「土壌汚染対策法」、「汚染土壌処理業」について解説します。
「土壌汚染対策法」
「土壌汚染対策法」は、「土壌汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護する」ために、平成14年に成立、平成15年より施行されています。
土壌汚染対策法と廃棄物処理法
「土壌汚染対策法」はすでに発生した土壌汚染に対して、状況の把握や汚染の除去等の措置命令、汚染の除去等の措置に要した費用の請求など、事後的な対策を定めたものです。
新たな土壌汚染の発生を未然に防ぐための対策としては、「廃棄物処理法」や「水質汚濁防止法」等ですでに必要な規制が定められています。
調査
土壌汚染の状況を把握するための調査対象は以下の4つです。
- 有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき(土壌汚染対策法第3条)
- 一定規模以上の土地の形質の変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(土壌汚染対策法第4条)
- 土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(土壌汚染対策法第5条)
- 自主調査において土壌汚染が判明した場合に土地の所有者等が都道府県知事等に区域の指定を申請できる(土壌汚染対策法第14条)
汚染が見つかった場合、都道府県等は汚染された区域を指定し、土地の所有者は健康被害が生じないよう適正に管理しなければなりません。
汚染土壌処理業
平成21年に改正された「土壌汚染対策法」で、汚染土壌の適正処理の確保の観点から、汚染土壌の処理を業として行う者は許可が必要となりました。
汚染土壌の処理の事業に供する施設(汚染土壌処理施設)ごとに、当該汚染土壌処理施設の所在地を所管する都道府県知事の許可を受けなければなりません。
汚染土壌の処理(当該要措置区域等内における処理を除く。)を業として行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、汚染土壌の処理の事業の用に供する施設(以下「汚染土壌処理施設」という。)ごとに、当該汚染土壌処理施設の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
引用土壌汚染対策法 第22条
汚染土壌処理業を行おうとする者が許可申請や内容の変更を行う場合、多くの自治体では事前に担当部署へ相談するよう求めています。
汚染土壌処理施設
汚染土壌処理施設の種類は、「汚染土壌処理業に関する省令」第1条に定められた以下の5施設です。
- 浄化等処理施設
- セメント製造施設
- 埋立処理施設
- 分別等処理施設
- 自然由来等土壌利用施設
汚染土壌処理許可申請書
汚染土壌処理業の許可を受けようとする者は、土壌汚染対策法第22条第2項及び汚染土壌処理業に関する省令第3条に示された事項を記載した許可申請書を都道府県知事に提出しなければなりません。
許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 汚染土壌処理施設の設置の場所
三 汚染土壌処理施設の種類、構造及び処理能力
四 汚染土壌処理施設において処理する汚染土壌の特定有害物質による汚染状態
五 その他環境省令で定める事項
引用土壌汚染対策法第22条2
法第二十二条第二項第五号の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 汚染土壌処理施設に係る事業場の名称及び申請者の事務所の所在地
二 他に法第二十二条第一項の許可を受けている場合にあっては、当該許可をした都道府県知事及び当該許可に係る許可番号(同項の許可を申請している場合にあっては、申請先の都道府県知事及び申請年月日)
三 汚染土壌の処理の方法
四 セメント製造施設にあっては、製造されるセメントの品質管理の方法
五 自然由来等土壌利用施設のうち自然由来等土壌構造物利用施設にあっては、土木構造物の種類
六 汚染土壌の保管設備を設ける場合には、当該保管設備の場所及び容量
七 申請者が法第二十二条第三項第二号ニに規定する未成年者である場合には、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合には、その名称及び住所、その代表者の氏名並びにその役員の氏名及び住所。第十四条第一項第八号及び第十六条第一項第十号において同じ。)
八 申請者が法人である場合には、法第二十二条第三項第二号ホに規定する役員の氏名及び住所
九 申請者に令第六条に規定する使用人がある場合には、その者の氏名及び住所
十 再処理汚染土壌処理施設に係る次に掲げる事項
イ 再処理汚染土壌処理施設に係る事業場の名称及び所在地
ロ 再処理汚染土壌処理施設についての法第二十二条第一項の許可をした都道府県知事及び当該許可に係る許可番号
ハ 再処理汚染土壌処理施設の種類及び処理能力
引用汚染土壌処理業に関する省令第3条
許可申請書の様式は汚染土壌処理業に関する省令の様式1に定められています。
許可申請に係る手数料
汚染土壌処理業の許可申請時には、土壌汚染対策法関係手数料条例に基づき、所定の手数料を支払う必要があります。
【手数料(東京都の場合)】
事務 | 手数料 |
新規許可申請 | 240,000円 |
許可更新申請 | 220,000円 |
変更許可申請 | 220,000円 |
譲渡及び譲受の承認申請 | 120,000円 |
合併または分割の承認申請 | 120,000円 |
相続の承認申請 | 120,000円 |
まとめ
土壌汚染対策法は、すでに発生した土壌汚染に対する事後的な対策を定めた法です。
汚染土壌処理業の許可を受けずに汚染土壌の処理を業として行った場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。
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