
令和元年10月1日に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)について解説します。
「食品ロスの削減の推進に関する法律」とは
「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)は、国・地方公共団体、事業者、消費者等の多用な主体が連携して、国民運動として食品ロス削減に取り組むため制定されました。
食品ロス削減の定義、責務、施策における食品ロス削減の推進、基本方針や施策などが盛り込まれています。
食品ロス削減の定義
食品ロス削減推進法第2条で「食品ロスの削減とは、まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会取組をいう。」と定義されています。
責務・役割
食品ロス削減推進法では、国・地方公共団体・事業者の責務、消費者の役割について以下のように定めています。
また食品ロスの総合的かつ効果的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない旨も定められています(第7条)。
国 | 食品ロスの削減に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する (第3条) |
地方公共団体 | 食品ロスの削減に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する (第4条) |
事業者 | 事業活動に関し、国または地方公共団体が実施する食品ロスの削減に関する施策に協力するよう努めるとともに、食品ロスの削減について積極的に取り組むよう努めるものとする (第5条) |
消費者 | 食品ロスの削減の重要性についての理解と関心を深めるとともに、食品の購入または調理の方法を改善すること等により食品ロスの削減について自主的に取り組むよう努めるものとする (第6条) |
基本施策
- 消費者、事業者等に対する教育・学習の振興、知識の普及・啓発等
※必要量に応じた食品の販売・購入、販売・購入をした食品を無駄にしないための取組等、消費者と事業者との連携協力による食品ロスの削減の重要性について理解を深めるための啓発を含む。 - 食品関連事業者等の取組に対する支援
- 食品ロスの削減に関し顕著な功績がある者に対する表彰
- 食品ロスの実態調査、食品ロスの効果的な削減方法に関する調査研究
- 食品ロスの削減についての先進的な取組等の情報の収集・提供
- フードバンク活動の支援、フードバンク活動のための食品の提供等に伴って生ずる責任のあり方に関する調査・検討
10月は食品ロス削減月間
第9条において、毎年10月を食品ロス削減月間、10月30日を食品ロス削減の日とする旨定めています。
農林水産省・消費者庁・環境省共同で「食品ロス削減月間の啓発ポスター」を作成する他、各省庁で食品ロスの削減に向けた取組を集中的に啓発しています。
- 【農林水産省】全国一斉商慣習見直しの日(10月30日)に向けて、商慣習見直しに取り組む食品製造・小売事業者を募集・公表
- 【農林水産省】食品ロス削減のための消費者啓発に取り組む小売・外食事業者、地方自治体の募集
- 【消費者庁】食品ロス削減推進アンバサダーの発表
- 【消費者庁】食品ロス削減推進大賞受賞者の表彰
- 【消費者庁】「めざせ!食品ロス・ゼロ」川柳コンテスト
- 【環境省】食品ロス削減環境大臣賞の表彰
- 【環境省】食品ロス削減に関する情報発信
参照農林水産省 10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」
まとめ
日本ではまだ食べられるのに廃棄されてしまう食品が年間600万トンと推計されています。
これは国民一人当たりお茶碗1杯分の量(約130g)が毎日捨てられている計算です。
10月の「食品ロス削減月間」を通じて、国・地方公共団体・事業者と協力し消費者ひとりひとりの意識を高め、食品ロスを減らしていく必要があります。
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