バーゼル条約の改正「複数のプラスチック樹脂の混合」とは?

バーゼル条約の附属書の一部が改正され、2021年1月1日からは規制対象となるプラスチックの廃棄物を輸出する際には事前に輸入国の同意が必要になりました。
対象となる廃棄物を理解するため、附属書Ⅸの「複数のプラスチック樹脂の混合があるもの」とその規制対象についてまとめています。

バーゼル条約改正とバーゼル法該非判断基準

具体的にどのようなプラスチックが規制対象になるのかを適切に判断するため、日本ではこれらの判断基準を明記した「プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」が公表されています。
この該非判断基準を理解する上で知っておきたいのが、改正された附属書ではプラスチックの廃棄物が以下の3区分に分類されている点です。
1. 附 属 書 Ⅱ (Y48)
2. 附 属 書 Ⅷ(A3210)
3. 附属書Ⅸ(B3011)

この3区分をもとに、日本では、附属書Ⅸ(B3011)に該当するプラスチックを明確化することで、附属書Ⅱ(Y48)との違いを明らかにするとしています。
詳しくは「バーゼル条約の改正・規制対象になる廃プラの判断基準とは?」にまとめています。

附属書Ⅸ(B3011)

附属書Ⅸ(B3011)に該当する廃棄物のプラスチックは、以下の2つに分類されています。
今回はこの②について解説していきます。
①複数のプラスチック樹脂の混合がないもの
②複数のプラスチック樹脂の混合があるもの

複数のプラスチック樹脂の混合があるものとは?

「複数のプラスチック樹脂」とは、PE・PP・PETを言います。
PE:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
PET:ポリエチレンテレフタレート

この複数のプラスチック樹脂からできている廃プラの混合物とは、具体的にはペットボトルのボトル・キャップ・ラベルの混合物を想定し規定されています。
また、国内で分別し、可能な限り単一のプラスチック樹脂として輸出することが望まれています。

具体的な判断基準

「複数のプラスチック樹脂の混合がある廃棄物」については、具体的な判断基準として以下のA~Cの条件を全て満たすものが規制対象外とされています。
そして、これらの条件が満たされていると外見から確認できることが必要となります。

A:分別され、ボトル、キャップ、ラベル以外のプラスチック樹脂や異物
を含まないこと
B:洗浄され、飲料や泥等の汚れが付着していないこと
C:裁断され、フレーク状になっていること

出典プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準

日本のペットボトルラベル事情

日本国内で生産されているペットボトルのラベルについては、規制対象外と判断されるためには取り除く必要があります。しかし、わずかな混合の場合は規制対象外になるという一見すると理解しがたい事情があります。
具体的には、日本で作られているペットボトルのラベルには「ポリスチレン(PS)」という素材が使用されていることが多く、このポリスチレンが混合しているものは規制対象になります。
よって、規制対象外と判断されるためには、ペットボトルのラベルを取り除くことが必要となります。
しかし、日本で行われている一般的な選別過程でも、わずかなラベルの混合は避けがたいと考えられています。また、混合している場合でも、適正な方法でリサイクルすることは可能なことから、選別をした上でのわずかな混合であれば規制対象外となります。

参照プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準
参照産業廃棄物排出・処理状況調査報告書平成 30 年度速報値

まとめ

日本の平成30年度の産業廃棄物の廃プラスチック類排出量は6,294千トンでした。これは産業廃棄物排出量全体(375,772千トン)の1.7%を占めます。この廃プラスチック類の数値は、前年度と比べて大きな変化はありません。
この廃プラスチック類排出量のうち、再生利用量は3,601千トンで57%を占めています
今回の改正で、日本の廃プラスチック類の処分に今後どのような影響を与えるのか注目されています。

関連するコラムはこちら

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事