バイオマスは近年、二酸化炭素を新たに発生させないエネルギーとして注目を集めています。
今回は木質廃材を利用した木質バイオマスについて解説します。
木質バイオマスとは
バイオマスとはBio(生物資源)+mass(量)を表す言葉で、木質バイオマスは「木材からなる再生可能な有機性資源」のことをいいます。
木質バイオマスを使った発電方法は火力発電や原子力発電に代わる発電方法として注目を集めている再生可能エネルギーのひとつです。
主に樹木の伐採や造材のときに発生した枝・葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮・のこ屑、住宅の解体材や街路樹の剪定枝など木質廃材をチップやペレットに加工して燃料として利用します。
木質バイオマスのメリット
木質バイオマスは環境面に大きなメリットをもたらしています。
環境にやさしい
木質バイオマスの最大のメリットは、燃やしても二酸化炭素の増減には影響しないという「カーボンニュートラル」の考えに基づき、環境にやさしいことです。
燃料として利用される木材は成長の過程で二酸化炭素を吸収しています。
燃やすときにその二酸化炭素が排出されるので、二酸化炭素の量はプラスマイナスゼロになります。
資源の活用
木質バイオマスは、廃材や未利用間伐採などを利用します。
本来であれば廃棄されるものをエネルギーとして有効活用することで、廃棄物を減らし、循環型社会の形成につながります。
未利用の間伐材を利用する場合、地域の活性化に貢献できる可能性もあります。
森林の適切な整備
国土の保全や水源のかん養などの機能を持っている森林は、間伐などで適切な整備が不可欠です。
推定年間2000万㎥発生している未利用間伐材が燃料として活用できれば、森林整備の推進につながります。
液体燃料として活用もできる
発電以外にも、木質バイオマスを発酵させてバイオエタノールを抽出することもできます。
石油などの化石燃料と違い、有害な物質を排出することなく、カーボンニュートラルな燃料として利用できます。
木質バイオマスのデメリット
木質バイオマスの最大の問題点は「コストがかかる」ことです。
木質バイオマス発電へ変更する際に必要になるボイラーの導入コスト、廃材や未利用の間伐材を調達するコストなどあらゆる点で高い費用がかかってしまいます。
また、木質バイオマスにより生産された電力は、国の制度(FIT・固定価格買取制度)により、電力会社に指定された価格で買い取ってもらえます。
木質バイオマスは比較的高い価格で買い取ってもらえる点ではメリットになりますが、本来木材は幅広い用途がある資源のため、木材の取り合いが懸念されます。
まとめ
木材は3~4キロで灯油1リットルほどの発熱量を持っています。
日本は国土面積の3分の2を森林で占めており、さらに森林資源は増え続けていることから木質バイオマスの利用は最適ではないでしょうか。
木質バイオマスを利用するにあたって最大の課題であるコスト面を解決すべく、効率的な収集運搬・地域で活用できる仕組みを構築する必要がありそうです。
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