「廃石綿等」「石綿含有産業廃棄物」「石綿含有一般廃棄物」の違いは?処理方法を解説

「廃石綿等」、「石綿含有産業廃棄物」、「石綿含有一般廃棄物」について解説します。

石綿(アスベスト)を含む廃棄物とは

石綿(アスベスト)を含む廃棄物は、飛散性の違いにより「廃石綿等」「石綿含有産業廃棄物」「石綿含有一般廃棄物」に分けられています。

廃石綿等

廃石綿等とは、廃石綿及び石綿が含まれ、若しくは付着している産業廃棄物のうち、飛散するおそれがあるものとして次に掲げる事業等により発生したものをいいます。

  • 石綿建材除去事業(建築物その他の工作物に用いられる材料であって石綿を吹き付けられ、又は含むものの除去を行う事業をいう。)により生じたもの
  • 大気汚染防止法に規定する特定粉じん発生施設が設置されている事業場において生じた石綿であって集じん施設で集められたもの及び当該事業場において用いられ、廃棄された防じんマスク、集じんフィルターその他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの
  • 輸入されたもの(事業活動に伴って生じたものに限る)

具体的には、吹付け石綿、石綿保温材、けいそう土保温材、パーライト保温材などがあります。

参照環境省「廃棄物処理法における廃石綿等の基準等について」

石綿含有産業廃棄物

石綿含有産業廃棄物とは、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた廃石綿等以外の産業廃棄物であって、石綿をその重量の 0.1%を超えて含有するもの」をいいます。
石綿を含んでいるものの、セメントなどで固定されていて通常の状態では飛散することがないものを指しています。
石綿スレート等の外装材、床タイルなどが該当します。

石綿含有一般廃棄物

石綿含有一般廃棄物とは、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた一般廃棄物であって、石綿をその重量の 0.1%を超えて含有するもの 」をいいます。
日曜大工によって排出された石綿スレート等の外装材が該当します。

石綿を含む廃棄物の処理方法

石綿を含む廃棄物は処理にあたり「飛散防止措置をとること」「他の廃棄物と区分して収集・運搬・積替え・保管を行うこと」が必要です。
そしてそれぞれの処理基準に従って行うことが求められます。

参照環境省環境再生・資源循環局「石綿含有廃棄物等処理マニュアル (第3版)」

廃石綿等の処理方法

飛散性のある廃石綿等は、特別管理産業廃棄物に指定されています。
廃石綿等の処理方法は3パターンあります。

  • 固形化または薬剤による安定化をしたのち耐水性の材料で二重梱包して、管理型最終処分場に埋め立て
  • 石綿含有産業廃棄物の融解施設において1,500度以上で融解
  • 国が認定している無害化処理施設で無害化処理

融解は石綿(アスベスト)を完全に無害化できますが施設数が少なく、埋め立て処分が主流になっています。

石綿含有産業廃棄物

飛散性のない石綿含有産業廃棄物は、産業廃棄物の処理基準に沿って処分をしなければなりません。
石綿含有産業廃棄物の処理方法は3パターンあります。

  • 安定型または管理型最終処分場に埋め立て
  • 石綿含有産業廃棄物の融解施設において1,500度以上で融解
  • 国が認定している無害化処理施設で無害化処理

石綿含有産業廃棄物は中間処理として破砕することは禁止されています。

石綿含有一般廃棄物

石綿含有一般廃棄物は一般廃棄物の処理基準に沿って処分しなければなりません。
石綿含有一般廃棄物の処理方法は3パターンです。

  • 安定型または管理型最終処分場に埋め立て
  • 石綿含有産業廃棄物の融解施設において1,500度以上で融解
  • 国が認定している無害化処理施設で無害化処理

まとめ

石綿(アスベスト)は、飛散性の有無により、処理方法が異なります。
2020年末に判明した、バスマットやコースターなどのアスベストを含む家庭用品は、基本的にメーカーなどが回収することになっています。
メーカなどから産業廃棄物として排出された場合は「石綿含有産業廃棄物」に準じた処理を行う必要があります。
また、家庭から一般廃棄物として排出された場合、収集・運搬・処分の際に破砕することがないように十分な注意が必要です。
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