2020年4月に改正施行された「フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」。
今月、警視庁が改正フロン排出抑制法違反で全国初の検挙をしました。
今回は検挙内容のほか、全国で行われているパトロールでの指導事例を解説します。
改正フロン排出抑制法についてはこちら
改正フロン排出抑制法違反で全国初の検挙
改正フロン排出抑制法により、フロン類の不適正処理への取り締まりが強化されました。
2021年11月には、警視庁がフロン排出抑制法違反で機器管理者(所有者)と建物解体業者を検挙・書類送検をしました。
参照東京都「改正フロン排出抑制法違反で警視庁が全国初の検挙」
事案①
事案の概要 | 被疑者 A(自動車販売会社 社員) は、被疑法人甲(自動車販売会社)の業務に関して、令和3年2月6日頃から同年3月8日頃までの間、第一種特定製品であるエアコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類の第一種フロン類に関して、充填回収業者への引き渡しを他の者に委託する際に、法令で定める事項を記載した委託確認書を交付しなかったもの。 |
罰条等 |
|
管理者がフロン類を廃棄する場合は、充填回収業者に委託が必要です。
その際、委託するだけでなく、適正処理が行われるように確認する責任が管理者にはあります。
委託確認書を交付するとともに、フロンの引取証明書を受け取り3年間保管しなければなりません。
本件は、委託確認書の交付がなかったため違反となりました。
事案②
事案の概要 | 被疑者 B・C(解体業者役員・社員) は、被疑法人乙(解体業者)の業務に関して、令和3年3月5日頃から同月8日頃までの間、東京都八王子市大和田町2丁目16番24号に所在する営業所の解体工事に関して、第一種特定製品であるエアコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類の第一種フロン類を、大気中にみだりに放出したもの。 |
罰条等 |
|
建物解体時には、業務⽤のエアコンや冷凍冷蔵機器など第一種特定製品の有無を事前確認し、その結果を発注者に説明し、写しを3年間保管する必要があります。
フロン類が回収済みであるか確認できない場合の引き取りは禁止、フロン類が未回収のまま機器を廃棄することは処罰の対象となります。
本件は、フロン類をみだりに放出したため違反となりました。
全国一斉パトロールの指導事例
各都道府県では建設リサイクル法に基づく分別解体及び再資源化等の適正な実施の確保を目的に年2回、全国一斉パトロールを実施しています。
この機会にあわせて、業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)が設置されている建築物その他工作物の解体現場におけるフロン排出抑制法の遵守状況の確認を行っています。
指導件数
現地調査数 | うちフロン排出抑制法に基づく指導等が行われた件数 | |
令和3年(2021年) | 1462件 | 142件 |
令和2年(2020年) | 1836件 | 53件 |
平成31年・令和元年(2019年) | 3781件 | 79件 |
平成30年(2018年) | 3762件 | 41件 |
平成29年(2017年) | 3597件 | 36件 |
※令和2年・3年は新型コロナウィルスの影響のため、パトロールは年1回のみ。
参照環境省「建設リサイクル法に係る全国一斉パトロールに伴うフロン排出抑制法の遵守状況等の確認結果」
指導事例
- 特定解体工事元請業者から発注者への第一種特定製品の設置の有無に関する事前の書面交付・説明がない(フロン排出抑制法第 42 条関係)
- 第一種特定製品廃棄等実施者が引渡義務を遵守していない(同第 41 条関係)
- 第一種特定製品廃棄等実施者が回収依頼書若しくは委託確認書を交付していない又は引取証明書を保存していない(同第 45 条関係) 等
まとめ
フロンによる温室効果は気候変動に大きな影響を及ぼすといわれています。
「フロン排出抑制法ポータルサイト」、「改正フロン排出抑制法パンフレット」など活用し、フロン類の回収について、正しく理解しましょう。
関連するコラムはこちら