PRTR制度とは?事業者の届出方法を解説!

コラム

今回は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づくPRTR制度について解説します。

PRTR制度とは

PRTR制度は、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、どのような発生源からどれくらい環境中に排出されたのか、もしくは廃棄物に含まれて事業所外へ移動したのかをデータで把握・集計・公表する仕組みをいいます。

事業者自ら把握し、行政機関に年1回届け出ます。
行政機関は届け出データ、家庭や農地・自動車などから排出される量の推計を基に排出量や移動量を集計・公表します。

PRTR制度の対象化学物質

PRTR制度の対象となる化学物質は「第一種指定化学物質」と定義され、現在計462物質が指定されています。
人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する(暴露可能性がある)が認められる物質です。

そのうち、発がん性、生殖細胞変異原性及び生殖発生毒性が認められる15物質は「特定第一種指定化学物質」として指定されています。

参照経済産業省「第一種指定化学物質リスト」

PRTR制度の対象事業者

PRTR制度の対象化学物質を製造したり、使用したり、環境中へ排出している事業者のうち、以下の3つの条件をすべて満たす事業者に届出の義務があります。

  1. 対象業種として、政令で指定している24業種に属する事業を営んでいる事業者
  2. 本社及び全国の支社、出張所等を含め、全事業所を合算した従業員数が21人以上の事業者
  3. 第一種指定化学物質のいずれかの年間取扱量が1トン以上(特定第一種指定化学物質は0.5トン以上)である事業所をもつ事業者、または特別要件施設を設置している事業者

PRTR制度における排出量等の算出方法

PRTR制度では実測以外の方法でも排出量等を把握することができます。

  • 物質収支を用いる方法
  • 実測値を用いる方法
  • 排出係数を用いる方法
  • 蒸気圧、溶解度等の物性値を用いる方法

その他、的確に排出量を算出できると認められる方法でも把握を行うことが可能です。

参照経済産業省「PRTR排出量等算出マニュアル」

PRTR届出方法

届出には以下3種類の方法があります。

  • 電子(オンライン)による届出
  • 磁気ディスク(CD-R等)による届出
  • 書面による届出

対象事業者は排出量・移動量の届出を翌年度の4月1日から6月30日までに提出(郵送の場合は必着)しなければなりません。

電子(オンライン)による届出

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページにある「PRTR届出システム」を使用して、オンラインで届出を行うことが可能です。

ただし、オンラインによる届出が初めての場合、ユーザID・初期パスワード発行のため、あらかじめ自治体へ書面(電子情報処理組織使用届出書)の提出が必要です。

届出書の自治体窓口への持参や郵送の必要がないこと、24時間システムを利用できること、届出書の作成が簡単にできること、セキュリティ面がしっかりしていることなどから、オンラインでの提出を推奨している自治体が増えています。

磁気ディスク(CD-R等)による届出

磁気ディスク(CD-R等)による届出は、「PRTR届出作成支援システム」にて届出ファイルを作成、磁気ディスクに保存し、「磁気ディスク提出票」を添付して、都道府県等への窓口へ持参・郵送する方法です。

書面による届出

「PRTR届出作成支援システム」や「PRTR排出量等算出システム」にて届出書を作成し、都道府県等への窓口へ持参・郵送する方法です。

まとめ

PRTR制度の対象事業者は要件を満たしている事業者のみであること、事業者が届出した排出量にはさまざまな算出方法があることなどから、制度には一定の限界があるようです。
そのため、PRTR制度により公表されるデータは制度に基づく数値であることに留意しておく必要があります。

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