「地球温暖化対策推進法」とは?2021年改正内容を解説!

「2050年カーボンニュートラル宣言」を受けて2021年に改正された「地球温暖化対策推進法」について解説します。

「地球温暖化対策推進法」とは

地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)は、1997年京都議定書の採択を受けて、1998年に成立しました。

温室効果ガスの排出量を削減するため、国・地方自治体・事業者(企業)・国民の責任と取り組みを定めています。

2021年改正内容

「地球温暖化対策推進法」は2021年に7度目の改正をしました。
今回の改正法のポイントは大きく3つです。

参照環境省「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」

①パリ協定・2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設

昨年、日本はパリ協定に定める目標などを踏まえ「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。

※パリ協定に定める目標=世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分下回るよう低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。

2050年脱炭素社会の実現に向けて、環境・経済・社会の統合的向上、国民を始めとした関係者の密接な連携等を地球温暖化対策を推進する上での基本理念として新設しました。

「国民」と明記することにより、個人単位でカーボンニュートラルの実現に向けて協力が必要となります。

(基本理念)
第二条の二
地球温暖化対策の推進は、パリ協定第二条1(a)において世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること及び世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を継続することとされていることを踏まえ、環境の保全と経済及び社会の発展を統合的に推進しつつ、我が国における二千五十年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。)の実現を旨として、国民並びに国、地方公共団体、事業者及び民間の団体等の密接な連携の下に行われなければならない。

 

②地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設

地方公共団体は地球温暖化対策推進法に基づき、温室効果ガスの排出抑制等を推進するための「地方公共団体実行計画」を策定するものとされています。
今回の改正で、「地方公共団体実行計画」に

  • 再エネ利用促進等の施策施策の実施目標を追加する
  • 市町村は、地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業(地域脱炭素化促進事業)に係る促進区域や環境配慮、地域貢献に関する方針等を定める

ことが求められます。

また、地域脱炭素化促進事業を行なおうとする者は、地方公共団体実行計画に適合していることなど、市町村の認定を受けられることとします。
認定を受けた事業者が、認定事業計画に従って行う地域脱炭素化促進施設の整備に関して、関係法令(自然公園法・温泉法・廃棄物処理法・農地法・森林法・河川法)の関係手続のワンストップ化などを受けることができます。

③脱炭素経営の推進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進等

企業の温室効果ガス排出量に係る算定・報告・公表制度について、

  • 電子システムによる事業所管大臣への報告を原則化
  • 事業所ごとの排出量情報等に係る開示請求制度の廃止
  • 環境大臣及び経済産業大臣により各企業の温室ガス算定排出量の情報について、事業所ごとの排出量情報等を含め、遅滞なく公表

へ変更となります。

これまで報告から公表まで2年ほど時間を要していましたが、電子システムによる報告により1年未満に短縮させる目標です。
これにより、企業の脱炭素化に向けた取り組み状況を見える化し、企業の脱炭素経営を推進する仕組みです。

また、地域地球温暖化防止活動推進センターの事務として、温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置に係る事業者向けの啓発・広報活動を追加します。

まとめ

これまでは京都議定書の温室効果ガス6%削減に向けた指針が定められていた「地球温暖化対策推進法」は、「2050年カーボンニュートラル宣言」を受けて、7回目の改正となりました。
基本理念や目標を明記することで、国・自治体単位ではなく、事業者・個人ごとによりいっそう温暖化対策に取り組まなければなりません。

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