廃油とは?種類やリサイクル方法、廃棄量統計の現状と課題について解説

コラム

今回は「廃油」の種類、リサイクル方法などについて解説します。

廃油とは

産業廃棄物のうちの1種類である「廃油」とは、潤滑油、絶縁油、洗浄用油、切削油、廃溶剤、タールピッチなど、すべての産業から排出される使用済みの油です。さらに、引火点70℃未満の燃焼しやすい廃油は「特別管理産業廃棄物」に該当します。

特別管理産業廃棄物の廃油

環境省の特別管理産業廃棄物の種類にも記載がある通り、揮発油類、灯油類、軽油類(引火点70℃未満の燃焼しやすいもの)が該当します。また、PCBを含む廃油や特定の有機塩素化合物を含む廃油は特定有害産業廃棄物に該当する特別管理産業廃棄物です。

参照 環境省 特別管理廃棄物規制の概要

廃油の廃棄量統計

平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、廃油の排出量は3,049千トン(全体の0.8%)になっており、前年度の平成27年度の廃油の排出量2,953千トン(0.8%)と比べると、排出量が増加していることがわかります。

また、種類別の処理状況の統計によると、廃油の処理の比率は再生利用量38%、減量化量60%、最終処分量計2%という結果になっており、再利用はあまり進んでおりません。

参照産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

廃油のリサイクル方法

廃油の再利用方法としては、燃料として再利用する方法と、他の原料へ再生させる方法の大きく2種類があります。

燃料として再利用する

廃油再生処理工場で、油水分離、遠心分離などの工程を経て水分やスラッジを除去します。エンジンオイル系の廃油をはじめとするリサイクルに適したものの殆どが再生重油として製品化されています。なお、リサイクルに不適な塩素系金属加工油や水系の廃油は、油水分離のうえ、焼却処理されます。(リサイクル工程での残渣物は焼却処理、残渣灰は最終処分されます)

他の原料への再生

廃食用油をバイオディーゼル油(重油の代替燃料)石鹸の原料として再生する方法があります。バイオディーゼル油として再生するには、廃食用油にメタノールと触媒を加えてグリセリンを除去し、精製します。

石鹸の原料として再生するには、廃食用油を加熱しながら苛性ソーダと反応させて加水分解を起こします。加水分解の結果、グリセリンが遊離するとともに脂肪酸のナトリウム塩が生成され、これが石鹸の原料となります。

廃油リサイクルの課題

廃油排出時の分別の不徹底(リサイクルの知識不足)、回収段階における経済性の問題(少量回収)、処理段階における分析機器の未整備、再生技術のコスト問題等、各段階において様々な問題が考えられます。

まとめ

廃油は「廃棄物処理法」で定められた産業廃棄物のため、事業者は法に定める産業廃棄物としての取り扱いをしなければいけません。特に特別管理産業廃棄物は、運搬や処分の許可の廃棄物処理法の根拠条文も別になっているので、処分に迷われたら処理業者等や管轄の自治体に相談しましょう。

また、廃油のリサイクルには課題も多いため、今後リサイクルを積極的に進めるためには、事業者・行政等、関係者主体の連携と様々な取り組みが必要です。

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