産業廃棄物に関する行政指導や行政処分について解説します。
行政指導
環境省は「行政処分の指針について」において、行政指導について以下のように通知しています。
行政指導は、迅速かつ柔軟な対応が可能という意味で効果的であるが、相手方の任意の協力を前提とするものであり、相手方がこれに従わないことをもって法的効果を生ずることはなく、行政処分の要件ではないものである。
参照環境省「行政処分の指針について(通知)」
法的拘束力は持たないものの、違反行為が継続され、生活環境の保全上の支障の拡大を招く場合などは行政処分を行うといった対処がされます。
さらに違反行為が犯罪行為に該当する場合は、捜査機関と連携を図るよう、環境省より通知されました。
行政処分
産業廃棄物に関する行政処分には以下の種類があります。
- 改善命令
- 措置命令
- 事業の停止・許可の取り消し
改善命令
改善命令は廃棄物処理法第19条の3に規定されています。
産業廃棄物・特別管理産業廃棄物処理基準や産業廃棄物・特別管理産業廃棄物保管基準に適合しない産業廃棄物の処理(保管・収集・運搬・処分)を都道府県知事等が把握したときに改善命令が出されます。
出された命令の期限までに処理方法の変更など必要な措置が着手されない場合、改善命令違反となり、告発等厳正な対処が行われます。
措置命令
措置命令は廃棄物処理法第19条の5に規定されています。
産業廃棄物・特別管理産業廃棄物処理基準や産業廃棄物・特別管理産業廃棄物保管基準に適合しない産業廃棄物の処理(保管・収集・運搬・処分)が行われ、生活環境の保全上の支障が生じ、または生ずるおそれがあるときに、その支障の除去または発生防止のため、措置命令が出されます。
事業の停止・許可の取り消し
産業廃棄物の適正な処理が行われないおそれがあると判断した場合、都道府県知事等により直ちに事業の停止が命じられます。
さらに産業廃棄物法で許可を取り消す要件に該当すると至った場合、都道府県知事等は速やかに許可を取り消すことができます。
【許可を取り消す要件】
- 欠格要件に該当するに至った場合
- 違反行為をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆(そそのか)し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたときに該当し、情状が特に重い場合
- 事業の停止命令に違反した場合
- 不正の手段により産業廃棄物収集運搬業、処分業の許可(更新許可及び変更許可を含む)を受けた場合
刑事告発
行政処分の手続きを開始するような悪質な違反行為があった場合は、刑事告発が検討されます。
改善命令に従わなかった場合、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科」が科されます。
措置命令に従わなかった場合は「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または併科」が科されます。
まとめ
廃棄物処理法の改正により、罰則が強化されています。
意図的に法令違反をする場合はもちろんのこと、無意識のうちに違反行為を行っている場合も対象です。
廃棄物処理基準・保管基準に適合しているかの確認を都度行う必要があります。
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