は、家庭ゴミよりも量が膨大で、処分の仕方を誤ると環境被害を及ぼす可能性もあるため、その処理方法は、「産業廃棄物処理法」によって決められています。
産業廃棄物に関する資格とは、その産業廃棄物処理法に規定のある「産業廃棄物を取り扱う場合は、専用の資格を有していなければならない」というルールについて、「専用の資格」に該当する資格のことを指します。では具体的にどんな資格があるのか、続いて見ていきましょう。
産業廃棄物の国家資格
産業廃棄物の国家資格には2つの種類があります。
1. 特別管理産業廃棄物管理責任者
特別管理産業廃棄物とは、産業廃棄物の中でも、毒性や爆発性、感染性などが特に強く、取り扱いに特別注意が必要な物のことです。排出事業者は、この特別管理産業廃棄物を排出する事業場ごとに、「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置し、その管理を徹底していかなければならないという規定があります。
特別管理産業廃棄物をきちんと処理するには、科学的な知識が必要となるため、以下のような専任要件があります。これらを満たしたうえで、「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」の講習を受け、試験に合格して漸く、資格取得に至ります。また、要件は「感染性産業廃棄物」を扱うか否かにより、若干異なってきます。
条件 |
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費用 | 郵送申込:14,300円 Web申込:13,800円 |
難易度 | ★★★☆☆ |
※「感染性産業廃棄物以外を扱う特別管理産業管理廃棄物管理責任者」の場合は下記特定の学歴を有することが求められます。
- 環境衛生指導員
2年以上 - 大学
理学、薬学、工学、農学 衛生工学、化学工学:2年以上
薬学、工学、農学に相当する課程、衛生工学、化学工学以外:3年以上 - 短大・高専
理学、薬学、工学、農学 衛生工学、化学工学:4年以上
理学、薬学、工学、農学に相当する課程、衛生工学、化学工学以外:5年以上 - 高校、中学
土木科、化学科に相当する学科:6年以上
理学、工学、農学に相当する科目:7年以上
2. 廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物処理施設技術管理者は、廃棄物処理法によって、産業廃棄物処理施設に設置が義務付けられている、施設が正しく稼働するように、機械や人員が適切に稼働するように管理・監督する人物のことです。必要資格などは下記の通りです。
条件 | 一般財団法人日本環境衛生センターが行う、廃棄物処理施設技術管理者講習を修了すること |
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費用 | 基礎・管理過程:121,000円 管理過程:103,400円 |
難易度 | ★★★★★ |
この講習は、「基礎・管理過程」と「管理過程」の2種類があり、基礎的な内容から受講できる「基礎・管理過程」は、20歳以上であれば誰でも受講可能です。
一方、基礎課程の内容を飛ばし、管理過程のみの受講となる「管理過程」では、実務経験がある、あるいは、特定の学部を卒業している、など、一定の条件を満たした人のみが受講可能です。
産業廃棄物の都道府県知事免許
さて、ここまで、産業廃棄物に関する国家資格を見てきましたが、産業廃棄物に関する資格には、都道府県知事が免許を出すものもあります。全部で4種類、順番にご紹介していきます。
1. 産業廃棄物収集運搬業
まず最初にご紹介する「産業廃棄物収集運搬業」は、その名の通り、排出業者からの委託を受けて、産業廃棄物を収集・運搬することを言います。産業廃棄物の収集運搬にあたっては、下記の収集運搬基準を満たしている必要があります。
- 産業廃棄物が飛散、流出しないようにすること
- 悪臭、騒音または振動で生活環境の保全上、支障が生じないように必要な措置を講ずること
- 収集または運搬のための施設には、生活環境の保全上支障を生ずるおそれがないように必要な措置を講ずること
- 運搬車、運搬容器および運搬用パイプラインは、飛散、流出、悪臭の漏れがないものであること
- 運搬車両に、産業廃棄物の収集または運搬の用に供する運搬車である旨その他の事項を見やすいように表示し、かつ、必要な書面を備え付けておくこと
条件 | 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター主催の産業廃棄物収集・運搬課程講習を受講すること。かつ、都道府県に届出を提出すること。 |
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費用 |
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難易度 | ★☆☆☆☆ |
2. 産業廃棄物処分業
続いては、産業廃棄物処分業、産業廃棄物を土の中に埋める、海に投棄するなどの最終処分を担うことをいいます。
産業廃棄物処分においては、産業廃棄物を、環境に負荷をかけないように処分することが前提となっており、廃棄物処理法では、環境への影響の度合いによって最終処分の基準を定めています。例えば、がれき類や廃プラスチック類などの処分は安定型処分場、特定有害産業廃棄物以外の処分は管理型最終処分場、特定有害産業廃棄物の処分は遮断型最終処分場で行います。
条件 | 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格すること。かつ、各都道府県に届け出ること。 |
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費用 |
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難易度 | ★★★☆☆ |
3. 特別管理産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物の中でも、爆発性や毒性、感染性、あるいは、その他、人の健康または生活環境に被害を発生させるリスクがあるなど、取り扱いに特に注意が必要なものを「特別管理産業廃棄物」と呼び、特別管理産業廃棄物運搬業は、この特別管理産業廃棄物を運搬することをいいます。
条件 | 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格すること。かつ、各都道府県に届け出ること。 |
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費用 |
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難易度 | ★★★☆☆ |
4. 特別管理産業廃棄物処理業
最後にご紹介するのは、特別管理産業廃棄物の最終処分を担う、「特別管理産業廃棄物処理業」です。
条件 | 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格すること。かつ、各都道府県に届け出ること。 |
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費用 |
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難易度 | ★★★★☆ |
欠落要件に注意
「産業廃棄物収集運搬業」「産業廃棄物処分業」「特別管理産業廃棄物収集運搬業」「特別管理産業廃棄物処理業」講習の受講と届出は、下記の欠落要件に該当しないことが大前提となります。
廃棄物処理法第7条欠落要件 |
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廃棄物処理法第14条欠落要件 |
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よくある質問
最後に、皆さまからお寄せいただく、よくある質問について、お答えします。
最初に取るべき資格は?
産業廃棄物に関する資格はいくつかあるので、「最初に取るべき資格は?」と疑問に思われる方もいらっしゃるようです。
しかし、どれを先に取るべきか、ということについては、様々意見があるため、ご自身が一番携わりたいと思う資格から受講するもよし、まずは取りやすいものから取得するもよし、そこはご自身で判断なさるとよいでしょう。
ただし、資格条件を満たすために受ける試験は個々別々でも、それぞれの内容は相互に連関していたり、内容が被っていたりする部分もあるため、複数まとめて取得するにあたっての負担は、思いのほか小さいかもしれません。
まとめ
以上、産業廃棄物に関する資格についてご紹介しました。一見すると、資格取得が比較的難しく、お金もかかってしまうので、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、産業廃棄物は、きちんとした方法で処分しなければ、人体や環境に多大な悪影響を及ぼしかねません。
産業廃棄物に関する資格が設けられているのは、我々の安全な暮らしを守るためのもの、というわけです。産廃メディアでは、産業廃棄物が、可能な限り環境負荷の小さい形で、適切に処分されることを願って、情報発信を続けていきます。